給与所得と給与収入の違いとは? 計算方法や給与所得控除・所得控除の相違点を徹底解説

本記事では、「給与所得」と「給与収入」、「手取り」の違いを確認したうえで、給与所得の計算方法について具体例を交えながら解説してきました。給与計算の仕事に携わるうえで「基本用語の理解を深めたい」という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
「給与所得」と「給与収入」は、給与計算および年末調整の業務で特に重要になってくる用語です。適切な計算や事務手続きを行うためには、これらの用語の違いを理解することも必要でしょう。
そこで本記事では、「給与所得」と「給与収入」、「手取り」の違いを確認したうえで、給与所得の計算方法について具体例を交えながら解説します。そして後半では、人事部門の担当者が混同しやすい特別支出控除・給与所得控除・所得控除の違いなども解説していきます。
これから給与計算の仕事に携わるうえで「基本用語の理解を深めたい」という方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
給与所得とは
給与計算を担当するうえでは、税金計算に不可欠な「給与所得」の意味や考え方を理解することが重要です。ここでは、給与所得と混同しやすい給与収入・手取りの違いを見ながら、給与所得がどういうものかを見ていきましょう。
給与所得とは
給与所得とは、いわゆる使用人や役員などが事業者から支払いを受ける給与(給料)・賞与や、これらと似た性質を持つお金の総称です。税法上では、収入から経費を差し引いたものを「所得」と呼んでいます。平易な表現を使うと、所得は「もうけ」ともいえるでしょう。
<参考>:No.2011 課税される所得と非課税所得(国税庁)
給与所得になりうる3つの種類
国税庁では、給与所得になりうるものとして、以下の3種類を示しています。
(1)手当 (2)現物給与 (3)青色事業専従者給与および事業専従者控除
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それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)手当
使用人や役員に支給する手当は、その多くが給与所得になります。具体的には、以下のものが給与所得に該当するでしょう。
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ただし、以下の3つは例外として非課税になります。給与計算の際には注意しましょう。
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(2)現物給与
給与は原則、金銭で支給されるものです。しかし、なかには食事の現物支給や商品の値引販売のような物もしくは権利といった「その他の経済的利益をもって支給されるケース」があります。国税庁が示す一般の現物給与は、以下の4つです。
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ただし、以下の要件に該当する特定の現物給与の場合、課税上金銭による給与とは異なる特別扱いが必要となります。
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<参考>:No.1400 給与所得(国税庁)
(3)青色事業専従者給与および事業専従者控除
専従者とは、納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、専らその事業に従事している人のことを指す言葉です。たとえば、納税者である事業主が配偶者の妻に仕事を手伝ってもらい、給与も支払っているケースなどが該当するでしょう。
これらの給与は原則として必要経費にならないものの、確定申告の種類別に以下の2つの特別扱いが認められています。
【青色事業専従者給与(青色申告)】 ・青色申告の方は、生計を一にする配偶者やその他の親族(15歳未満の人を除きます。)で、専らその事業に従事している人に給与を支払っている場合、その支払った金額のうち、相当であると認められる金額を必要経費とすることができます。
<引用>:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(国税庁)
【事業専従者控除額(白色申告)】 ・白色申告の場合、生計を一にする配偶者やその他の親族に支払った給与等を必要経費に算入することができませんが、これらの方が専ら事業に従事している場合には、事業専従者控除として、配偶者は最高 86 万円、15 歳以上のその他の親族は最高 50 万円を必要経費として差し引くことができます。
<引用>:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除(国税庁)
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給与所得控除とは
給与所得について理解するうえでは、給与所得控除が存在する理由と意味を知ることも必要です。
