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KITAHARA COLUMN キタハラコラム

第6回 なぜ3ヶ月で導入を完了できるのか?キタハラコラム

三ヶ月導入の秘密

ラクラスは、数百人規模の企業に対しては3ヶ月、数千人規模の企業に対しては6ヶ月以内で、導入プロジェクトを完了します。給与計算のBPO(Business Process Outsourcing) であれば、翌月から並行稼動が始まります。ワークフローや人事データベースのITO (IT Outsourcing) であれば、翌月からサービスインとなります。

この期間内にラクラスは、就業管理、ワークフロー、人事データベース、給与計算システムという4種類のアプリケーションソフトウェアを、お客様の仕様に合致するようにカスタマイズを施し、当社クラウド基盤上に構築します。さらに、お客様の財務会計システムへの連携、入退室システムからの打刻データ連携、シングルサインオン、あるいは携帯電話への明細配信といった周辺システムも構築いたします。

ラクラスはまた、同じ期間内に、業務プロセスの構築も行います。クラウド基盤上に構築したアプリケーションを用いて行う業務プロセスをすべて設計し、フローチャートに可視化します。フローチャートには、タイムライン、責任分解点、制限事項等が明記されています。このフローチャートは、お客様との間で締結されるSLA (Service Level Agreement) に組み込まれます。

「数百人規模に3ヶ月、数千人規模に6ヶ月」という納期は、当社のこれまでの実績値であり、お客様への確かなコミットメントです。耳あたりの良いセールストークではありません。

ラクラスはこれまで一つの例外もなく、導入にあたってお約束した機能と品質を、お約束したスケジュールで実現してきました。導入期間が大幅に延伸したことも、お約束した機能が実現できなかったことも、またそれ故に追加費用を発生させてしまったこともありません。

自社で導入プロジェクトチームを組み、パッケージを購入して構築作業を行うとすると、とてもこの期間内に作業は完了できません。専門のコンサルティング会社を使った場合でさえ、1年がかりのプロジェクトになるようです。しかも予定された期間内にすべての作業を常に完了できるわけではありません。導入プロジェクトの延伸や追加費用の発生は、決して珍しい出来事ではありません。

今回のキタハラコラムでは、「なぜラクラスはそんなに早いのか?」、その秘密の一端を紹介いたします。「できる」のにはワケがあります。

五合目から登る(クラウド基盤)

ラクラスは、3ヶ月導入の第一の秘密を「5合目から登る」という表現で説明しています。

自社で人事システムをゼロから構築する作業は、富士山を1合目から登るようなものです。導入完了までには、頂上までの長い登山道を登り続けなければなりません。必要な処理能力を見積もり、適切な情報機器を選定し、発注し設置し、OSやミドルウェアをインストールするだけで、最初の数週間が経過してしまっているでしょう。

それに対してラクラスは、情報システムと業務プロセスを構成する多くの要素において、「各企業に共通して利用できる基盤」をあらかじめ準備しています。そしてその基盤の上に、「各企業に独自の要求仕様」を組み上げていきます。

最もわかりやすい例が、ラクラスが提供するクラウド基盤です。クラウド基盤上には、4種類のアプリケーションや、お客様が保有する情報システムとデータ連携するための仕組み、あるいは可用性、完全性、機密性、トレーサビリティ等を確保するための仕組み等が、あらかじめ準備されています。

導入プロジェクトを開始するにあたり、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等のITインフラを考慮する必要は一切ありません。必要なコンピューティング・パワーは、ラクラスがすべて準備いたします。

ラクラスのクラウド基盤を利用すれば、最初の数週間をスキップすることができます。プロジェクトを5合目から開始できるクラウド基盤の存在が、3ヶ月導入実現のための第一の秘密です。

五合目から登る(共通パラメータ)

給与計算式を設定する作業においても、「5合目から登る」という発想は生かされています。

給与計算の方法は確かに企業ごとに異なります。報酬体系は人事制度の重要な一部分であり、その人事制度は経営戦略と深くリンクしています。企業は市場で勝ち抜くために、差別化された経営戦略を構築しなければなりません。その経営戦略を実現するための人事制度が、各社各様のものになるのは当然です。

報酬体系は企業ごとに異なるものの、給与計算システムに組み込まれる計算式には、すべての企業に共通なものが数多くあります。あるいは、どのような報酬体系であろうと、必ず必要になる基礎的な数値というものがあります。ラクラスは、すべての企業に共通して使われる計算式が何かを見極め、あらかじめそれらを準備しています。これらの計算式群を、ラクラスは「共通パラメータ」と呼んでいます。

