本業と副業の労働時間の考え方とは? 通算ルールや注意点を解説
本記事では、副業の定義および副業中における労働時間の基礎知識を確認したうえで、人事担当者が行うべき調整や36協定などの手続きポイントを解説します。また、従業員の副業解禁にともなって発生する労務管理の重要性や法的リスクを防ぐための対策も紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
昨今は従業員の副業を許可する企業も増えていますが、その場合に人事労務担当者のマネジメント対象のなかで特に複雑化しやすいのが「労働時間の管理」です。
本業である自社の業務だけに従事してもらう場合は、「自社の労働時間だけ」を管理すれば良いのが原則です。しかし従業員が他社での副業を始めた場合、人事労務担当者には「他社の労働時間」も意識したマネジメントが求められます。
そこで本記事では、副業の定義および副業中における労働時間の基礎知識を確認したうえで、人事担当者が行うべき調整や36協定などの手続きポイントを解説します。また、記事の後半では、従業員の副業解禁にともなって発生する労務管理の重要性や法的リスクを防ぐための対策も紹介していきます。
従業員の副業を許可するうえで労働時間の考え方や制度の基本を理解したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
副業の基本理解
社内で副業に関する制度を設計したり、従業員の副業を支援したりするうえでは、「そもそも副業とはどういうものなのか?」という定義の理解が必要です。ここでは、兼業・複業といった関連用語との違いを見ながら、副業の定義を確認していきましょう。
副業とは
そもそも副業は、法律用語ではありません。一般的な定義としては、「本業以外に行う仕事」です。ここでのポイントは、仕事にかける労力は本業のほうが大きいことが原則となります。
副業と兼業・複業の違い
副業と同じような意味合いで使われる言葉に、兼業と複業があります。
まず、副業と兼業には、大きな違いはありません。厚生労働省でも「副業・兼業」のページで案内をしていますから、多くのビジネスシーンでは同じ意味であったり「副業兼業」という1つの単語で語られたりします。
これらの用語の意味を厳密に区別しようとするならば、それぞれの漢字に着目するとわかりやすいでしょう。
副業は、「副」という言葉が示すとおり「本業(メイン)のサブ(副)で行う仕事」が基本的な定義となるでしょう。これに対して兼業は「兼」という漢字を使っていることから、「本業以外に他の仕事も兼ねること」と定義されるケースが多いです。
兼業の場合、兼ねる仕事には「メインとサブ」といった関係性がないことが多く、場合によっては各仕事が同等になったりするかもしれません。また、たとえば会社員が個人事業主として本格的に仕事を請け負う場合も、兼業と位置づけられる可能性が高いでしょう。
次に副業と複業の違いですが、責任・専門性・プロ意識などの部分で差があります。
複業は、すべての仕事が本業に限りなく近く、それぞれに対して高度な専門性やプロ意識をもって取り組むイメージで語られることが多いです。これに対して副業は、例として「平日夜」や「土日祝日」といった本業の空き時間に実施される傾向があるでしょう。
副業の場合は、本業の空き時間に実施される「サブの仕事」に近くなるため、本業のようにたとえば「3月までにメンバー全員の生産性が上がるように、適切な指導をしてください」といった重い責任を負うケースは少ないかもしれません。
ここまでの内容をまとめると、副業・兼業・複業には以下の違いがあることが見えてきます。
| 種類 | 概要 |
| 副業 |
本業の空いた時間に行う副(サブ)の仕事 |
| 兼業 |
複数の仕事を兼ねて行うこと。 |
| 複業 |
多くの時間と労力を必要とする責任ある |
なお、この記事では副業と兼業をほぼ同じ意味として扱っていきます。
厚生労働省が考える副業・兼業の定義
先述したとおり、副業には法律的な定義がありません。しかし厚生労働省では、国が副業・兼業を推進するなかで、副業・兼業部分の“モデル就業規則”を以下のように示しています。
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(副業・兼業) 第65条
① 労務提供上の支障がある場合 ② 企業秘密が漏洩する場合 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、 ④ 競業により、企業の利益を害する場合
<引用>:モデル就業規則の改定案(副業・兼業部分)<PDF>(厚生労働省)
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上記のポイントは「勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」という点です。この文言はあくまでモデルになりますが、しかしそれでも「空いた時間に従事する」という点は、自社の副業・兼業制度を設計するうえで大きなポイントになってくるでしょう。