まず、給与所得の「所得」は、給料・賞与などの入ってきたお金から、必要経費を差し引いて算出するものです。ただし、必要経費の考え方は、給与所得者と自営業者・フリーランス(個人事業主)で異なるものとなります。
自営業者やフリーランスの場合、仕事で使うパソコン代や書籍代といったものは必要経費として事業収入から差し引き、そこから算出された事業所得をベースに税金計算するのが一般的です。
これに対して給与所得者の正社員などは、会社から支給されたパソコンや備品を使うことが多いでしょう。この場合、自分の財布からパソコン代や備品代を支払っているわけではないため、原則としては自営業者やフリーランスのように必要経費の差し引きができません。
こうした背景から、給与所得者に対しては、必要経費の差し引きに近い意味で用いる「給与所得控除」という仕組みが設けられています。給与所得控除の数字は、国税庁が示す給与収入金額に応じたものを使います。令和2年分以降の給与所得控除は、以下のとおりです。
<引用>:No.1410 給与所得控除(国税庁)
<参考>:No.1400 給与所得(国税庁)
給与所得と給与収入の違い
給与所得と混同しやすいものに、給与収入があります。これらの違いは、給与所得を算出するための計算式や考え方に着目すると理解しやすいでしょう。
給与所得は、給料や賞与などの入ってきたお金から「給与所得控除額」を差し引くことで算出できるものです。そして、この入ってきたお金が「給与収入」になります。
給与所得・給与収入・給与所得控除の関係を計算式であらわすと、以下のとおりです。
【給与所得】=給与収入-給与所得控除
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上記の計算式から、給与所得と給与収入には、以下の違いがあることがわかります。
【給与収入】給与・賞与などの総額 【給与所得】給与収入から給与所得控除を引いたもの
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<参考>:収入金額と所得金額とは、意味が違うのですか?(岡山市)
<参考>:No.1400 給与所得(国税庁)
給与所得と手取りの違い
手取りとは、給与所得者が実際に受け取る金額です。以下のような税金・社会保険料などを控除した金額が、手取りになります。銀行振込の場合、「口座に入金される金額」ともいえるでしょう。
【税金】所得税、住民税、等 【社会保険料】健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料 など
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手取りと給与所得には、以下のとおり給与収入から「何を差し引いているか?」で違いがあります。
【手取り】給与収入から税金や社会保険料などを差し引いたもの 【給与所得】給与収入から必要経費(給与所得控除)を差し引いたもの
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給与所得の計算方法と3つのシミュレーション
給与所得は、国税庁が公開する給与所得控除の数字を使って算出します。ここでは、年収300万円・年収600万円・年収860万円の3ケースについて、給与所得額の計算をシミュレーションしていきましょう。
ケース(1)年収300万円の給与所得額
従業員の年収が300万円の場合、国税庁が示す令和2年分以降の表の3段目「1,800,001円から3,600,000円まで」に該当します。
<引用>:No.1410 給与所得控除(国税庁)
まず、上記3段目の計算式「収入金額×30%+80,000円」を使い、年収300万円の給与所得控除額を算出しましょう。
【年収300万円の給与所得控除額】=300万円×30%+8万円⇒98万円
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「給与所得控除額の98万円」と「年収(給与収入)300万円」を使って給与所得を算出すると、以下の計算結果になります。
【年収300万円の給与所得】300万円-98万円⇒202万円
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年収300万円の場合、給与所得は202万円になるわけです。
ケース(2)年収600万円の給与所得額
年収600万円になると、上から4段目の「3,600,001円から6,600,000円」に該当します。
<引用>:No.1410 給与所得控除(国税庁)
4段目に書かれた給与所得控除額の計算式「収入金額×20%+440,000円」を使うと、年収600万円の給与所得控除額は以下のようになるでしょう。
【年収600万円の給与所得控除額】=600万円×20%+44万円=164万円
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「給与所得控除額164万円」と「年収(給与収入)600万円」を給与所得の計算式に当てはめると、以下の結果になります。
【年収600万円の給与所得】600万円-164万円⇒436万円
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年収600万円の人の給与所得は、436万円になるでしょう。
