入社と退社における手続きガイド|人事が行うべき業務のスケジュールと期限、注意点を解説
本記事では、入社・退社の定義を確認したうえで、人事労務の担当者が行うべき手続きと流れを解説していきます。入社・退社に関連する業務を担当する方は、ぜひチェックリストとして本記事をご活用ください。
従業員の入社と退社にともなう手続きは、人事労務担当者の大事な業務の一つです。
特に近年は、「転職の一般化」などの要因から、終身雇用が当たり前だった頃と比べて従業員の入社と退社が増加しやすくなっています。こうしたなかで担当者が適切な手続きを速やかに行うためには、入社と退社における基礎知識として手続きの構成要素それぞれの意味、流れなどを理解することが重要になります。
そこで本記事では、入社・退社の定義を確認したうえで、人事労務の担当者が行うべき手続きと流れを解説します。これらの業務を担当する方は、ぜひチェックリストとして本記事をご活用ください。
入社と退社の基本知識
人事労務担当者が入社・退社の適切な手続きを行ううえでは、まずはこれらの用語が指す定義を理解することが大切です。この章では、言葉の意味の部分から入社・退社の定義を確認していきます。
入社とは何か?
そもそも入社とは、従業員の視点で見ると「会社に入り、その組織の社員になること」を指す言葉です。一般的には、企業などに就職することを入社と呼ぶことが多いでしょう。
一方で企業の人事労務担当者の視点で考えると、入社は「自社の従業員として雇い入れること」を意味します。入社では従業員の雇用を前提とするため、業務委託契約を通してフリーランスや個人事業主などに業務の一部を任せる場合は、入社にはあたりません。
詳しい手続きのポイントは後述しますが、従業員を入社させる場合、雇用をして、要件に該当する場合は社会保険や労働保険に加入し、労働の対価として毎月決められた日に給料を支払うという流れになるでしょう。
なお、入社とよく似た言葉に、「入職」があります。入社と入職の違いは、それぞれの漢字を見るとよくわかります。入社は「社(会社)に入ること」である一方で、入職は「職(職業・職務)に入る、就職する」イメージです。入職の場合、たとえば「看護師として病院に入職する」などの言い方がよく使われます。
退社とは何か?
続いて退社ですが、退社には以下の2つの意味があります。
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① その日の仕事を終えて会社を出ること ② 会社を辞めること
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①については、「退勤」ともいえるでしょう。これに対して②は、「退職」にあたる言葉です。退職とは、「労働者が会社との雇用契約(労働契約)を終了すること」になります。
なお、退職と近い言葉に、「辞職」や「解雇」があります。辞職は、労働者が自分の意思で会社を辞めることです。解雇は、従業員の同意なく、会社側からの一方的な通知により雇用契約を終了させることになります。
退職・辞職・解雇のどれであっても、労働者が会社と雇用契約を終了する点は共通しています。
それはつまり、従業員の退職・辞職・解雇が発生した場合、人事労務担当者には、後述する各種手続きが求められるということです。
これに対して業務の一部を切り出してお願いする業務委託契約の場合、そもそも企業への入社をしていませんから、退社手続きは発生しません。
入社手続きの流れ
新たな従業員を採用した場合、人事労務担当者は、入社前~入社当日~入社後の流れのなかで、以下の手続きを行う必要があります。
| 時期 | 担当者が実施すべき手続き |
| 入社前 | ①内定通知・承諾 |
| ②労働条件の明示・雇用契約の締結 | |
| ③入社に向けた案内 | |
| ④受け入れ準備(書類・環境・備品など) | |
| 入社日 | ⑤書類の回収 |
| ⑥オリエンテーション | |
| 入社後 | ⑦社会保険・雇用保険の手続き |
| ⑧税関連の手続き | |
| ⑨法定三帳簿の作成 |
ここでは、①から⑨までの一般的な入社手続きのポイントを順に確認していきます。
人事労務担当者が「入社前」に行う手続き
人事労務担当者が新社員の入社前に行う手続きは、以下の4つです。
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① 内定通知・承諾 ② 労働条件の明示・雇用契約の締結 ③ 入社に向けた案内 ④ 受け入れ準備(書類・環境・備品など)
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近年のビジネス環境では、就職・転職活動の方法が多様化し「内定辞退」も増えているため、入社前に行う手続きの重要性が特に高まっています。それぞれのポイントを見ていきましょう。
・①内定通知・承諾