共通部分と独自部分の境界線は微妙です。ラクラスがこの境界線を発見できたのは、ラクラスが情報技術と業務プロセスという二つの領域の知識と経験をもっていたからです。

BPOの長い経験の中で、共通パラメータの数は増減を繰り返してきました。ある企業で初めて使われた計算式であっても、他でも再度利用される可能性があると判断されれば、それは共通パラメータに加えられます。逆に共通パラメータから外される計算式もあります。

様々な業種の企業の要求に応じて共通パラメータの改善を継続してきた結果、すべての計算式の中に共通パラメータの占める割合は、7割にまで向上してきました。つまり、残りの3割を仕上げるだけで、給与計算式の設定作業は完了します。

自社で構築するとなると、1合目からの登山と同じく、すべてゼロから開発することになります。ラクラスであれば、給与計算式の設定作業においても、5合目からスタートすることができるのです。

五合目から登る(7割記入)

もう一つだけ、5合目からの登山の例を示しておきます。

導入プロジェクトの開始にあたって、ベンダーから分厚いヒアリングシートの記入を求められ、辟易とした経験をお持ちの企業は数多くあると思います。記入するには膨大な工数が必要です。

もしも抜けや漏れがあれば、いずれ「プロジェクトの手戻り」という問題が起こってきます。手戻りは、プロジェクトを延伸させる大きな原因の一つです。しかしいくら気をつけたところで、抜けや漏れをゼロに近づけるのは至難の業です。「欠けている何か」を探すのは、とても難しい作業です。欠席者は手を上げることができないのですから。

ラクラスの導入コンサルタントは、導入プロジェクトの第一ステップとして、お客様に成り代わってヒアリングシートへの記入を行います。就業規則や入社の手引き、あるいは給与台帳等の資料をお借りして、報酬体系を含む人事制度の全体像を理解し、その上でヒアリングシートへの記入を行うのです。

導入コンサルタントはこれらの資料を読み解くことで、ヒアリングシートの7割を記入してしまいます。7割を理解した上で、お客様へのヒアリングに臨みます。そして、7割に関する解釈が正しいのかを確認し、残り3割の不明点や不足点を質問していきます。

7割記入済みのヒアリングシートが目の前にできあがっていれば、これを叩き台として議論を深めていくことができます。抜けや漏れを探し出す作業もはるかに容易なものになるでしょう。スピードアップになるだけでなく、はるかにクオリティの高いものを作り上げることができます。

ラクラスは、お客様の手を煩わせない「7割記入」という手法を用いることにより、5合目から上り始めます。それができるのは、情報技術と業務プロセスの両方の知識と経験をもつ人材を、ラクラスは揃えているからです。

手戻りをなくす

導入プロジェクトが延伸する原因の一つは「手戻り」です。手戻りの幅が大きければ大きいほど、その修正には手間がかかります。場合によっては、プロジェクト進行の致命傷にもなりえます。

手戻りが発生する原因はいくつかあります。その一つは、仕様設計段階での抜けや漏れです。一つ簡単な例を挙げましょう。

人事情報システム設計の第一段階は、組織階層の設定です。ここで定義された組織階層に基づき、組織の上下関係や集計区分、権限などが決まります。

ある導入プロジェクトの仕様設計において、組織階層の最下層レベルは「課」であると定義したとしましょう。「人事部が作成する労務統計資料は課単位で集計されている」というのがその理由です。設計作業は、課を最下層とする組織を前提に進められていきます。

そして人事情報システム構築の最終段階として、他の社内システムとのデータ連携を設計するフェーズに入ったとしましょう。このフェーズに至って、「財務経理システムにおいては、一つの課は複数の会計単位に分けられることがある」ことがわかったとしたらどうなるでしょう。

この要求を根本的に修正するとしたら、人事データベース設計の第一段階まで戻らなければなりません。あるいは、非効率は承知の上で、財務経理システムの要求に応えるための手作業を耐え忍ぶしかありません。

手戻りが発生するもう一つの原因は、設定する順番を間違えることです。就業管理、ワークフロー、人事データベース、給与計算システム、クラウド環境の設定には、入り組んだ前後関係があります。自社でゼロからパッケージソフトを組み上げるとき、陥りやすいワナの一つが、この前後関係の理解不足です。

設定の前後関係を間違えると、せっかく完了したと思っていた工程をまるまるやり直す羽目に陥ります。トライ・アンド・エラーによる手戻りが発生することを許容していると、導入プロジェクトは不可避的に延伸していきます。

