残業したら休憩時間は新たに発生?労働基準法に基づく休憩の3原則も徹底解説

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本記事では、労働基準法に基づく休憩時間と残業の基本を整理して、ルールや管理方法をわかりやすく解説します。また、休憩時間の適切な管理方法も紹介していきますので、ルールや考え方を正しく理解したい方はぜひお読みください。

 

労働者の休憩時間は、労働基準法の定めにより実労働時間や残業時間とも関係する複雑なものであり、実務経験の浅い人事担当者を悩ませることが多い要素の一つです。

 

また、休憩時間の与え方や取り方を誤ると法令違反になってしまいます。人事担当者には、休憩時間の社内ルールづくりに加えて、現場での適切な取り方の指導や教育が求められることもあるでしょう。

 

そこで本記事では、労働基準法に基づく休憩時間と残業の基本を整理し、ルールや管理方法をわかりやすく解説します。記事の後半では、休憩時間の適切な管理方法も紹介していきます。ぜひ本記事を通して、休憩時間のルールや考え方を正しく理解できるようにしてください。

 

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労働基準法における残業と
休憩時間の基本知識

 

いわゆる労務管理の仕事で残業時間や休憩時間を適切に取り扱うためには、労働基準法にもとづく“定義”を理解することが重要です。特に「残業」という言葉は、所定労働時間を超えた労働を指す場合と、法定労働時間を超えた「時間外労働」を指す場合があります。

 

人事担当者の場合、給与計算や労務管理などの実務に加えて、残業について労働者からの問い合わせを受ける機会も多いはずです。相談時に適切なヒアリングおよび回答をするためにも、残業における2つの概念を両方知っておくことが必要でしょう。

 

また、労務管理の業務を担当するのであれば、そもそも「休憩時間がなぜ必要なのか?」という理由や背景も知っておくべきです。

 

残業とは何か?時間外労働との違い

 

まず、労働者が「今から30分だけ残業する」などと使う“残業”とは、所定労働時間を超えて働くことを指す概念であることが多いです。所定労働時間とは、事業者が就業規則や雇用契約書で定めた労働時間になります。

 

<参考>:労働時間・休日(厚生労働省)

 

たとえば、あるパートタイム労働者と企業が取り交わした雇用契約書に「始業終業:9時~14時」と書かれていた場合、所定労働時間は「5時間」です。そこで、本来の終業時間である14時を過ぎて14時30分まで働いた場合、「30分の残業をした」という考え方になるわけです。

 

ただし、ここで1つ注意点があります。それは、労働基準法にはそもそも「残業」という概念がないことです。その代わりにあるのが、法定労働時間を基準に算出する「時間外労働」になります。

 

法定労働時間とは、原則として「1日8時間、1週間に40時間」のことです。使用者は原則として、この法定労働時間を超えた労働をさせられません。ただし、36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出ることで、法定労働時間を超えた時間外労働や、法律で定められた休日に労働をさせることが可能となります。

 

<参考>:時間外労働の上限規制 わかりやすい解説<PDF>(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)

 

使用者が労働者に時間外労働や休日労働をさせた場合、割増賃金率を乗じたお金の支払いが必要です。この計算を怠ったり、そもそも時間外労働分の支払いをしなかったりした場合、世間一般でいう「残業代の未払い」の状態になります。

 

ここでいう時間外労働とは、「法定労働時間を超えた分」であり、この章の最初で触れた「所定労働時間を超えて働く分」とは必ずしも同じになるとは限りません。
たとえば、以下のAさんとBさんについて考えると、ここまで紹介した「時間外労働」と「残業」の概念がイメージしやすくなるでしょう。

 

  Aさん Bさん
勤務時間 9時~18時
(休憩1時間)
9時~14時
(休憩なし)
「残業」という言葉が指す意味 ①終業時間の18時以降も働くこと(所定労働時間を超える分)
②労働基準法上の時間外労働
①終業時間の14時以降も働くこと(所定労働時間を超える分)
30分残業した場合、法定労働時間を超える? 超える 超えない
法定時間外労働に対する割増賃金 発生する 発生しない