応募者の最終選考を終えて内定が決まったら、企業側では早めに「内定通知(書)」を出します。その後、内定者から「内定承諾書」を提出してもらう流れです。内定通知書と内定承諾書には、以下の違いがあります。
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【内定通知書】 【内定承諾書】
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内定通知を早めに出すべき理由は、求職者の多くは複数の応募を行っているため、採用競合よりも早く結果を提示し、優秀な人材を確保するためです。
ただし、内定通知書および内定承諾書には注意点があります。それは、この2つの書類が法律で定められたものではなく、法的な効力(拘束力)がないという点です。
したがって、内定者が企業に内定承諾書を提出しても、民法627条の原則に照らすと、本人が入社の14日前に告知をすることで、内定辞退に転じることも可能となります。
内定承諾書はこうした背景から、“本人に内定の意思があることの確認を行う”程度の書類となります。しかし、内定者本人のモチベーションや自社で働く意思を固めてもらううえでも、“企業と内定者の間で取り交わしておいたほうが良い書類”となるでしょう。
<参考>:e-GOV法令検索(民法627条)
・②労働条件の明示・雇用契約の締結
内定の通知と意思確認を終えたら、次は具体的な労働条件を示して、合意をとる手続きに入ります。
労働条件通知書による労働条件の明示は、労働基準法の第15条で定められた事業者の義務です。新入社員を雇用する際には、必ず労働条件通知書を作成して本人に見てもらい、その内容への合意を得る必要があります。
労働条件通知書には、以下の項目を必ず記載しなければなりません。書面作成時のポイントや様式については、厚生労働省のホームページで示されています。
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(1)労働契約の期間(期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準) (2)就業の場所・従事する業務の内容 (3)労働時間 (4)賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切、 (5)退職に関する事項
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なお、労働条件の合意後に取り交わされることが多い雇用契約書は、法律で定められた義務ではありません。しかし、たとえば契約条件への合意を口頭で済ませてしまうと、後々「言った・言わない」のトラブルになってしまう可能性があります。そのため、一般的な入社手続きでは雇用契約書に署名押印をしてもらい、「合意の証明」を残すことが多いでしょう。
・③入社に向けた案内
近年では、内定者の内定辞退や早期離職が増えるなかで、「内定者を安心させるための案内」の重要性も高まるようになりました。
これは、いわゆる“内定者フォロー”の一種です。具体的な案内は企業ごとに異なる部分もありますが、一般的には、以下の案内を通して内定者の不安を解消することがポイントとなるでしょう。
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こうした案内には、人事労務担当者が行う入社手続きをスムーズに進めるメリットもあります。ただ、具体的な内容については、新卒・中途や企業ごとに変わる部分もあります。一般的には以下の書類の用意を求めることが多いでしょう。
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これらの書類については、以下の記事でも詳しく解説しています。入社手続きを進める人事労務担当者は、必ず確認しておいてください。
【関連記事】入社手続きに必要な書類とは?社会保険や税金関連の手続き、全体スケジュールも解説
・④受け入れ準備(書類・環境・備品など)
内定者フォローと並行して進めていくのが、受け入れ準備です。
受け入れ準備は、新入社員が現場で労働を行い、その労働に対する賃金を支払ったり社会保険料や税金を納めたりといった管理をするために必要な手続きとなります。
多くの新入社員は、仕事に従事する前にOJTやOff-JTを中心とする研修を行うのが一般的です。そのため、受け入れ準備のなかでは、集合研修の担当者や現場の管理職、OJT担当との調整も必要でしょう。
また、たとえば集合研修(新人研修)でプログラミングの基礎を学ぶとなれば、研修会場でPCやタブレット端末の設置も必要かもしれません。このように受け入れ準備を進めるなかでは、さまざまな担当者とコミュニケーションを図りながら、入社日以降の停滞が起こらないように、備品や環境の準備をぬかりなく行う必要があります。