副業・兼業の効果とメリット
従業員の副業・兼業を許可し、より良いバランスで働ける仕組みを構築するうえでは、副業・兼業によってもたらされるメリットを理解しておくことが大切です。ここでは、自社の従業員に副業を許可する企業側と、副業を行う労働者本人のそれぞれについて、効果とメリットを見ていきましょう。
【企業側】副業・兼業の効果とメリット
企業側が従業員の副業・兼業を許可することで得られる効果は、主に以下の3つです。
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たとえば、プログラマーやエンジニアの人材が、生成AIを活用する企業の開発案件で副業をした場合、最先端の技術やノウハウに触れることでスキルが向上し、自社の仕事に役立てられる可能性があります。
また、こうした副業は従業員本人に「成長する喜び」や「最新技術に触れられる刺激」をもたらすかもしれません。
成長の停滞や仕事のマンネリ化は、従業員個人のパフォーマンスやモチベーションに悪影響を及ぼすのが一般的ですが、副業を行うことで精神面・スキル面での良い影響が生まれると、本業の仕事にも好循環がもたらされる可能性があるわけです。
さらに、他社で副業をすることで経済的に安定すれば、お金のためにわざわざ転職をする必要もなくなったりするでしょう。
なお、副業・兼業による従業員の好循環は、採用活動における魅力づけとしても活用できます。たとえば、「副業・兼業制度の導入で、エンジニアにこんな好循環が生まれた!」などの情報を発信すれば、自社が求めるターゲット層を惹きつけやすくなるかもしれません。
【従業員側】副業・兼業の効果とメリット
従業員が副業を行うメリットには、以下の4つがあります。
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副業を行うと、本業の勤務時間外に仕事をすることになりますから、収入アップのメリットが得られる可能性が高いでしょう。また、副業には、本業によるある程度の収入が確保できるなかで、将来のキャリアにつながる挑戦を行える利点があります。それはつまり、新たなチャレンジによるリスクを最小限にできるということです。
たとえば、求められるスキルレベルが高い業界で働くと、理想と現実との乖離に直面してショックを受けたり、自分のスキルでは歯が立たないことに気付かされたりして、場合によっては途中で挫折することもあるでしょう。
しかし、高いレベルの領域へのチャレンジを副業として行えば、仮に挫折や失敗をしても、生活をするための基本収入は途絶えづらくなるはずです。
将来の転職や起業に向けて、「お金も貯めたいし、高いレベルの環境で高度なスキルも身につけたい」といった人の場合、副業を活用するメリットは非常に大きくなるといえます。
副業における労働時間の基本原則と手続きポイント
従業員が副業を始めると、その人の“総労働時間”が増える可能性が高くなるでしょう。では、副業を行う従業員の労働時間は、法律上どのように取り扱えばよいのでしょうか。また、従業員が本業・副業でたくさん働いた場合、時間外労働や割増賃金の支払いはどうなるのでしょうか。
ここでは、厚生労働省が示す資料を見ながら副業における労働時間の原則と考え方を確認していきます。
副業における労働時間の基本原則と考え方
たとえば、自社(A社)で働く従業員がB社で副業をする場合、労働時間は「A社+B社」で通算して見ていきます。
そうなると、使用者であるA社では、従業員による自己申告などを通して、副業先B社での労働時間を把握しなければなりません。また、この通算時間は、副業先のB社でも管理しなければならないのです。
<参考>:労働時間通算の原則的な手順<PDF>(厚生労働省)
副業と法定労働時間、時間外労働の関係
従業員が副業をする場合にも、労働基準法の第32条・第40条で定める法定労働時間(週40時間、1日8時間以内)の原則をベースに、通算労働時間(所定労働時間)の管理をしていきます。
この管理をするうえでのポイントは、「どちらが先に契約をしたか?」で通算の順番が変わる点です。たとえば、「A社に2026年4月入社した人」が「同年6月からB社で副業を始めた」場合、先に契約したのはA社ですから、厚生労働省が示す以下の表のとおり、「A社⇒B社の順で通算していきます。

<引用>:労働時間通算の原則的な手順(厚生労働省)
通算順が重要となる理由は、通算した労働時間(所定労働時間)が「週40時間、1日8時間以内」の法定労働時間を超えた場合に、時間外労働に対する割増賃金を負担する側を明確にする必要があるからです。
たとえば上記の例では、月曜日と金曜日の所定労働時間が法定労働時間の「1日8時間」を超過しています。この場合、超過分の2時間(1時間×2日)に対して割増賃金を支払う必要があります。
