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人時生産性とは?計算式と向上させるための戦略を徹底解説

2025.12.05
積み木と人間のマーク

本記事では、人時生産性の概要や注目される背景、計算式などを解説します。また、人時生産性を向上させるための戦略や、そこで活用できるITツールも紹介していきます。自社の業績アップにつながる施策を検討していくなかで、「人時生産性」について詳しく知りたい方は、ぜひ本記事を参考にしてください

 

近年のビジネス環境では、自社の経営状況を分析して適切な対策を講じることの重要性が高まっています。こうしたなかで注目されているのが、「人時生産性」です。

 

そこで本記事では、人時生産性の概要や注目される背景、計算式などを解説します。さらに記事の後半では、組織における人時生産性を向上させるための戦略や、そこで活用できるITツールを紹介していきます。

 

自社の業績アップにつながる施策を講じるなかで、「人時生産性」という概念に興味を持っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

 

人時生産性とは何か

 

自社の経営戦略のなかで人時生産性という指標をうまく活用するためには、「そもそも人時生産性とは何なのか?」という定義や重要性を理解することが大切です。ここでは、人時生産性の基礎知識として、この概念が示す意味や他の指標との違いを確認しましょう。

 

人時生産性とは

 

人時生産性とは、「従業員1人が1時間働いた場合の生産性」を示す概念です。読み方は「にんじせいさんせい」になります。

 

ここでいう生産性とは、「投入量(インプット)に対して、どれだけの産出量(アウトプット)が得られたか?」を判断する指標です。

 

人時生産性の場合、「従業員1人」と「1時間」という条件をつけることで、普通の生産性よりもさらに絞り込まれた数値の算出が可能となります。具体的には、投入した労働量から得られる粗利額がわかる指標でしょう。

 

人時生産性の評価では、この数値が高いほど従業員1人あたりの1時間における粗利額が高いことになります。つまり、人時生産性の数値が高ければ「生産性の面で優秀な企業である」と評価できるでしょう。

 

人時生産性と人時売上高、労働生産性の違い

 

人時生産性と同様に企業の経営分析に関連する概念として、人時売上高や労働生産性があります。ここでは、人時生産性と人時売上高、労働生産性の違いを見ていきましょう。

 

・人時生産性と人時売上高の違い

人時売上高とは、『従業員1人が1時間あたりいくら売り上げたか』をあらわす指標です。人時生産性が「粗利額」を見るのに対して、人時売上高では「売上高」に着目します。人時売上高の場合、売上をあげるために必要となる人件費や材料費などのコストは考慮しません。

 

・人時生産性と労働生産性の違い

労働生産性は、組織全体の生産性を知るうえで使われる指標です。一般的には、企業や組織が生み出した生産量や付加価値を、総労働時間の投入量や労働者数で割る形です。これに対して人時生産性は、従業員1人あたりの生産性を見ていく指標となります。

 

人時生産性が注目される背景

 

人時生産性が注目される要因として特に大きいのは、「労働力人口の減少」「複雑化するビジネス環境」の2つです。

 

まず、少子高齢化が加速する日本では、ビジネスの担い手である労働力人口が著しく減少しています。そういったなか、多くの企業では採用ターゲットの絞り込みを含めた採用戦略や、生成AI等のITツールを活用することでの業務効率化に力を入れるようになりました。

 

これらの施策を適切に導入・実施し、経営課題を改善するためには、まず「自社の従業員は1人あたり1時間にどのくらいの粗利額をあげられるのか?」という現状分析が必要です。

 

そこで、たとえば「特定スキルが高い人材を獲得しても人時生産性があまり向上しない」となれば、次の一手としてITツールによる業務の自動化などを検討することにもなるかもしれません。

 

また、複雑化するビジネス環境も、人時生産性などによる現状把握の重要性を高めています。たとえば、終身雇用が当たり前だった時代には、正社員の固定化されたメンバーが「9時~18時」などのフルタイムで仕事をすることから、生産性はある程度一定に保たれるのが一般的でした。

 

一方で近年は、労働者の働き方や属性が多様化し、人材の入職・退職も頻繁に起こりやすい時代です。そういったなかでの“生産性”は従来と比べて安定しづらく、マネジメントも難しくなっています。

 

また、最近の事業環境には、光熱費や材料費、人件費といった各種コストの高騰や、物流業界の「2024年問題」などの影響から、仮に社内の人材が安定していてもほかの要因で生産性が低下しやすくなっているでしょう。

