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KITAHARA COLUMN キタハラコラム

第2回 誰のためにマイナンバーはある?マイナンバーのリアル

公的なアナウンスメント

各種メディアでも、マイナンバーが取り上げられることが多くなってきました。その論旨は概ね次の3点に絞られます。

1)2016年1月から、行政機関に提出する書類にマイナンバーを書き込むことになる。
2)行政機関がマイナンバーをキーにしてネットワークでつながることで、添付書類が不要になるなど、国民生活も便利になる。
3)企業から行政機関に提出する書類にも、マイナンバーが記載される。従業員からマイナンバーを預かる企業は、これを安全に扱う義務がある。怠れば罰則がある。

どれも間違いではないのですが、これらの表層の根っこにあるマイナンバーの役割については語られていません。

マイナンバーは行政機関が利用する

マイナンバーの役割を一言で言えば、それは「行政機関による名寄せの効率化」です。これまで工数がかかったり、捕捉率が低かったりした行政機関の名寄せ作業を楽にするために、マイナンバー制度は作られたのです。

国が発行している「マイナンバー 社会保障・税番号制度 民間事業者の対応」という資料にはこう書いてあります。「マイナンバー制度は、複数の機関が保有する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもの」とね。つまり名寄せです。

その結果として行政は効率化するでしょうし、国民の利便性の向上という効果も期待できるでしょう。そして捕捉率が高まった結果として、「公平で公正な社会の実現」にも貢献することになるでしょう。しかしそれらの効果は、副次的あるいは三段論法的なものです。「マイナンバーの役割は名寄せである」とシンプルに捉えた方が、よほどスムースにこの先の議論を理解できるはずです。

誤解しないでいただきたいのですが、私は「マイナンバー制度の積極推進派」です(と主張したところで何の影響もないのですが)。税金の捕捉率向上、年金の掛け金の捕捉率向上、あるいは医療保険や介護保険の適切な利用といった課題は、日本の将来にとって重要な課題です。このあたりの将来像が見通せてくれば、日本はまだまだやっていけそうな気がします。マイナンバー制度は、そのための社会基盤なのです。

余談ですが、「マイナンバーとは名寄せ」ですから、熱心な推進者は国税庁です。2016年は「報酬」というフローに対してマイナンバーが付加されますが、その次は「預貯金」といったストックにも付加されるでしょう。走る国税庁に対して、厚生労働省はやや遅れ気味ながらしっかりと付いてきています。往々にして縦割りになりがちな行政が、マイナンバーに関してはしっかりと足並みを揃えていることを感じます。

ここでマイナンバー用語を一つ覚えておきましょう。行政機関等がマイナンバーを利用して処理する事務を「個人番号利用事務」と呼びます。今後しばしば登場してまいります。

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