 

上記のBさんが「9時~14時までの勤務時間であるものの、その週の月~金は毎日14時半まで働いた」と仮定します。この場合、そもそも1日5時間勤務で法定労働時間を超えていませんから、所定労働時間を超えて働いていても、法定労働時間を超えていなければ、割増賃金が発生する“時間外労働”には該当しないわけです。

 

このあたりの意味や考え方を誤ると、労務管理や給与計算のミスにつながる可能性もありますので注意が必要です。なお、給与計算のミスに対する対処方法や防止策については下記の記事にまとめていますので参考にしてみてください。

 

【関連記事】給与計算でミスが発覚!適切な対処方法とリスク、効果的な防止策を解説

 

まとめると、人事部門で労務管理などの仕事をするうえでは、以下の4つの概念をそれぞれ理解しておく必要があるでしょう。

 

 

  • 所定労働時間
  • 法定労働時間
  • 時間外労働
  • 残業

 

 

また、労働基準法を知らない一般従業員との会話では、このあたりの「残業」という言葉の意味で認識の違いや混乱が起こりやすくなります。労務管理や給与計算に関する問い合わせを受けた場合、相手が言う「残業」の意味を汲み取り、適切な法律知識を使って回答するようにしましょう。

 

休憩時間の重要性と労働者の権利

 

休憩時間は、労働者の心身疲労を回復させることに加えて、仕事の質や効率を高めるうえで非常に重要な要素です。また、ある一定時間以上の労働に対しては、法律で定められた休憩時間を付与することが労働基準法の第34条で義務付けられています。

 

それはつまり、労働基準法の定めに基づく休憩時間をもらうことは、労働者の権利でもあるという話です。

 

詳細は後述しますが、そこでもし、事業主の都合で休憩時間を減らしたり、人手不足などを理由に休憩を与えなかったりした場合、法律違反になってしまう可能性があります。

 

労務管理や人事給与の業務に従事するうえでは、労働時間・残業時間・休憩時間のルールを理解したうえで、労働基準法に則った適切な運用がなされているかどうかのチェックも行う必要があるでしょう。

 

6時間勤務の場合、休憩時間は必要なのか

 

労働基準法第34条では、下記のとおり労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩時間を与えることが定められています。

 

 

 

(休憩)

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

<引用>:労働基準法|e-Gov法令検索

 

 

ここでポイントになるのが、「6時間以上」ではなく「6時間を超える場合」とされていることです。そのため、労働時間が6時間ちょうどであれば、法律上は休憩時間を与える義務はありません。

 

労働時間ごとに必要となる休憩時間を整理すると、以下のようになります。

 

労働時間 法律上必要な休憩時間
6時間以下 なし
6時間を超えて8時間以下 45分以上
8時間を超える場合 1時間以上

 

つまり、「6時間勤務」であれば休憩時間は必須ではありませんが、6時間を1分でも超えて働く場合には、45分以上の休憩を与える必要があります。また、8時間ちょうどの場合は45分以上、8時間を超えれば1時間以上の休憩が必要です。

 

6時間ちょうどの勤務であれば休憩時間は不要

 

たとえば、9時から15時まで休憩を挟まずに勤務する場合、労働時間はちょうど6時間です。この場合、労働基準法上は休憩時間を与える義務はありません。

 

ただし、法律で休憩時間を与える義務がないからといって、休憩を与えてはいけないわけではありません。仕事内容や従業員の負担などを踏まえ、会社独自のルールとして6時間以下の勤務でも休憩を設けることは可能です。

 

なお、ここでいう「6時間」とは、拘束時間ではなく実際の労働時間で考えます。

たとえば、9時から16時まで会社に滞在していても、その間に1時間の休憩があれば、実際の労働時間は6時間です。「始業から終業まで何時間あるか」だけで判断するのではなく、休憩時間を除いた実労働時間で考えることが重要になります。

 

6時間勤務の予定でも残業で6時間を超えれば休憩が必要

 