また、会社が新入社員を受け入れる際には、いくつかの書類も用意しなければなりません。ここまでのステップで内定通知書(承諾書)・労働条件通知書・雇用契約書まで取り交わしていると仮定すると、入社日までには以下の3つの書類を用意し、記入のために配布しておく必要があるでしょう。
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上記の書類および内定通知書・労働条件通知書・雇用契約書については、以下の記事でも詳しく解説しています。入社手続きを始める前に、必ず確認してください。
【関連記事】入社手続きに必要な書類とは?社会保険や税金関連の手続き、全体スケジュールも解説
人事労務担当者が「入社日」に行う手続き
入社当日に人事労務担当者が行うことは、以下の2つです。
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⑤ 書類の回収 ⑥ オリエンテーション
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それぞれポイントを見ていきましょう。
・⑤書類の回収
ここで回収すべき書類は、「本人確認」と「給与や賞与の支払い+社会保険料・税金の天引き」のために使うものです。詳細は企業ごとに異なるところもありますが、一般的な事務手続きとしては以下のものを回収する形となるでしょう。
| カテゴリ(用途) | 書類名 |
| 本人確認 |
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| 給与・税金関連 |
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| 社会保険・ 労働保険関連 |
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・⑥オリエンテーション
オリエンテーションとは、自社理解を深めてもらうことで、これから始まる集合研修(新人研修)や現場での仕事にスムーズに入っていけるようにするためのものです。
オリエンテーションの具体的内容は、新卒・中途や、内定~入社日までに実施されたイベント、内定者フォローの影響を受けるでしょう。また、オリエンテーションは内定式の当日や直後に実施されたりもします。
説明されることが多い内容としては、以下のものがあるでしょう。
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オリエンテーションは、新入社員同士や先輩社員、経営層が交流し、人間関係を構築する場として実施されることもあります。たとえば、懇親会や内定者研修と組み合わせられている場合、新入社員はそこで人脈をつくることで仲間と一緒に研修に臨むことができ、不安の解消にもつながるでしょう。
人事労務担当者が「入社後」に行う手続き
新入社員から各種書類を受け取ったら、給与支払いの際に天引きを行ったり、従業員の情報の管理を行ったりするための手続きに入ります。主な業務は以下の3つです。
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⑦ 社会保険・労働保険の手続き ⑧ 税関連の手続き ⑨ 法定三帳簿の作成
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それぞれ概要を見ていきましょう。
・⑦社会保険・労働保険の手続き
いわゆる社会保険料として給与から控除する加入保険には、以下の4種類があります。人事労務担当者は、それぞれについて加入要件に該当しているかを確認したうえで、必要であれば加入手続きを行います。
| 保険の 分類 |
保険の 種類 |
必要書類 | 提出先 | 期限 |
| 社会保険 | 健康保険 |
被保険者資格 |
年金事務所 | 従業員の入社日から5日以内 |
| 厚生年金 保険 |
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| 労働保険 | 雇用保険 | 雇用保険被保険者資格取得届 | ハローワーク | 従業員が入社した日の翌月10日まで |
| 労災保険 | 保険関係成立届 | 労働基準 監督署 |
最初の従業員が入社した日の翌日から10日以内 | |
| 概算保険料申告書 | 労働基準監督署、都道府県労働局、金融機関のいずれか | 最初の従業員が入社した日の翌日から50日以内 |
<参考>:就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き(日本年金機構)
<参考>:労働保険の成立手続(厚生労働省)
各保険の加入要件については、以下の記事でも詳しく解説しています。新人の入社前には必ず確認しておいてください。
【関連記事】入社手続きに必要な書類とは?社会保険や税金関連の手続き、全体スケジュールも解説