 

こうしたなかで「現状に合う適切な施策」を迅速に講じていくためには、人時生産性などの指標をうまく活用して、自社の現状を継続的に把握しようとする姿勢が求められるのです。

 

人時生産性の計算式と具体的な計算例

 

人時生産性は、以下の計算式で算出します。

 

 

① 人時生産性=粗利額÷総労働時間

 

 

上記の“粗利額”は、以下の計算式で算出します。

 

 

② 粗利額=売上高-売上原価

 

 

“売上原価”とは、売上を得るために使った原価のことです。
製造業であれば、従業員の人件費や仕入れ費用などが該当するでしょう。

 

そして上記の①②とあわせると、人時生産性は以下の計算式で算出できることがわかります。

 

 

人時生産性 = (売上高 – 売上原価) ÷ 総労働時間

 

 

人時生産性の具体的な計算例

 

たとえば社内に以下のような業績をあげる2つのチームがある場合、先述の計算式に数字をあてはめて人時生産性を計算すると、コストパフォーマンスが高いチームを容易に判断することができます。

 

  Aチーム Bチーム
売上高 2,000万円 2,500万円

売上原価

200万円

800万円

粗利額

1,800万円

1,700万円

総労働時間

3,000時間

4,000時間

 

AチームとBチームの人時生産性は、以下のとおりです。

 

 

【Aチームの人時生産性】1,800万円÷3,000時間=6,000円

【Bチームの人時生産性】1,700万円÷4,000時間=4,250円

 

 

売上だけに着目すると「Bチームのほうが優秀」に見えますし、一方で粗利額を見ると「Aチームのほうが少し多い」という判断になるはずです。しかし、そこで総労働時間を加味した人時生産性の計算式に当てはめてみると、「Aチームのほうはコストパフォーマンスがかなり高い」ということが見えてきます。

 

人時生産性と他の指標との計算式における違い

 

人時生産性および、先ほど紹介した他の生産性指標について、それぞれの計算式を整理すると下記のとおりです。

 

指標名

計算式

人時生産性
(従業員1人が1時間で獲得した粗利益
 (付加価値))

人時生産性
 = (売上高 – 売上原価)÷ 総労働時間

人時売上高
(従業員1人が1時間で獲得した売上)

人時売上高
 = 売上高 ÷ 総労働時間

労働生産性
(投入した労働量に対する産出量の割合)

アウトプット量(生産量など)
 ÷ 総労働時間(または総労働者数)

 

人時生産性の業種別平均と比較

 

生産性向上の取り組みをするうえでは、人時生産性などの指標を使った現状把握はもちろんのこと、自社の業種平均との比較をすることもある程度は大切です。

 

ここでは、中小企業庁が示す資料をもとに、代表的な4業種の人時生産性における業種平均を確認します。また、これらの4業種における労働生産性の業種平均も参考までに見ていきましょう。

 

人時生産性における業種別の平均

 

中小企業庁が2021年6月に公開した「中小小売業・サービス業の生産性分析」という資料では、製造業・小売業・宿泊業・飲食店の4業種における人時生産性が以下のように示されています。

 

 

  • 【製造業の業種平均】2,837円
  • 【小売業の業種平均】2,444円
  • 【宿泊業の業種平均】2,805円
  • 【飲食店の業種平均】1,902円

 

 

上記の数字を比較すると、製造業は人時生産性を上げやすい一方で、小売業や飲食店といった非製造業の人時生産性は低い傾向があることがわかります。なかでも特に飲食店は人時生産性を高めることが難しく、製造業との間で約1.5倍もの差があることがわかります。

 

人時生産性_業種平均

 

<引用>:中小小売業・サービス業の生産性分析(中小企業庁)

 

労働生産性における業種別の平均

 

この資料の2ページには、人時生産性(業種平均)の隣に労働生産性(業種平均)も示されています。
各業種別の労働生産性(業種平均)は以下のとおりです。

 

 

  • 【製造業の業種平均】5,250円
  • 【小売業の業種平均】3,813円
  • 【宿泊業の業種平均】4,420円
  • 【飲食店の業種平均】2,329円

 

 

労働生産性の場合、この4業種のなかで最も労働生産性が低い飲食店と、最も高い製造業との差が約2.3倍にも開いています。

 

人時生産性では業種ごとの労働時間や非正規社員割合の高さによる影響を排除するからこそ「約1.5倍の差異」にとどまっています。しかし、投入した労働量に対する産出量の割合で考えた場合には、「飲食業における生産性の低さはとても顕著になる」といえるかもしれません。