ケース(3)年収860万円の給与所得額
年収860万円になると、表の一番下の「8,500,001円以上」に該当します。この場合、給与所得控除額は上限の1,950,000円です。
<引用>:No.1410 給与所得控除(国税庁)
「給与所得控除額1,950,000円」と「年収(給与収入)860万円」を給与所得の計算式にあてはめると、以下のとおりになります。
【年収860万円の給与所得】860万円-195万円⇒665万円
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年収860万円の人の給与所得は、665万円になるでしょう。
なお、国税庁では、給与収入が660万円未満のケースについて、給与所得控除後の給与所得を一覧化した「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」を公開しています。
<参考>:令和5 年分の年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表<PDFファイル>(国税庁)
仮に給与の受け取り先が自社だけで、なおかつ副業などによる収入がない従業員の給与収入が660万円未満である場合、この表を活用して給与所得を算出してもよいでしょう。
給与所得者の特定支出控除とは
給与所得者である正社員やアルバイトなどは、会社から支給された備品を使うケースが多いことから、個人事業主や自営業者のように自分で購入した事業用パソコンなどを必要経費として計上できないケースが大半です。
しかし国税庁では、7つの品目について、その年中の特定支出額の合計額が給与所得控除額の2分の1相当を超えるときに、確定申告によって超過した金額を給与所得控除後の金額から指し引ける「特定支出控除」の制度を設けています。
ここでは、7品目の概要と特定支出控除の注意点、手続きのポイントをそれぞれ解説しましょう。
(1)給与所得者における特定支出控除の7品目
以下の7品目は、給与所得者における特定支出の控除対象になります。
<出典>:No.1415 給与所得者の特定支出控除(国税庁)
(2)給与所得者における特定支出控除の注意点
上記7つの特定支出は、その支出がその方の職務遂行に直接必要であることが給与支払者もしくはキャリアコンサルタントによって証明がされたものに限ります。(キャリアコンサルタントによる証明が必要なものは、令和5年分以後の4(研修費)または5(資格取得日)の支出で、教育訓練に係る部分に限る)
また、以下の2に該当する部分については、特定支出に含めることができません。
<出典>:No.1415 給与所得者の特定支出控除(国税庁)
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(3)給与所得者における特定支出控除の手続方法
給与所得者が特定支出控除を受けるためには、本人が自分で確定申告を行う必要があります。確定申告とは、1月1日~12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税を算出し、所轄の税務署に申告・納税する手続きの総称になります。
給与所得者の多くは、会社が行う年末調整で所得税および復興特別所得税の清算が行われるため、自分で確定申告をする必要がありません。ただし、特別支出控除を受けるなどの特別な事情がある場合、給与所得者でも確定申告を行う必要があります。
特定支出控除を受ける際の申告書には、以下書類の添付が必要です。
<参考>:No.1415 給与所得者の特定支出控除(国税庁)
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なお、特定支出控除を受ける本人がたとえば副業などをしている場合、申告書の書き方も複雑になってきます。国税庁ではさまざまなパターンに対応した手引書などを公開しています。社内に特別支出控除を受ける従業員がいる場合、以下ページの案内を早めに行う必要があるでしょう。
<参考>:確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)(国税庁)
<参考>:給与所得者の確定申告(国税庁)

給与所得控除と所得控除の違い
給与計算の業務に携わるのであれば、給与所得控除と所得控除の違いも理解する必要があります。
まず、給与所得控除はその名のとおり、「給与所得者だけ」が使える控除の種類です。具体的には、給与収入に応じて経費分として差し引けるものとなります。
これに対して所得控除は、本人もしくは家族の個人的事情に応じて税負担を軽減するための制度です。所得控除には以下の15種類があります。
所得控除は、税制度における公平性の観点から生まれたものです。たとえば、自社に在籍する以下の3人に毎月25万円ずつの給料を支払っていても、各家庭の経済的余裕は家族構成や生活状況で大きく変わる可能性があります。
【Aさん】夫婦共働き、2人とも正社員
【Bさん】妻は専業主婦、本人が闘病中で多くの医療費がかかっている
【Cさん】ひとり親家庭、残業時はベビーシッターなどの利用が必要