・⑧税関連の手続き
税金に関する手続きは、原則として従業員の給料から所得税と住民税を源泉徴収するために必要なものです。
所得税については、新入社員に「扶養控除等(異動)申告書」を提出してもらいます。また、同年に前の職場を離職して自社に入社した場合は、前職から受け取った源泉徴収票の提出も必要です。
これに対して住民税は、新入社員が以下のどのパターンに該当するかで実施する手続きが異なります。
| 新入社員の状況 | 会社が行うべき手続き | |
| 新卒社員 | 住民税に関する特別な手続きは不要。 入社2年目から特別徴収が開始される。 |
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| 中途 社員 |
普通徴収から 特別徴収に 切り替える場合 |
「特別徴収切替届出(依頼)書」を、 従業員の居住市区町村に提出する。 |
| 前職から引き続き 特別徴収を 希望する場合 |
「特別徴収にかかる給与所得者異動届書」を、 従業員の居住市区町村に提出する。 |
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<参考>:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告(国税庁)
<参考>:A2-2 給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成(国税庁)
<参考>:特別徴収の流れ(東京都北区)
・⑨法定三帳簿の作成
法定三帳簿とは、労働者名簿・賃金台帳・出勤簿(労働時間の記録)を指す総称です。また近年は、年次有給休暇管理簿の作成も義務化されているため、あわせて「法定四帳簿」と呼ばれることもあります。
法定三帳簿は、労働基準法の条文にもとづき作成するものです。そのため作成時は、必要項目や様式、保存期間・起算日などに注意をする必要があります。具体的なポイントは、以下の表のとおりです。
| 帳簿の名称 | 労働基準法の 関連条文 |
必要項目 | 保存期間・ 起算日 |
様式 |
| 労働者名簿 | 第107条 |
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3年 |
(項目に漏れがなければ独自のフォーマットでも可能) |
| 賃金台帳 | 第108条 |
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3年 |
(項目に漏れが |
| 出勤簿等 | 第108条関係 |
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3年 |
任意OK |
| 年次有給休暇 管理簿 |
施行規則 第24条の7 |
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3年 |
任意でOK |
<出典>:ととのえましょう!法定帳簿<PDF>(出雲労働基準監督署)
<出典>:労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう~労働関係法令上の帳簿等の種類と保存期間について(簡易版)~<PDF>(厚生労働省)
法定三帳簿(法定四帳簿)については、以下の記事でも詳しく解説しています。新入社員の雇用前には必ず確認しておいてください。
【関連記事】法定三帳簿とは? 必須記載項目や作成方法、保存期間などを詳しく解説
退社手続きの流れ
従業員が退社する場合も、以下のようにさまざまな手続きを行う必要があります。
| 期限 | 手続きの内容 |
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従業員が意思表示をした日 |
退職届の受理 |
| 退職日まで | 退職手続きの説明 |
| 退職にともなう必要書類の確認 | |
| 貸与品・健康保険証の回収 | |
| 退職日の5日後まで | 社会保険の脱退手続き |
| 退職月の翌月10日まで |
住民税の手続き |
| 退職日の翌々日から10日後まで | 雇用保険の脱退手続き |
| 退職日から1ヵ月後まで | 健康保険資格喪失証明書の送付 |
| 離職票の送付 | |
| 雇用保険被保険者証の送付 | |
| 退職証明書の送付 | |
| 源泉徴収票の送付 |
退社の場合、入社と比べて期限を意識すべき手続きが多いといえます。この章では、それぞれのタイミングにおけるポイントを確認していきます。
意思表示をした日(退職日の14日より前)
人事労務担当者の退社手続きは、従業員から退職の申し出を受けた日から始まります。