人事担当者が特に注意したいのが、もともとは6時間勤務だった従業員に残業が発生するケースです。

 

たとえば、「9時~15時」の6時間勤務で休憩を設けていない従業員が、業務の都合で15時30分まで働けば、実労働時間は6時間30分になります。
この場合は6時間を超えているため、45分以上の休憩時間を与える必要があります。

 

休憩時間は、労働基準法第34条により「労働時間の途中」に与えなければなりません。したがって、6時間を超えて働き終わったあとに「45分休んでから帰宅してください」としても、法律上の休憩を与えたことにはならないわけです。

 

短時間勤務の従業員に残業してもらう可能性がある場合は、「結果的に6時間を超えてしまった」という事態が起こらないよう、あらかじめ休憩を取得するタイミングを想定しておくことが大切です。

 

また、このルールは正社員だけではなく、パートタイマーやアルバイトなどにも同様に適用されます。雇用形態ではなく、“その日の実際の労働時間”に応じて必要な休憩時間を判断するようにしましょう。

 

休憩時間は労働時間に含まれるのか

 

原則として、休憩時間は労働時間には含まれません。

 

労働基準法における休憩時間とは、単に作業をしていない時間ではなく、労働者が仕事から離れることを保障されている時間を指します。そのため、「仕事はしていないものの、何かあればすぐに対応しなければならない」といった時間は、休憩時間ではなく労働時間として扱われる場合があります。

 

2つのケースを見てみましょう。

 

ケース(1)
休憩中の電話番や来客対応は労働時間になる?

 

代表的なのが、昼休み中の電話番や来客対応です。たとえば、12時から13時までを昼休みとしていても、従業員に対して「電話が鳴ったら対応してください」「来客があったら受付をしてください」と指示していた場合、従業員は仕事から完全に離れているとはいえません。

 

厚生労働省も、昼休みに電話や来客対応をするよう求められている場合、その時間は休憩時間ではなく労働時間になるとしています。

 

<参考>労働時間・休憩・休日関係(厚生労働省)

 

また、実際に電話が鳴らなかった場合でも、対応できるよう待機することを求められていれば、いわゆる「手待時間」として労働時間に該当します。

 

同じ考え方から、以下のような時間についても注意が必要です。

 

 

  • 休憩中に会社の電話を取るよう指示されている
  • 来客があれば対応するよう求められている
  • 業務上のメールやチャットを確認するよう指示されている
  • トラブルが発生した場合にすぐ対応できるよう待機している
  • 業務としてランチミーティングへの参加を求められている

 

 

形式上は「休憩」として勤怠管理されていても、実態として使用者の指揮命令下に置かれていれば、労働時間として判断される可能性があります。

 

ケース(2)休憩時間に給与を支払う必要はある?

 

休憩時間は原則として労働時間に含まれないため、労働基準法上、休憩時間そのものに対して賃金を支払うことが当然に義務付けられているわけではありません。

 

たとえば、9時から18時まで勤務し、そのうち12時から13時までの1時間を休憩とする場合、拘束時間は9時間ですが、一般的な労働時間は8時間となります。一方で、会社が就業規則や賃金制度などで休憩時間を有給扱いにすることは可能です。

 

重要なのは、勤怠システム上で休憩時間として控除されているにもかかわらず、実際には従業員が業務をしているような状況をつくらないことです。そのためにも人事担当者は、休憩時間が設定されているかだけではなく「その時間に従業員が本当に仕事から離れられているか」という実態まで確認する必要があるでしょう。

 

休憩時間の付与に関する3つの原則

 

労働基準法の第34条では、付与した時間内で実際に休憩をとってもらう際に守るべき原則を以下のように定めています。

 

 

(休憩)

第三十四条 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合においては少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

<引用>:労働基準法|e-Gov法令検索

 

 

一般では上記を総称して、「休憩時間の付与に関する3原則」と呼んだりします。この3原則について、それぞれポイントを見ていきましょう。

 

(1)途中付与の原則

 