所得控除は、こうした経済力の差異を鑑み、人々の生活の負担にならない配慮をすることで、税制度の公平さを保つための仕組みになります。
また、所得控除は給与所得控除とあわせて適用できるものです。たとえば、給与所得者である従業員に以下の事情・要件の該当があれば、給与所得控除とあわせて全部で4つの所得控除が適用できます。
【給与所得者である】給与所得控除 【合計所得金額が2,500万円以下である】基礎控除 【ひとり親である】ひとり親控除 【地震損害保険の保険料を支払った】地震保険料控除
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れら4つの控除における具体的な要件は、国税庁の各ページを参照してください。
<参考>:No.1410 給与所得控除(国税庁)
<参考>:No.1145 地震保険料控除(国税庁)
<参考>:No.1171 ひとり親控除(国税庁)
<参考>:No.1199 基礎控除(国税庁)
給与所得における所得金額調整控除とは
所得金額調整控除は、2020年に新設されたばかりの制度です。所得金額調整控除の目的は、「子どもや特別障害者等がいる世帯」および「年金を受給しながら給与収入もある世帯」の一部税負担を軽減することになります。
前者の「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」は、年末調整で適用できるものです。従業員に該当者がいる場合は、所得金額調整控除申告書を提出してもらう必要があるでしょう。
所得金額調整控除の制度に関する詳細は、国税庁の情報をチェックしてください。
年末調整における給与所得の申告方法
給与所得の申告は、人事給与部門が行う年末調整のなかで行われるケースが大半です。ここでは、年末調整が必要な人・年末調整の流れ・必要書類について1つずつ確認していきましょう。
(1)年末調整で給与所得の申告が必要な人は?
年末調整には、「12月に行うもの」と「年の中途で行うもの」の2種類があり、それぞれで対象者が異なります。
まず、12月に行う年末調整の対象者は、以下に該当する従業員です。ここには、青色事業専従者も含まれます。
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ただし、以下のいずれかに該当する人は、年末調整の対象になりません。
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また、年の中途で行う年末調整の場合には、以下の5つのいずれかに該当する人が対象者になります。
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年の中途で退職し、(1)~(5)に該当しない人は、年末調整の対象になりません。
(2)年末調整の流れは?
年末調整の基本的な流れは、以下のとおりです。12月に行う年末調整の場合、例年11月頃から書類配布を行い、翌1月末の申告期限に向けて手続きを進めていきます。
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年末調整専用のITシステムを導入済みの場合、従業員にシステムの画面から必要事項の入力や添付書類のアップロードなどをしてもらうことになります。
年末調整業務の具体的な進め方やポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてください。
年末調整業務の進め方ガイド|担当者がやるべき手続きの流れや必要書類の種類なども解説
(3)給与所得の申告で必要な書類は?
年末調整の業務で配布・回収する書類は、各自が利用する控除によって異なります。以下のなかで必要なものを、添付書類といっしょに提出してもらいましょう。
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年末調整に必要な書類の役割や添付書類についても、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてください。
年末調整業務の進め方ガイド|担当者がやるべき手続きの流れや必要書類の種類なども解説
(4)給与所得者に発行する源泉徴収票の項目は?
年末調整後に発行する源泉徴収票は、1月1日から12月31日までの給与所得および払った税金がわかる大事な書類です。年末調整の業務を行う場合、給与所得や税金に関する以下の4項目の意味を理解しておく必要があります。
【支払金額】従業員から見た給与収入のこと。税金や社会保険料を差し引く前の金額。 【給与所得控除後の金額】給与所得。支払金額から給与所得控除額を差し引いたもの。 【所得控除の額の合計額】従業員が受けられる所得控除の合計額 【源泉徴収額】1年で納付すべき所得税額。課税所得に税率を乗じたもの。
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源泉徴収票についての詳しい解説は国税庁の資料で行われていますので、ぜひチェックしておくとよいでしょう。
<参考>:令和2年分 給与所得の源泉徴収票の記載の仕方<PDFファイル>(国税庁)
(5)確定申告が必要な給与所得者は?