 

労働生産性_業種平均グラフ

 

<引用>:中小小売業・サービス業の生産性分析(中小企業庁)

 

このように生産性には、使用する指標によって見え方が大きく異なる特徴があります。生産性向上に向けた現状分析をする際には、人時生産性を中心とするいくつかの指標を参考にしながら、自社の現状を客観的かつ多角的に見る姿勢が求められるでしょう。

 

右肩上がりのグラフを見るミニチュアの人間

人時生産性を向上させるための戦略

 

近年における多くの日本企業には、生産性全般の成長率が鈍化している傾向があります。そうしたなかで自社の持続可能性を高めていくためには、さまざまな施策を通して人時生産性を戦略的に向上させることが重要です。

 

ただし、実際に行うべき施策は、業種や現場に生じている課題の影響を受けることが多いでしょう。

 

ここでは、多くの企業が人時生産性を高めるために実施する戦略的な施策とポイントを4つ挙げて解説します。以下のなかから自社の現状にマッチするものを選び、ぜひ実践してください。

 

(1)業務プロセスの最適化

 

業務プロセスとは、日々の業務や、業務を通じて営利を得るために必要となる一連の流れです。業務プロセスの最適化は、業務内の無駄な作業や重複箇所などを改善し、この流れをスムーズにするものとなります。

 

たとえば、ある飲食店では以下の流れでハンバーガーを作っていると仮定します。

 

 

(1)バンズ(専用のパン)を焼く

(2)肉を焼く

(3)下のバンズに野菜やチーズを挟む

(4)肉が焼けたら野菜の上に乗せる

(5)上のバンズを被せてラッピングしたら完成

 

 

そこで、仮に(2)の肉を焼く作業をAさんが専属で行い、(1)(3)(4)(5)をBさんが行う場合、Bさんには肉が焼けるまでの間に「待ちの時間」が発生するかもしれません。

 

そこでBさんの人時生産性およびハンバーガー製造全体の生産性を高めるためには、その待ち時間に「材料の補充をする」や「手の空いたBさんがAさんのサポートをする」といった施策を講じる必要があるでしょう。

 

また、次から次へと注文が入り続けるピークの時間帯であれば、品質低下を招かない範囲で「パンや肉を先に焼いておく」といったオペレーションもできるかもしれません。

 

業務プロセスのなかで停滞や待ち、混乱を生じさせない施策を取り入れていくと、多くのケースで生産性向上が期待できます。

 

(2)人事評価制度の見直し

 

組織および個人の生産性を高めるうえでは、人事評価制度の見直しを行ったうえで「仕事のなかで何をどうすると評価があがるのか?」や「評価が上がるとどういうメリットがあるのか?」を伝えていくことも重要です。

 

たとえば、先述のハンバーガー店に入ったばかりの新入社員は、「現場でどういう振る舞いをすると評価が上がるのか?」や「そもそも評価とは何なのか?」を知らない状態かもしれません。

 

そこで「自社では生産性やスピード、製品の品質を重視していること」や「暇なときに先輩を助けると、感謝されて好循環が生まれること」などの“献身性の重要さ”と“それが評価項目に含まれること”を伝えると、新入社員の意識も変わりやすくなるでしょう。

 

また、人事評価制度は、従業員の当事者性を高めるうえでも役立ちます。

 

たとえば、現場の生産性向上に寄与して評価がアップすると階級や時給が上がっていき……といった個人の好循環を伝えると、「ハンバーガーを早く製造すること」に関して自分にとってのメリットが把握でき、当事者意識も高まりやすくなるはずです。

 

逆にいえば、「生産性を上げる」「早くつくる」「暇なときは先輩を助ける」といったことへの評価を適切に行わない場合、当事者意識などの低下から人時生産性の数字も悪くなっていくかもしれません。

 

なお、会社や仕事における献身性は、HR領域のなかで「エンゲージメント」と呼ばれたりもします。エンゲージメントは生産性向上とも密接な関係のある概念です。エンゲージメントの重要性について興味がある方は、以下の記事もぜひチェックしてみてください。

 

【関連記事】従業員満足度(ES)と従業員エンゲージメントの違いとは?高めるメリットや方法も解説

 

(3)従業員の適切な配置

 

適材適所の人材配置も、生産性向上につながる大事な要素です。

 