そこで通算順を明確にすると、2時間分の割増賃金を負担するのは本人との契約をあとに行ったB社(使用者B)ということになるでしょう。
副業の労働時間や時間外労働と36協定
自社で従業員の副業を許可する仕組みを導入して、その結果、従業員の労働時間が法定労働時間を超える可能性がでてくる場合は、労働時間を延長するための36協定を締結しなければなりません。
36協定については、後ほど詳しく紹介していきます。
副業における労働時間通算の注意点
従業員の副業を許可する場合、自社と副業先での法定外労働時間と休日労働の時間をあわせて「単月100時間未満、複数月平均80時間以内」にしなければなりません。これは、「時間外労働の上限規制」と呼ばれるものです。
仮に、先に契約した自社における法定労働時間と休日労働の時間が「単月75時間」になった場合、副業先では「単月の上限100時間-75時間⇒25時間未満」しか働けなくなります。この状況では、契約順が遅い副業先で従業員があまり活躍できなくなるかもしれません。
厚生労働省では、こうした問題を防ぐために「単月100時間未満、複数月平均80時間以内」となる範囲内において、各使用者における労働時間の上限をそれぞれが設定する管理モデルを提案しています。この運用を行えば、契約順が後ろの副業先(B社)で従業員を使用できる時間が極端に減ることはないはずです。
厚生労働省の管理モデルを実践する場合、契約順が先の企業側(A社)では「所定労働時間を超えて労働させる必要がある旨」について、実際に副業を行う労働者を通じて契約順が後ろの企業(B社)に伝える必要があります。
また、契約順が先の企業(A社)における導入時に設定した労働時間について変更が必要になる可能性がある場合も、労働者を通じてその旨をB社に通知し、調整や変更を円滑に行えるように取り決めておく必要があるでしょう。
この管理モデルのポイントについては、厚生労働省が示す以下の資料の19~24ページにも詳しく記載されています。副業制度の導入・設計をする際には、この資料を必ず確認するようにしてください。
<参考>:副業・兼業の場合の労働時間管理について<PDF>(厚生労働省)
従業員の副業許可と36協定のポイント
ここまで紹介したとおり、従業員が副業をした場合の労働時間は、本業・副業を問わずすべての勤務先の分について通算して管理することになります。そこで法定労働時間を超える時間外労働が発生する可能性がある場合、労働基準法第36条にもとづく労使協定(36協定)の締結が必要です。
この章では、自社で従業員の副業を許可するなかで36協定を締結していく場合の基本的な考え方とポイントを確認しましょう。
従業員の副業許可時に36協定で定める延長時間
自社で従業員の副業を許可する場合に36協定で締結する以下の時間は、個々の事業場について定めます。
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<出典>:副業・兼業の場合の労働時間管理について<PDF>(厚生労働省)
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つまり、従業員が副業を行う他の使用者の事業場における労働時間との通算をすることはなく、一般的な36協定と同様に「自社の延長時間」について定めることになります。
従業員の副業許可時における36協定の締結手続き
従業員の副業を許可する場合に36協定の締結を行う際の流れは、以下のように一般の36協定手続きと同じです。
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詳しい流れについては、以下の記事でも詳しく解説しています。これから36協定の締結を行う場合は、ぜひとも記事の内容を参考にしてください。
【関連記事】36協定の特別条項とは?罰則付き上限時間の詳細と締結手続きのポイントを解説
従業員の副業と労務管理について
先述のとおり、従業員の副業を許可すると、本人の労働時間について他社との通算で考えたり、他の使用者との間で調整や交渉を行ったりする必要がでてきます。そこで重要となるのが、労務管理です。
ここでは労務管理の概要を確認したうえで、副業制度の導入時に労務管理が重要となる理由や、適切な労務管理をするために活用したいITツールについて紹介していきます。
労務管理とは
労務管理とは、労働基準法や労働安全衛生法といった法律の定めに従い、従業員が働く環境の整備やマネジメントを行うことです。具体的には、以下の業務が労務管理に該当するでしょう。
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従業員の副業を許可する場合、以下の労務管理業務が特に重要となります。
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具体的には、副業制度および時間外労働について就業規則で定め、必要に応じて労使協定を締結し、従業員本人に対しては労働条件通知書を提示します。そして副業を行う従業員について、勤怠管理で労働時間の管理(勤怠管理)をしていくイメージでしょう。