途中付与の原則とは、「休憩時間は、労働時間の“途中”に付与しなければならない」というものです。

 

たとえば、労働時間が「9時~18時まで」の場合に、始業直後の「9時~10時」や終業直前の「17時~18時」といった休憩を与えることは、途中付与の原則に違反することになります。

 

(2)一斉付与の原則

 

一斉付与の原則とは、原則として同一事業場の労働者に一斉に休憩時間を与えるというものです。

 

たとえば、同じ事務所で3人の人事スタッフが働く場合、「Aさんは11時から、Bさんは12時から…」のような交代ではなく、「みんなが12時から1時間」というのが一斉付与の原則になります。

 

ただし、以下の業種・業界では、一斉付与の原則が適用されません。

 

 

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融
  • 広告業
  • 映画・演劇業
  • 通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署

 

<引用>:労働基準法|e-Gov法令検索

 

 

たとえば、上記の“商業”に該当するスーパーマーケット(小売店)の場合、「ピーク時間以外に交代で休憩をとる」といった運用などが現実的です。

 

(3)自由利用の原則

 

自由利用の原則とは、「休憩時間中の労働者が、仕事から完全に自由になれる」ことです。
たとえば、休憩中に以下のようなことをした場合、「仕事から自由になれていない」ことで労働基準法違反になりますので注意が必要です。

 

 

  • 休憩室でお弁当を食べていたら、食後に掃除をするように頼まれた
  • お昼ご飯を買うついでに、
    郵便局と銀行で会社の事務手続きをしてくる

 

 

『デスクでお弁当を食べながら外線の電話番をする』といったように、使用者からの命令で直ちに働ける状態で待機しているような状態は、前述したように「手待時間」と呼びます。手待時間の場合、名目的には休憩時間であっても電話が鳴れば即座に対応するわけですから、法律的には賃金支払いが必要となる労働時間として評価される可能性が高いでしょう。

 

このほか、近年“オンボーディング”の一環で行われることが増えた「新人歓迎のランチ会」や「ランチミーティング」なども、参加が義務付けられている場合は労働時間として扱われる可能性があります。その場合は、ランチミーティングとは別に必要な休憩時間を確保することが重要です。

 

休憩時間は分割しても良いのか

 

労働基準法では、法定の休憩時間を必ず一度にまとめて与えなければならないとは定められていません。そのため、一定の条件を満たしていれば、休憩時間を複数回に分けて付与することは可能です。

 

たとえば、1時間の休憩が必要な従業員に対して、「45分+15分」や「30分+30分」のように分割して休憩を与えることが考えられます。

 

ただし、分割すればどのような与え方でも問題がないわけではありません。いくつかポイントを見てみましょう。

 

ポイント(1)短すぎる休憩の分割には注意が必要

 

厚生労働省は、「分割された休憩時間がごく短い場合には、休憩時間の自由利用が事実上制限され、労働者が仕事から完全に離れているとは評価されない場合がある」としています。

 

一方で、労働基準法では「1回の休憩を最低何分以上にしなければならない」といった具体的な時間までは定められていません。

 

しかし、たとえば1時間の休憩を細かく分割し、数分程度の休憩を何度も繰り返すような運用では、食事をしたり、仕事場から離れて心身を休めたりすることが難しくなる可能性があるでしょう。

 

そのため、「合計で60分あるから問題ない」と“時間”だけで判断するのではなく、それぞれの休憩で労働者が実際に仕事から離れ、“自由に時間を利用できているか”を確認することが重要です。

 

また、分割した場合でも、法定の休憩時間はすべて「労働時間の途中」に与える必要があります。

 

ポイント(2)分割して休憩を与える場合は社内ルールを明確にする

 

休憩時間を分割して運用する場合は、「いつ、何分の休憩を取るのか」を就業規則や勤務シフトなどでわかりやすくしておくことも大切です。特に、店舗やコールセンター、医療・介護など、業務を止めにくい職場では、従業員ごとに異なる時間帯で休憩を取得することもあるでしょう。

 