たとえば、先述のハンバーガー製造の工程で、肉を焼くことが苦手なCさんを「(2)の肉焼き工程の専属」に配置してしまうと、それ以降の(3)~(5)の工程が停滞し、生産性だけでなく商品の提供スピードや顧客満足度なども低下する可能性があるでしょう。

 

また、いくら練習しても苦手な業務の担当になり、そこでほかのメンバーやお客様に多くの迷惑をかけたり、焦りから失敗が続いたりすれば、本人の自信(自己効力感)は低下する一方です。自信がなくなると、仕事への苦手意識が高まり、モチベーションや習得意欲の低下などの悪循環に陥るかもしれません。

 

ただし、実際の現場では、OJT中の新人に対して得意とは言い難い業務をあえて担当させ、成長を促す期間もあるはずです。しかし、組織および本人の生産性および中長期的な成長を考えた場合には、各メンバーの得意・不得意を見極めたうえで適材適所の配置にしていくことが必要でしょう。

 

(4)各従業員への関心を持つ

 

人時生産性を高めるうえでは、生産性を示す指標(数字)ばかりを重んじるのではなく、各従業員の行動や考え方、パフォーマンスなどに関心を持つことも重要です。

 

たとえば、各メンバーに関心を持ち、仕事の過程を観察していると、以下のような気づきから現状に合った改善策が見えてくるかもしれません。

 

 

  • 【Aさん】ハンバーガー製造よりも接客のほうが楽しそうだ
  • 【Bさん】個人向けよりも法人向けのテレアポのほうが向いている
  • 【Cさん】コロナ感染以降、表情が暗くパフォーマンスが落ちている感じがする

 

 

各メンバーを観察したり、それなりの信頼関係があるなかで定期的な1on1などを実施したりすると、上記のような気づきはもちろんのこと、従業員自身が抱えている困り事なども見えてくる可能性があります。

 

そういった困り事や気付きに対して「適材適所の人材配置」や「業務プロセスの見直し」、「適切なフィードバック」などを行うことで、本人のモチベーションやパフォーマンス、生産性も最大化しやすくなるでしょう。

 

人時生産性向上のためのITツールとシステム

 

人時生産性を向上させるためには、「現状把握および分析力の向上」および「業務効率化」の2点で役立つITツールの導入も効果的です。ただし、実際に導入すべきツールの種類は、現場が抱える課題や目的の影響を受けることになります。

 

ここでは、多くの企業が導入する「勤怠管理システム」と「業務効率化ツール」という2つを例にあげながら、ITツールを通じて人時生産性を向上させることのメリットやイメージを具体化していきましょう。

 

勤怠管理システムの活用

 

勤怠管理システムとは、出退勤時のタイムカード打刻から、各種休日・残業の申請や時間管理、労働時間の集計などを行えるITツールの総称です。勤怠管理システムを導入すると、人時生産性を計算するうえで不可欠な「総労働時間」の数字も最新のものを簡単に入手できるようになります。

 

また、実際の現場では、たとえば繁忙期で従業員が週休を満足に取れない状態が続き、残業も多いなかで疲労が蓄積したりすると、パフォーマンスと生産性の両方が低下する可能性があります。

 

そこで勤怠管理システムを導入すれば、生産性低下の間接要因である「残業が連日行われている状態」や「週休や有給休暇を満足にとれない状態」のチェックも容易に行えるでしょう。

 

こうしたITツールを活用して労働時間や働き方の現状をリアルタイムに把握することは、従業員の健康や適切に休む権利の保護により、自社における人時生産性の中長期的な維持・向上につながるはずです。

 

業務効率化ツールの導入

 

現場の生産性向上を図るうえでは、各業務の課題解決につながる「業務効率化ツール」を導入することもおすすめです。

 

業務効率化ツールには、以下のように非常に多くの種類があります。先述の「勤怠管理システム」や、人事部門でよく導入される「給与計算システム」「人事労務システム」なども業務効率化ツールの一種といえるでしょう。

 

 

  • ビジネスチャットツール
  • プロジェクト管理ツール
  • タスク管理ツール
  • 時間管理ツール
  • ペーパーレス化ツール
  • CRM・SFA・MAツール(営業活動の効率化ツール)
  • ファイル共有ツール など

 

 

これだけ多くの種類から自社に合うものを選ぶためには、業務内の仕事および課題をすべて洗い出し「どこをどのように効率化すべきか?」を言語化することが重要です。

 