労務管理の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひ確認してください。
【関連記事】人事労務管理の重要性とは? 人事管理と労務管理の基本概念から業務内容までを徹底解説
副業許可時と労務管理の重要性
従業員の副業を許可するときに労務管理が重要となる理由は、副業によって生じる可能性が高い以下のリスクを防ぐためです。
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まず、従業員が副業を始める場合、就業規則および労使協定の内容を共有したうえで、必ず遵守してもらう必要があります。また、副業ルールの違反は、上記のように会社にとって大きな損失やリスクにつながる可能性が高いものばかりです。
副業規定の内容を共有する際には、原則として以下の3つの義務を意識すべきであり、「万が一違反をした場合はどうなるか?」というペナルティの説明も必要となります。
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【職務専念義務】 【秘密保持義務】 【競業避止義務】
<出典>:副業・兼業の促進に関するガイドライン<PDF>(厚生労働省)
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上記のなかで特に誤解が生じやすいのが、競業避止義務です。
たとえば、あるエンジニアが以下の組み合わせで本業・副業の仕事をするとします。
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【A社】 【B社】
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これらは事業の競合関係ではありませんから、競業避止義務としての問題がない可能性が高いでしょう。
一方で、副業先のB社も買取アプリの開発企業であり、副業として従事する仕事内容がA社と同じ設計開発テストの場合は、どうでしょうか。この場合、A社が独自開発したアプリの仕組みなどがB社に流出するリスクがあるため、競業避止義務に違反する可能性があります。
副業にともなうこうした問題を防ぐためには、競業避止義務の中身についても詳しく説明したうえで、副業先選びの段階からサポートやマネジメントを行う必要があるでしょう。
副業許可時の勤怠管理に活用できるITツール
従業員の副業を許可する場合、労働時間を他の使用者との通算で見ていく必要があることから、副業がないケースよりもさらに厳密な勤怠管理が求められます。
そこで他の使用者との取り決めに違反することなく、適切な労働時間管理をしていくためには、アラート機能などがついたITツールを活用するのがおすすめです。いわゆる勤怠管理システムがそれにあたるでしょう。
勤怠管理システムの機能は、契約サービスごとに異なります。一般的なサービスとしては、以下のような機能が搭載されていることが多いでしょう。
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また、厚生労働省では、労働者が自ら本業および副業・兼業の労働時間や健康状態を管理できる無料アプリ「マルチジョブ健康管理ツール」を以下のページで提供中です。
<参考>:副業・兼業(厚生労働省)
従業員が副業をする場合、自社と副業先の両方で労働時間を管理することになりますが、そういったなかでいわゆる働きすぎや健康面への影響を防ぐためには、「本業と兼業でどれだけ働いたか?」や「きちんと休息できているか?(睡眠時間はどのくらいか?)」などを本人に確認してもらえるアプリの活用が有効となるでしょう。
副業で発生する税金と確定申告の基礎知識
副業所得と税金の関係は、「副業によって所得が増えた場合、支払う税金も増える」というのが基本的な考え方です。また、一般の給与所得者の場合は会社が年末調整で精算手続きをしてくれますが、一方で従業員が副業により複数の企業と取引している場合、本人が自分で所得や税額の申告を行い、納税する必要がでてくるでしょう。
では、副業者はどういう条件に該当したときに自ら確定申告および納税をする必要があるのでしょうか。ここでは、副業者における税金と確定申告のポイントを解説します。
副業所得に対してかかる可能性のある2種類の税金
副業所得に対してかかる可能性のある税金の種類は、以下の2つです。
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【所得税・復興特別所得税】 【住民税】
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副業をする従業員のなかで確定申告が必要な人とは