こうした職場では、以下のことをあらかじめ決めておくことで、「休憩扱いになっているが実際には働いていた」といった問題を防ぎやすくなります。

 

 

  • 休憩取得の時間帯
  • 1回あたりの休憩時間
  • 休憩中の電話や来客への対応方法
  • 休憩を予定どおり取れなかった場合の対応
  • 実際に取得した休憩時間の記録方法

 

 

休憩時間の分割は、業務を円滑に進めるうえで有効な方法の一つです。ただし、会社側の都合だけで細かく分割するのではなく、「労働者が十分に休息できるか」という視点を持って制度を設計することが重要でしょう。

 

残業時の休憩時間の取り扱い

 

労働者が残業をする場合、休憩時間の付与基準となる労働時間が変わることになります。

 

また、そもそも残業は「急なトラブル」や「予定していた作業が終わらない」といった形で発生することから、お昼の1時間休憩のように事前の設定ができません。では、労働者に残業をしてもらう場合、どのような考え方で休憩時間を付与すればよいのでしょうか。

 

残業時の休憩付与における、3つのケースについて見ていきましょう。

 

ケース(1)残業によって法定の休憩時間が不足する場合

 

残業中の休憩時間についても、所定労働時間だけではなく、その日の実際の労働時間をもとに判断します。前述したとおり、労働基準法では労働時間が6時間を超えて8時間以下の場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩が必要です。

 

たとえば、ある従業員が10時~18時まで勤務し、その間に45分の休憩を取得しているとします。この場合の実労働時間は7時間15分です。

 

その後も残業を続け、実労働時間が8時間を超える場合には、必要となる休憩時間は合計1時間以上となります。
すでに45分の休憩を取得しているのであれば、さらに15分以上の休憩を労働時間の途中に確保する必要があります。

 

ここで注意したいのは、休憩時間を含めた「会社にいる時間」ではなく、休憩を除いた実際の労働時間を基準に判断することです。

 

残業によって実労働時間が8時間を超えることが見込まれる場合は、法定の休憩時間が不足しないよう、あらかじめ休憩を取得するタイミングを調整しておくことが重要でしょう。

 

ケース(2)残業時に休憩を取らなくても良い場合

 

たとえば、勤務時間が「9時~18時」ですでにお昼休憩を1時間付与していた場合、そこで残業が発生しても「労働時間が8時間を超えたら1時間」はクリアしています。ですから、新たな休憩時間の付与は不要です。

 

ただし、たとえばトラブル対応やイベント準備などを理由に「9時~21時まで」働いてもらうといった場合は、生産性や集中力の低下を防ぐために、適切なタイミングで休憩を与えることは必要になるでしょう。

 

ケース(3)
深夜残業や夜勤でも休憩時間のルールは同じ

 

労働基準法では、労働者の労働時間と休憩時間について、日中や深夜などの区別をつけていません。そのため、たとえば深夜残業や夜勤で働く場合も、「6時間を超えて8時間以下の場合は45分以上」「8時間を超えたら1時間」という原則は同じになります。

 

ただし、22時~翌5時の深夜労働には25%以上の割増賃金が必要です。なお、法定時間外労働と深夜労働が重なった場合には50%以上となります。休憩に関しては昼間と同じ考え方でOKですが、残業時間の計算においては注意が必要でしょう。

 

<参考>:しっかりマスター労働基準法|割増賃金編(厚生労働省)

 

休憩時間に関するよくあるケースのFAQ

 

ここまで休憩時間の基本的なルールを紹介してきましたが、実際の労務管理では「この場合はどうすればいいのか?」と判断に迷うケースも少なくありません。

 

ここでは、休憩時間について人事担当者が押さえておきたい代表的なケースをQ&A形式で紹介していきます。

 

Q. 始業前や終業後に休憩時間を設けても良い?

 

「途中付与の原則」という名称で説明しましたが、労働基準法で定められた休憩時間は「労働時間の途中」に与える必要があります。したがって、始業前の時間を休憩として扱ったり、すべての仕事を終えたあとに休憩時間を設けたりしても、法定の休憩を与えたことにはなりません。

 

たとえば、「本来は18時まで働くところ、17時に仕事を終えて17時~18時を休憩時間にする」といった運用では、実質的には17時で労働が終了していることになります。

 

休憩時間は、前後に実際の労働時間がある形で設定することが基本です。

 

Q.休憩時間中の外出を禁止しても良い?