また、業務効率化ツールの場合、スマートフォンにインストールするだけで使える「タスク管理ツール」や「ビジネスチャットツール」といった小規模なものから、「総合型の人事労務管理システム」のように導入までの期間およびコストが多くかかる種類まで、幅広いものがあります。

 

そういったなかで適切なサービスを選び、高い費用対効果を得るためには、目先の「現在困っていること」だけにフォーカスするのではなく、中長期的な視点を持つことも必要でしょう。

 

ツールの活用により得られる効果をイメージすることが難しい場合には、お試し版などを使いながら検討を進めていくのも一つの策といえます。

 

人時生産性の向上における今後の展望

 

自社のビジネスでそれなりの生産性を維持できている場合、人時生産性の向上につながる施策の必要性がイメージしづらいかもしれません。また、人手不足などの影響から日々の業務を遂行するだけで精一杯の状態である場合、「人時生産性の現状把握」や向上させるための戦略」を考える余裕がないこともあるでしょう。

 

では、それなりの生産性を確保できている企業において、人時生産性を高めるための取り組みは本当に必要なのでしょうか。ここでは、人時生産性の向上に関する今後の展望について「VUCA時代」と「働き方改革」という2つのキーワードから考えを深めていきましょう。

 

「VUCA時代」による人時生産性への影響

 

まず、近年のビジネス環境は、不確実性が高く予測できない変化が重なりやすい“VUCAの時代”と言われています。VUCAでは、企業の業績に大きな影響をもたらす環境変化がいきなり起こる可能性があります。

 

たとえば、コロナ禍のように緊急事態宣言が出て、「不要不急の外出自粛」や「飲食店の時短営業」などが求められると、希望通りのシフトに入れないベテラン人材が多く離職することで、人時生産性の著しい低下が生じるかもしれません。またコロナ禍であれば、社内における感染拡大も自社の生産性を下げる大きな要因となったでしょう。

 

そのようなVUCAの時代にビジネスを行ううえでは、先述のコロナ禍だけでなく、ウクライナ侵攻による原材料費・光熱費の高騰や人件費の高騰といったさまざまな要因から、自社の生産性が「いきなり低下する可能性」に備えることが重要です。

 

そのためには、人時生産性を中心とするさまざまな指標を定期的に算出し、些細な変化も見逃さない姿勢が求められます。

 

また、生産性向上につながる施策には、原則として「これで完璧」ということはありません。コロナ禍やウクライナ侵攻といった国内外の情勢や採用市場の動向、業界内における人材の流動性などに関心を持ちながら、生産性の低下につながる要因を常に把握し続ける取り組みが欠かせません。

 

働き方改革と人時生産性の向上

 

そもそも国では、生産性の向上について「企業の働き方改革を実現するうえで不可欠な要素である」と位置づけています。

 

たとえば、働き方改革の重要テーマである「賃金引き上げ」や「長時間労働の是正」は、各メンバーおよび組織の生産性が向上してこそ実現できるものです。

 

また、近年では子育て・介護などと仕事の両立や、病気の治療をしながら働ける環境整備の重要性も高まっていますが、そのための施策を設計・実施していくうえでも、生産性を絶対に下げない方法を模索していく必要があるでしょう。

 

なお、国では、以下の9つを働き方改革の重要テーマとして掲げています。各企業は人時生産性などの指標を定期的に測定し、「働き方改革」と「生産性の向上」を両輪でまわすイメージでこれらの施策を実施していく必要があるでしょう。

 

 

① 非正規雇用の処遇改善

② 賃金引上げと労働生産性向上

③ 長時間労働の是正

④ 柔軟な働き方がしやすい環境整備

⑤ 病気の治療、子育て・介護等と仕事の両立、障害者就労の推進

⑥ 外国人材の受入れ

⑦ 女性・若者が活躍しやすい環境整備

⑧ 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、
  格差を固定化させない教育の充実

⑨ 高齢者の就業促進

 

<引用>:働き方改革の実現<PDF>(首相官邸)

 

 

<参考>:働き方改革実行計画(概要)<PDF>|働き方改革実現会議決定

<参考>:生産性の向上(厚生労働省・山形労働局)

 

人事労務のアウトソーシングならラクラスへ

 

本記事では、人時生産性の概要や注目される背景、計算式などを解説してきました。人時生産性を向上させるためには多くの戦略があるため、人事部としても進めていくのはリソース面で負担に感じている方も多いのではないでしょうか。

 

もし人事業務における業務効率化をお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。

 

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また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。

 

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