企業から給与を受ける従業員が副業をする場合、「給与所得者のなかで確定申告が必要な人に該当するか?」という視点から要件を見ていきます。国税庁が示す要件は、以下の7つです。
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<引用>:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁)
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上記のなかで副業をする人にとって特に関係する要件は、1・2・3・6です。所得税の場合、収入から必要経費を差し引いた所得が20万円を超えた場合に確定申告が必要となります。
労働時間でマネジメントが行われる副業ではなく、たとえば「請負でプログラムを作った。その報酬が25万円だった。」といった場合も、経費を差し引いて所得が20万円以上になれば、確定申告をしなければなりません。
これに対して住民税は、所得額に関わらず申告する必要があります。確定申告を行っていれば住民税申告は不要ですが、確定申告をしない場合は1月1日時点で住所のある市区町村に対して申告をする必要があります。
なお、給与所得者における確定申告のポイントは、国税庁の以下ページで詳しく示されています。副業をする人が確定申告を行う場合は、以下のページで申告期限や手続きの流れを必ず確認してください。
<参考>:給与所得者の確定申告(国税庁)
副業時における労働災害の考え方
働く人が副業をする場合も、労働災害でケガや病気になるリスクはゼロではありません。労災保険法では、副業・兼業する人が労働災害に被災した場合を想定した制度も用意しています。
ここでは、副業と労災保険の関係性がよくわかる2つの概念(制度)を紹介しましょう。
(1)複数事業労働者
労災保険制度では、労災に被災したタイミングで事業主が同一ではない複数事業場と労働契約関係にある労働者のことを「複数事業労働者」と位置づけます。
複数事業労働者が被災して本人や遺族などへの労災保険給付を行う場合、給付額は、全就業先の賃金を合算した額にもとづき決定する形です。
たとえば、ある複数事業労働者がA社・B社と雇用契約を締結していて、A社の給与が30万円、B社が20万円だったと仮定します。
この本人がたとえばB社での副業中に労災による骨折をして入院した場合、労災保険から休業補償給付が支給されることになります。この休業補償給付の算定基礎となる給付基礎日額は、骨折をしたB社の20万円だけでなく、A社の30万円も合算した合計額(50万円)で算定されます。
(2)複数業務要因災害
たとえば、A社とB社で働く人が、あまりの総労働時間の多さや疲労の蓄積、ストレスなどから病気になった場合、どちらの事業場に要因があるかわかりづらいものです。この場合、事業主が同一でない複数の事業場の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定できる複数業務要因災害として、保険給付が受けられる可能性が高いです。
たとえば、ある人がA社とB社で40時間ずつ残業をしていた場合、それぞれの労働時間で判定すると、労災認定基準に達しないかもしれません。しかし、そこで2社の労働時間を総合的に見ていくと、脳・心臓疾患の労災認定基準とされている残業時間を超過していることが明確になることで、労災認定されるイメージです。
ただし、上記の保険給付を受けるためには、両方の会社で労災保険に加入する必要があります。労災保険の加入状況は副業先でもきちんと確認するようにしましょう。
<参考>:兼業・副業の労災保険。労災にあった場合の給付はどうなる?(厚生労働省)
<参考>:労災保険(労災・雇用)に入る義務があります。<PDF>(厚生労働省・労働基準監督署)
人事労務のアウトソーシングならラクラスへ
本記事では、副業の定義および副業中における労働時間の基礎知識を確認したうえで、人事担当者が行うべき調整や36協定などの手続きポイントを解説してきました。従業員の副業解禁にともなって発生する労務管理は複雑なため、人事部のなかでも負担に感じている方は多いのではないでしょうか。
もし人事業務における業務効率化をお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。
ラクラスの特徴として、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ対応を得意としています。他社では難色を示してしまうようなカスタマイズであっても、柔軟に対応することができます。それにより、大幅な業務効率の改善を見込むことができます。
また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。
特に大企業を中心として760社86万人以上の受託実績がありますが、もし御社でも人事の課題を抱えており解決方法をお探しでしたら、ぜひわたしたちラクラスへご相談ください。