 

休憩時間には「自由利用の原則」があるため、労働者は原則として休憩時間を自由に利用できます。ただし、厚生労働省は「休憩時間中の外出を許可制とすること自体が必ずしも違法になるわけではない」との考え方を示しています。

 

一方で、自由利用の観点から「外出の申し出を不許可とすることは難しく、労働者の同意を得たうえで届出制とすることが望ましい」としています。

 

<参考>スタートアップ労働条件(厚生労働省)

 

会社のセキュリティ管理などを理由に一定のルールを設ける場合でも、休憩時間の自由利用を不当に制限しないよう注意が必要です。

 

Q. 8時間ちょうどの勤務なら休憩は何分?

 

労働時間が8時間ちょうどの場合、法律上必要な休憩時間は45分以上です。

 

労働基準法第34条では、「労働時間が6時間を超える場合」は45分以上、「8時間を超える場合」は1時間以上の休憩を与えることが定められています。つまり、1時間以上の休憩が必要になるのは「8時間以上」ではなく、「8時間を超えた場合」です。

 

たとえば、9時に始業し、途中で45分の休憩を取り、17時45分に終業した場合、実労働時間は8時間ちょうどです。この場合、法律上必要な休憩時間は45分以上となります。

 

ただし、8時間勤務のあとに残業が発生し、実労働時間が8時間を超える場合には、必要な休憩時間は合計1時間以上となります。すでに45分の休憩を取得している場合は、さらに15分以上の休憩を労働時間の途中に確保する必要があります。

 

Q.従業員本人が「休憩はいらない」と言った場合はどうするべきか?

 

従業員本人が「休憩はいらない」「休憩せずに早く仕事を終えたい」と希望していても、法定の休憩時間を与えなくてよいことにはなりません。

 

労働基準法第34条では、労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を「使用者が与えなければならない」と定めています。したがって、法定の休憩時間が必要となる労働時間であれば、本人の希望を理由に休憩をなくすことはできません。

 

たとえば、9時から18時まで働く従業員が「昼休みはいらないので、その分早く帰りたい」と申し出たとしても、必要な休憩を与えずに8時間を超えて連続して働かせるような運用はできません。

 

また、会社が休憩時間を設定していても、従業員がその時間に業務を続けている場合には注意が必要です。休憩時間とは、労働者が仕事から離れることを保障されている時間です。電話対応や資料作成などの業務を行っていれば、その時間は休憩ではなく労働時間として扱われる可能性があります。

 

人事担当者や管理職は、「本人が希望しているから」と従業員任せにするのではなく、必要な休憩を実際に取得できるような勤務体制を整えることが重要です。

 

Q.忙しくて休憩時間を取れなかった場合は?

 

業務が忙しく、予定していた時間帯に休憩を取れなかった場合でも、法定の休憩時間をなくすことはできません。

 

たとえば、12時から13時までを昼休みとしていたものの、急な顧客対応によって12時30分まで業務を続けた場合、その業務をしていた30分間を休憩時間として扱うことはできません。厚生労働省も、「休憩中に電話や来客への対応を指示されている場合、その時間は休憩ではなく労働時間になる」としています。

 

<参考>労働時間・休憩・休日関係(厚生労働省)

 

予定していた時間に休憩を取れなかった場合は、その後の労働時間の途中で休憩時間を確保する必要があります。たとえば、12時から13時までの1時間休憩を予定していた従業員が12時30分まで業務を行ったのであれば、状況に応じて休憩時間を後ろにずらすなどの対応が考えられるでしょう。

 

重要なのは、「休憩予定の時間帯が勤怠システム上で設定されていたか」ではなく、従業員が実際に必要な休憩を取得できているかどうかです。

 