ラクラスの導入コンサルタントは、多くの導入プロジェクトの経験から生み出した独自の方法論を、全員で共有しています。そしてそれを継続的に改善しています。ベストナレッジを集積し可視化することで、大きな手戻りを起こすことなく、お約束した納期を守っているのです。

エッセンスを吸い上げる

ラクラスの導入コンサルタントの仕事は、「お客様の抱える課題に対する解決策を提供すること」です。

お客様からの要求のエッセンスを吸い上げ、複数の解決案を提示し、お客様とともに最適な解決策を紡ぎ出すことが、コンサルタントの仕事です。お客様の要求を丸呑みし、咀嚼しないままシステムに組み込むだけでは、コンサルタントの仕事と言えない、とラクラスは考えています。

エッセンスを吸い上げることができる理由の一つは、情報システムと業務プロセスという2つの分野に関するラクラスの知識と経験の深さです。

ラクラスは先端技術を駆使したソフトウェアの開発者でありますが、それと同時に、ソフトウェアの実際の利用者としてアウトソーシングサービスを提供しています。毎月毎月、給与支給日という納期が設定された仕事を、ソフトウェアを使って実際に遂行しているのです。

利用者としての知識と経験があるからこそ、ラクラスはお客様の人事部と同じ立場で、要求の深い部分を理解できます。その上で、情報システムがもっている潜在的な機能まで総動員して、要求を解決するための手段を探し出します。ソフトウェアの細かな癖、あるいは制限事項まで知り尽くしているからこそ、ラクラスは適切な解決策を実現できるのです。

パッケージソフトを販売しているベンダーの中に、自社のソフトを使って実際に給与計算を行っているエンジニアはまずいないでしょう。お客様の要求を丸呑みして、言われた通りに実装することはできるでしょうが、それは往々にして根本的な解決にはなりません。

逆に、給与計算サービスを提供しているアウトソーサの中で、就業管理、ワークフロー、人事データベースまで含めた人事システムと業務プロセスのつながりを、理解できているサービサーもほとんどいないでしょう。給与アウトソーサの知識と経験は、給与計算のバッチ処理という狭い分野に限定されています。

情報システムと業務プロセスに関する知識と経験を、組織として蓄積していることが、3ヶ月導入の重要な基盤になっています。

まず目標ありき

最後にもう一つだけ、3ヶ月導入の秘密を明らかにしておきます。

ラクラスは、「3ヶ月で導入を完了する」という目標をまず定めました。次に、この目標を実現するための仕組みを作り上げてきました。仕組みを作っていった結果として、自然に3ヶ月へと縮まってきたのではありません。最初にあったのは、「3ヶ月導入の実現」という強烈な目的意識です。

このように考えるに至ったルーツは、創業メンバーがかつて勤務していたソフトバンクという会社のスピード感にあります。大変に厳しい会社でしたが、そこで身に染み付いた超高速のリズムに、私たちはとても感謝しています。

ソフトバンクにおいては、1ヵ月半で会社を立ち上げるのが当たり前でした。その間に、オフィスを探し、家具を入れ、ネットワークをつなぎ、定款を作り、登記をすませ、社員を雇い、社会保険の手続きを行い、給与を支払うことが求められていました。

このときのリズム感があるからこそ、ラクラスを設立するにあたって、「人事制度が異なる企業の人事システムと業務プロセスを、3ヶ月以内に導入完了する」という目標を掲げることは、さほど不自然なことではありませんでした。「背伸びは必要だけれども達成可能な目標」というイメージができていました。そしてそれは実現され、以来、絶え間ない改善が加えられています。

「3ヶ月導入」の経営にとってのメリットは、コストが下がることです。期間が短ければ当然に、ラクラスが頂戴する導入コンサルティング費用は安くなります。

お客様の会社においても、導入期間が短ければ、プロジェクトに関わる方々の費用は少なくなります。しかもクラウドを利用するラクラスの仕組みにおいては、情報システム部の参画はほとんど必要ありません。ヒアリングには、主に人事部の方にだけ出席いただきます。

2000年前後のオープン化の流れに乗って、スクラッチ開発からパッケージソフトへと、ソフトウェアの開発形態は変化しました。その結果多くの企業が、コスト削減の恩恵を得ることができました。

そして今進んでいるのは、「パッケージからクラウドへ」というパラダイムシフトです。この「保有から利用へ」という動きは、いま、大潮流となって世の中を動かし始めています。

ラクラスのクラウドによる効率化と新たな付加価値の実現を、是非ご検討ください。