退職の申し出を受ける際のポイントは、なるべく口頭以外の方法で提出してもらうことです。退社手続きをスムーズに進めるためには、会社側で退職願や退職届の様式を用意しておき、そこに記入をしてもらうのもよいでしょう。書面を提出してもらうことで、従業員が退職の意思表示をした日が明確になります。
担当者が退社手続きを進めるうえで「意思表示をした日」が重要となる理由は、従業員の退職についても意識すべき法律があるからです。以下の3つは、退社手続きを進めるうえで特に知っておくべきものでしょう。
| 退職関連の ポイント |
関連法規 | 概要・注意点 |
| 退職の自由の原則 | 民法627条 |
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| 退職届の受理 | 民法627条 |
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| 年次有給休暇 の取得(消化) |
労働基準法 第39条 |
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<参考>:e-GOV法令検索(民法627条)
<参考>:e-GOV法令検索(労働基準法第39条)
退職日までに行う手続き
退職の意思表示があった日から退職日までに行う手続きには、以下の3つがあります。
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それぞれのポイントを見ていきましょう。
・退職手続きの説明
人事労務担当者は、退職日の把握後、なるべく早い時期に退職手続きの概要や流れを説明します。その理由は、退職手続きは「退職日まで」という限られた時間のなかで、従業員側にも実施してもらう作業が多くあるからです。一般的な説明項目としては、以下のものがあるでしょう。
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たとえば、自社を辞める従業員が転職活動を始めたり独立してフリーランスになったりする場合、原則としては健康保険および厚生年金保険の被保険者資格を喪失することになります。その場合、本人が以下のいずれかを選択して手続きを行わなければなりません。
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また、失業保険の受給をする場合や、住民税の支払い方法が特別徴収から普通徴収に変わる場合も、従業員側に手続きが必要になるなど、これまでとは異なる変化が起こります。各保険や税金の手続きポイントを書類などに整理しておくと、従業員への説明もスムーズになるでしょう。
・貸与品・健康保険証の回収
退職にともなって回収するものには、健康保険証のほかに以下のような貸与品があるでしょう。
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【貸与品の一例】
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自社が加入する健康保険組合が発行していた保険証は、会社を辞めることで使えなくなります。しかし、保険証が物理的に本人の手元にある場合、退職後の定期通院などでその保険証を提示してしまう可能性もあるでしょう。人事労務担当者はこうしたトラブルを防ぐために、従業員の退職日に健康保険証を必ず回収する必要があります。
退職日の5日後までに行う手続き
従業員の退職後、最初に行うべき手続きは、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の資格喪失です。この手続きは、元従業員が次に使う保険証の発行とも関係するため、原則は「退職日から5日以内」になるべく行う必要があります。
基本的な手続きは、事業所を管轄する年金事務所に対して、以下2つの書類を提出する形です。
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ただし、企業が健康保険組合に加入している場合は、被保険者資格喪失届を年金事務所と健康保険組合の両方に提出しなければなりません。
その場合は、健康保険組合に提出する書類に元従業員から回収した保険証を添付します。
<参考>:従業員が退職・死亡したとき(健康保険・厚生年金保険の資格喪失)の手続き(日本年金機構)
退職日の翌月10日までに行う手続き
住民税における退職後の納税方法には、以下の3つのパターンがあります。どのパターンに該当するかで、人事労務担当者および退職者本人が行う手続きが異なります。
| 退職後の徴収方法 | 人事労務担当者が行う手続きの概要 |
| ①特別徴収を 継続する場合 |
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| ②一括徴収する場合 |
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| ③普通徴収へ 切り替える場合 |