忙しさを理由に休憩が取れない状況が繰り返されている場合は、勤務体制そのものを見直す必要があります。「休憩を交代制にする」「人員配置を調整する」「休憩を取得できなかった場合に申告・修正できる仕組みを整える」など、確実に休憩を取得できる環境をつくることが重要だといえるでしょう。

 

休憩時間を適切に付与しない場合に起きる問題とは

 

休憩時間は、労働基準法で定められた労働者の権利です。そこで適切な休憩時間を付与しなかった場合、大きな問題が生じる可能性があります。どのような問題が生じるのか、3つを挙げて見ていきましょう。

 

問題(1)法的リスクと罰則

 

適切な休憩時間を付与しない場合、労働基準法第34条の違反により、使用者に対して「6月以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金」が科せられることになります。

 

<参考>:労働基準法第34条・119条(e-gov法令検索)

 

また、名目的には休憩時間であるものの、実際には労働時間として評価される「手待時間」などを求めた事実があった場合、労働者から「賃金不払い」により以下の手続きを実施されてしまうかもしれません。

 

 

【簡易裁判所で行える手続き】支払督促、少額訴訟、民事調停

【地方裁判所で行える手続き】労働審判

 

 

問題(2)従業員の健康への影響

 

ここまで何度も触れてきましたが、適切な休憩を与えずに6時間を超える労働を強いた場合、従業員の心身には多くの疲労が蓄積することになります。

 

疲労は、生産性や集中力の低下を招く要因になるものです。人によってはモチベーションが下がったり、ミスや失敗が増えたりすることもあるかもしれません。仕事やサービスの質が悪くなれば、顧客満足度が低下する可能性もでてくるでしょう。

 

また、従業員の健康面への負担が大きくなれば、適切な休憩を与えないことが休職や離職の要因になるかもしれません。

 

問題(3)従業員の不満の蓄積

 

従業員側が「法律で定められた休憩が与えられていない!」と気づけば、当然のことながら会社への違和感や不信感が募ることになります。それは、いわゆる従業員エンゲージメントの低下要因になるでしょう。

 

また、近年ではインターネットが普及したことで、SNSなどに会社の不満や悪口を投稿することも可能になっています。インターネット上で「◯◯会社では休憩を与えない!法律違反だ!」などと書かれてしまった場合、それがSNS上で拡散されて炎上を招くこともあるかもしれません。

 

こうしたトラブルを防ぐためには、労働基準法と従業員の健康状態の両方に配慮しながら、適切な休憩時間を与えていくことが重要になります。

 

休憩時間の適切な管理のポイント

 

休憩時間の適切な管理は、人事部門だけでできるものではありません。すべての従業員が労働基準法で定められたルールに則った休憩取得をするためには、現場の管理職や一般社員による制度の理解や協力も必要です。

 

ここでは、休憩の与え忘れや誤った運用による問題を解消し、適切な休憩管理をするためのポイントを4つ紹介しましょう。

 

ポイント(1)雇用形態ではなく実労働時間に応じて休憩を付与する

 

休憩時間は、正社員・パートタイマー・アルバイト・契約社員などの雇用形態ではなく、実際の労働時間に応じて適切に付与することが重要です。

 

ここまで何度か説明しているとおり、一定時間以上働いた労働に対しては法律で定められた休憩時間を付与することが労働基準法の第34条で義務付けられているからです。

 

ポイント(2)多様な就業形態に合わせて休憩ルールを整備する

 

近年のビジネス環境では、以下のように就業形態が多様化するなかで、制度ごとに適切な休憩時間の付与や取得の方法などを教育する必要もでてきています。

 

裁量労働制 / フレックスタイム制 / 時短勤務 / リモートワーク

 

たとえば、自社で上記の就業形態がすべて導入済みの場合、それぞれの仕組みの休憩時間について「◯◯勤務では◯時~◯時に休憩を取得する。その時刻を◯◯システムで上長に報告する」といったルールを作成し、従業員に共有・説明してもよいでしょう。

