MENU

KITAHARA COLUMN キタハラコラム

第4回 番号法理解のための3ポイントマイナンバーのリアル

国は、マイナンバー制度という新たな社会基盤を整備することで、3つの成果を生み出そうとしています。名寄せにかかる工数を削減することで「行政を効率化」します。行政の側で名寄せができるのであれば、届出に際してこれまで求められていた添付書類が削減することになり、それは「国民の利便性の向上」につながります。正確な名寄せは、税や社会保障の負担を不当に免れることや不正受給の防止に結びつきます。それは「公平で公正な社会の実現」に役立つでしょう。
一方で国民の側には不安もあります。マイナンバー制度の導入により、個人情報が外部に漏洩するのではないか、他人のマイナンバーを用いた「なりすまし」等の不正利用が起きるのではないか。あるいは、国家が個人情報を一元管理するのではないか、といった不安です。事実、Social Security Number(社会保障番号)を、個人と特定するIDとして非常に幅広い範囲において用いている米国では、多くのなりすまし事件が起こっています。米国では、税務申告や銀行口座開設に必要なのはもちろん、企業への入社、運転免許証の取得、市民講座の受講、スポーツジムへの入会等、あらゆる機会にSocial Security Numberが使われます。他人の番号を入手するのはそれほど難しいことではありません。その結果としてなりすましが起こってきます。
国は、諸外国の先行事例を研究した上で、国民の不安をできる限り払拭することを目指して、番号法を作っています。私は、番号法を理解するためのポイントが3つあると考えています。この先マイナンバー制度の解説を続けていくと、「なんでそこまで厳しくするの!?」と思えるような定めがいくつも出てきます。そんなときには是非ともこの3つのポイントを思い出してみてください。

  • ポイント1:なりすましの防止
  • ポイント2:利用目的の限定
  • ポイント3:安全管理措置等

ポイント1:なりすましの防止

番号法が厳密な本人確認を求めるのは、「なりすましの防止」を図るためです。個人番号利用事務実施者と個人番号関係事務実施者は(この両者を合わせて個人番号利用事務等実施者と呼びます)、マイナンバーが記載された帳票を受領するたびに、本人確認を行わなければなりません。ただし2回目以降は、本人確認のための方法の種類が増えます。たとえば、初回の番号確認は、マイナンバーが記載された証明書類(通知カード、個人番号カード、マイナンバーが記載された住民票)の提示を受けなければなりません。しかし2回目以降は、企業が保管してあるマイナンバーと照合することで番号確認を行うことができます。身元確認にしても、2回目からは「知覚(見て判断)」することにより本人に相違ないと確認することができます。より容易な手段が認められてはいるものの、なりすましを防止するために本人確認を行うという原則は貫かれています。

ポイント2:利用目的の限定

マイナンバーの利用目的は、社会保障、税、災害対策に限定されています。しかし、企業が覚えておくべきは「社会保障と税」だけです。災害対策における利用とは、激甚災害の際の被災者台帳作成事務や被災者生活再建支援金の支給等に限定されています。事実、国が出している企業向け広報資料の題名も「マイナンバー 社会保障・税番号制度 民間事業者の対応」となっています。題名に災害対策は含まれていません。ということで、マイナンバーの利用目的は、社会保障と税に限られています。詳細はまた後で解説しますが、源泉徴収票にもマイナンバー付きとマイナンバー無しの2つのバージョンが必要になってきます。たとえば保育園の入園手続の一環として要求される源泉徴収票にマイナンバーが印刷されている必要はありません。というよりも、入園手続は税にも社会保障にも関係していませんから、マイナンバーが記載されていてはならないのです。

ポイント3:安全管理措置等

従業員や社外の支払先から収集したマイナンバーを保管するときに、企業は十分な安全管理措置を講じて、機密保護に努めなければなりません。しかし企業が機密保護に努めようとしている割には、国から出てくる指針はハードルを上げるものが多くなってきている気がします。実務に悩んでいる指針が幾つかありまして、いずれ順番に話してまいります。

ラクラスでは、マイナンバーの制度解説、導入手順、および当社サービスをご紹介するセミナーを毎月開催しています。お申し込みはこちらから。