給与所得者の大部分は、会社が行う年末調整によって所得の申告・納税が完了します。ただし、以下に該当する人は自ら確定申告と納税をする必要があるでしょう。
<引用>:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
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ただし、給与収入の合計額から、雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた額が150万円以下で、なおかつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合、確定申告は不要です。
年末調整および確定申告の時期になると、従業員から「自分は確定申告が必要ですか?」などの問い合わせがくることがあります。給与計算の業務を担当するのであれば、給与所得者で確定申告が必要な人の要件も知っておいたほうがよいでしょう。
年末調整と確定申告の両方が必要になるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください。
給与所得に関連する3つの届出書類
給与計算の業務を行ううえでは、給与所得者である“従業員”に書いてもらうべき書類の種類や、手続きの意味を理解しておく必要があります。ここでは、給与所得に関する3つの届出書類の概要を解説しましょう。
(1)給与所得者の基礎控除申告書
基礎控除とは、給与所得者の合計所得金額が2,500万円以下である場合に、本人の合計所得金額に応じて最大48万円の控除が受けられる制度です。年末調整で基礎控除を適用するためには、従業員に基礎控除申告書の記入・提出をしてもらう必要があります。
また、給与所得者が基礎控除申告書などを通じて勤務先に通知した合計所得金額の見積額が1,805万円以下の場合、年末調整で定額減税を受けることも可能です。合計所得金額の見積額には、給与所得以外の所得も含まれます。
仮に従業員が、定額減税を受ける予定があるにもかかわらず基礎控除申告書を提出しない場合は、住宅借入金等特別控除申告書の提出もしくはメール・口頭などの方法で、勤務先に合計所得金額を通知することが必要です。
具体的な記載方法などは、国税庁のページで紹介されていますので確認しておくとよいでしょう。
<参考>:給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)(国税庁)
(2)給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養控除等申告書は、従業員がその年の最初の給与支払いを受ける日の前日までに、勤務先に提出する書類です。従業員が2か所以上から給与支払いを受ける場合、主たる給与の支払いをする勤務先に提出することになります。
この申告書を取り扱ううえでの注意点は、扶養親族や源泉控除対象配偶者がいない従業員からも提出してもらう必要があることです。仮に扶養親族がいない従業員がこの申告書を提出しない場合、源泉徴収額に税額表の「乙」が適用されることで、申告書の提出時よりも高い税率が適用されてしまいます。
また、年末調整の手続きでは、扶養控除申告書の情報から、扶養控除の額および定額減税額の計算に含める扶養親族の人数確認が必要です。扶養控除額のチェックでは、以下の項目を見ていくことが求められます。
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扶養控除等(異動)申告書の記載例や記載ポイントについては、国税庁のページを確認するとよいでしょう。
<参考>:給与所得者(従業員)の方へ(令和6年分)(国税庁)
<参考>:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告 (国税庁)
(3)給与所得者の異動届出書
従業員に退職・休職・死亡・転勤などの異動があった場合は、従業員が住民登録している市区町村に対して、異動が発生した月の翌月10日までに「給与所得者異動届出書」を提出します。
また、従業員の転勤・転職などで勤務先が変わり、新しい勤務先でも特別徴収を行う場合は、給与所得者異動届出書の上段を前事業所、下段を新事業所で記入し、従業員が住民登録している市区町村に提出する必要があります。
この書類を提出しない場合、従業員の離職後も納税義務を負うことになってしまいます。また、提出手続きが遅れた場合、離職した従業員に一度に多額の納税義務が発生することにもなりかねません。従業員に異動が生じたときには、速やかに手続きを進めるようにしてください。
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本記事では、「給与所得」と「給与収入」、「手取り」の違いを確認したうえで、給与所得の計算方法について具体例を交えながら解説してきました。特別支出控除・給与所得控除・所得控除の違いなどは人事部門の担当者も混同しやすく、業務に負担があるかと思います。
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