
【導入事例ポイント・サマリー】
日本の製造業を代表するD社は、従業員数万人を要する巨大企業グループです。優れた技術力を駆使して、自社開発のシステムとSSC(Shared Service Center)により、グループ内の人事業務を統合的に運用しています。
ところが昨今では、上場子会社や外資との合弁企業など、親会社とは大きく制度が異なるグループ会社が増加してきました。SSCは、これらのグループ会社が要求する仕様に合致したサービスを提供できない、という課題に直面することになりました。
そこでD社は、親会社とは異なる人事制度をもつグループ企業のオペレーションをラクラスに委託することにしました。SSCかアウトソーシングかという二者択一ではなく、SSCを補完する仕組みとしてLacrasioを活用するという新しいモデルです。
現状と課題
親会社であるD社と主要な子会社の人事制度の骨組みはほぼ同一である。D社は同じグループ内にSSCを設立し、人事給与業務の多くをここに集約してきた。SSCは、自社で開発したソフトウェアをメインフレーム上で動かし、グループ企業に対して人事・給与サービスを提供してきた。
D社の事業領域は拡大し、グローバル化は否応なしに進展してきた。グループの中には、外資系企業と合弁で設立した子会社や、株式公開する子会社も登場した。これらの企業の中からは、親会社とは異なる独自の人事戦略や制度を開発するものも現れてきた。 人事戦略は、経営戦略を構成する重要なコンポーネントである。そう考えれば、経営戦略の異なる子会社が、それぞれに独自の人事制度を求めることは十分に理解できる。しかしながら、親会社の要求に合わせることに特化して、長年にわたりバージョンアップを続けてきたソフトウェアを、子会社の要求に合わせて変更することはもはや不可能であった。
経緯と解決策
D社は、独自の人事制度を求めるこれらのグループ企業に対して、SSCの利用を強制できないであろうということを冷静に判断した。かといって、グループ企業各社がそれぞれ個別にアウトソーサを選択していては、グループの統制は失われる。統制はできないにしても、データはグループとして統合的に把握したいというのがD社の求める統治のあり方だった。
そこでD社は、親会社として最適なアウトソーサを1社選定し、そこにSSCで対応できないグループ企業のオペレーションを集約するという戦略を考え出した。D社は、SSCと同水準のサービス範囲と品質を、独自の人事制度をもつ各社に対して提供できるアウトソーサを探すことにした。多くのベンダーを調査した結果、条件のすべてを満たすアウトソーサとしてラクラスが選定された。
ラクラスの提案
- マルチテナント技術の応用により、個別の仕様を同一プラットフォーム上に構築する。
ラクラスの就業管理、ワークフロー、人事情報データベース、および給与計算システムは、クラウド上にありながら、各社個別の仕様を組み込むことができる。これをマルチテナント技術という。マルチテナント技術を用いることで、ラクラスはこれまで、それぞれがまったく異なる制度をもつ100社以上のお客様企業を、一つのクラウド上で運用してきた。これと同じ仕組みを、D社の専用環境として構築する。 - マルチテナント技術の応用により、個別の仕様を同一プラットフォーム上に構築する。
ラクラスのクラウドでは、「誰の」「どの」情報を「どこまで」操作できるのかを詳細に設定できる。たとえば、子会社の人事部には「子会社の従業員の全情報を参照・作成・更新・削除できる」権限を与え、親会社の人事部には「全子会社の従業員の基本情報を参照できる」権限を与えることができる。給与担当者には評価や自己申告へのアクセス権限は不要であろうし、人事部長には基本情報を見やすくまとめた画面へのアクセスが容易にできた方がよいかもしれない。ユーザ権限に応じた木目細かな設定ができることが、ラクラスのクラウドの特長である。 - D社の人事システムに対して必要な情報を提供するデータ連携の仕組みを構築する。また、D社のネットワークからLacrasioへのシングル・サイン・オンの仕組みを提供する。
ラクラスのクラウドは、他システムとの多彩なデータ連携の実績をもっている。シングル・サイン・オンはもちろん、他社製の入退室管理ソフトからの打刻情報の入力連携、他の情報システムへのマスタ情報の出力連携、その月のその日までの勤怠データの出力連携等を、高いセキュリティレベルで開発し提供してきた。その技術はD社でも役立つはずである。
成果
- 独自の人事制度を導入したグループ会社からのご要望を、予算の枠内で実現できた。また、本社の人事関連システムと連携することで、健康保険や年金基金等のグループ共通の制度も問題なく運営された。いずれの点においてもその品質に、高い評価をいただいている。
- D社専用環境を構築するという提案に対しては、ラクラスの共通クラウド基盤でもD社のセキュリティ標準は担保できること、および独自の人事制度を導入する企業が一度に同時期にラクラスに移行するわけではないという理由から、当面の採用は見送られた。現段階では、5社の子会社がラクラスの共通クラウド基盤を利用して、アウトソーシングサービスを受けている。これらの子会社の中には、外資との合弁企業、株式公開企業、株式公開準備企業、および日本企業から買収した企業が含まれている。
- 親会社が子会社の従業員の人事情報を直接参照することはないという理由から、親会社の人事部へのアクセス権は付与されなかった。ラクラスは、各子会社に代わり、月次の労務報告書を親会社に提出するサービスを提供している。

