 

また、リモートワークの場合、「届いたメールに返信していたら休憩時間が終わっていた」などの状況に陥りやすいかもしれません。こうした問題を防ぐために、“休憩時間の3原則”を伝えておくことも重要です。

 

いずれにせよ、雇用形態や働き方が多様化する時代に適切な労務管理をするためには、各従業員に『守るべき制度のポイントと考え方』をわかりやすく共有し、それらが実践できる環境を整備していく必要があるでしょう。

 

ポイント(3)勤怠システムで実際の休憩取得状況を把握する

 

休憩時間を適切に管理するためには、就業規則や勤務シフトで休憩時間を定めるだけではなく、従業員が実際に休憩を取得できているかを確認することも重要です。

 

厚生労働省では、使用者に対して労働者の始業・終業時刻を確認・記録するとともに、タイムカードやICカード、パソコンの使用時間などの客観的な記録をもとに労働時間を適正に把握することを求めています。

 

<参考>使用者が講ずべき措置に関するガイドライン<PDF>(厚生労働省)

 

そのため、勤怠システムを活用する際には、出退勤時刻だけではなく、休憩の開始時刻・終了時刻についても実態を確認できる仕組みを整えておくとよいでしょう。勤怠システムを活用した運用としては、以下のような方法が考えられます。

 

 

  • 休憩の開始・終了時に勤怠システムへ打刻する
  • 所定の休憩時間と実際の取得時間に差がある場合は
    修正できるようにする
  • 休憩を取得できなかった場合に従業員から申告できる仕組みを設ける
  • 長時間勤務にもかかわらず休憩時間が不足している場合に
    アラートを出す
  • 勤怠記録とパソコンの使用履歴などに大きな乖離がないか確認する

 

 

特に注意したいのが、「休憩時間を自動控除しているから問題ない」と考えてしまうことです。

 

たとえば、毎日12時から13時までの1時間を自動的に休憩時間として控除する勤怠システムを使用していても、その時間帯に従業員が電話対応や資料作成などをしていれば、実態としては労働時間に該当する可能性があります。

 

勤怠管理では「システム上の記録と実際の働き方が一致していること」が重要です。人事担当者は、休憩時間が形式上設定されているかだけではなく、「従業員が実際に必要な休憩を取得できているか」という視点から定期的に運用状況を確認していくとよいでしょう。

 

ポイント(4)
休憩時間に仕事をさせないための対策を講じる

 

休憩中の業務発生を防ぐには、労働基準法第34条で定める3原則に加えてNG事例などを全従業員に周知することも重要です。

 

多くの企業で行われている「ランチミーティング」や「経営陣とのランチ会」、「営業部での新人歓迎ランチ」といったオンボーディング施策も、お昼の休憩時間に強制参加で実施されていた場合は労働時間として扱われる可能性があるため、別途必要な休憩時間を確保する必要があります。

 

なお、ランチミーティングは、「ちゃんと休めない」とか「上司と食事するのが苦痛」と感じる社員もいるため配慮しなければなりません。会社や経営層の主導でこうした企画を実行に移すときには、法律や開催時のポイントを理解してもらうのと同時に、従業員の負担にならない運営方法などを模索するようにしましょう。

 

人事業務のアウトソーシングならラクラスへ

 

本記事では、労働基準法に基づく休憩時間と残業の基本を整理して、ルールや管理方法を解説してきました。休憩時間の適切な管理については、人事担当者にとって大きな負担になると感じた方も多いと思います。

 

もし、人事業務のアウトソーシングを実現して人事業務を高品質化したいとお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。

 

ラクラスの特徴として、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ対応を得意としています。他社では難色を示してしまうようなカスタマイズであっても、柔軟に対応することができます。それにより、大幅な業務効率の改善を見込むことができます。

 

また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。

 

特に大企業を中心として760社86万人以上の受託実績がありますが、もし御社でも人事の課題を抱えており解決方法をお探しでしたら、ぜひわたしたちラクラスへご相談ください。

 

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