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給与所得者異動届出書の提出期限は、退職月の翌月10日までです。なお、給与所得者異動届出書の様式や提出方法は、市区町村ごとに異なる可能性があります。住民税に関する退職手続きを進める際には、各市区町村のホームページなどを確認してください。
<参考>:個人住民税(区市町村税・都民税)特別徴収の事務手引き(東京都・都内区市町村)
退職日の翌々日から10日以内に行う手続き
次に行うべきなのは、雇用保険の資格喪失手続きです。この手続きでは、被保険者でなくなった日の翌日(従業員が退職した日の翌々日)から10日以内に事業所を管轄するハローワークに対して書類を提出します。
退職者が59歳未満である場合、必要書類は「元従業員が離職票の発行を希望するかどうか?」で異なります。まず、元従業員本人が離職票の発行を求めない場合、「雇用保険被保険者資格喪失届のみ」をハローワークに提出することになります。一方で離職票の発行を求める場合は、以下の3つの書類が必要となります。
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<参考>:雇用保険被保険者離職証明書についての注意<PDF>(厚生労働省)
退職日から1ヵ月以内に行う手続き
従業員の退社手続きの最後に残るのが、必要書類の郵送です。一般的には、以下の5つの書類を郵送することになるでしょう。
| 書類名 | 概要・ポイント | 関連情報 |
| 源泉徴収票 | 本人の確定申告や、次の職場での年末調整で使うものです。退職から1ヵ月以内の交付が義務付けられています。 | 令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(国税庁) |
| 雇用保険 被保険者証 |
雇用保険に加入していることを証明するものです。再就職先への提出や、教育訓練給付金を申請する際にも必要となります。企業側で保管していた場合は、退職日までに返却しましょう。 | |
| 退職証明書 | 本人が希望した場合に発行するものです。 就業期間・退職理由(解雇理由)・業務内容・地位・賃金などの情報を本人の希望に応じて記載します。 |
退職証明書(厚生労働省) |
| 離職票 | 雇用保険の失業給付を受けるために必要なものです。退職者が59歳未満でなおかつ本人が希望しない場合を除き、原則は発行・交付します。59歳以上の場合は、交付が必要です。 | 離職票交付時の必要書類(厚生労働省) |
| 健康保険資格 喪失証明書 |
健康保険組合や協会けんぽに交付申請を行うことで交付されるものです。交付は義務ではありません。 | 7-6:国民健康保険等に加入するため、健康保険の資格喪失証明等が必要になったとき(日本年金機構) |
なお、退職する従業員から「採用時に提出した履歴書および職務経歴書を返してほしい」という申し出がくることがあります。これについては、労働基準法および個人情報保護法の観点で見ても、企業側に返還義務はありません。義務がないなかで返還するかどうかの判断は、会社側で行ってよいでしょう。
入退社手続きの注意点と効率化の方法
近年のビジネス環境では、内定辞退の増加や転職の一般化の影響から、人事労務担当者が行う入社・退社手続きに増加や複雑化の問題が生じやすくなっています。こうしたなかでスムーズに手続きを済ませるためには、入退社手続きならではの注意点を理解したうえで、可能な限りの業務効率化を行う必要があります。
ここでは、入退社手続きの注意点と業務効率化に活用できるITツールを紹介していきます。
入退社手続きならではの注意点
入退社手続きならではの注意ポイントは、以下の3つです。
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① 「内定者」および「退職者」という、 ② 複数の締切(申請期限)を意識しなければならない ③ 手続きの軽視やミスが、内定辞退などの問題に発展する可能性がある
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上記をまとめると、入社日や申請日を意識した手続きが求められる一方で、対象者が入社前の学生、年次有給休暇の消化中、すでにほかの会社で勤務中などの理由から、本人との連絡が取りづらくスムーズに事務処理が進まない可能性が高いことが見えてきます。
また、特に入社手続きの内定者フォローや案内、オリエンテーションなどを軽視すると、自社への不安や信用低下から、内定辞退などにつながることもあるでしょう。
こうした背景から入退社手続きは、複雑かつデリケートな側面があるなかで、迅速かつ適切な対応が求められる業務だ、ということが見えてきます。
ITツールによる入退社手続きの効率化
前述した「入退社手続きならではの注意点」を最小限にするため、人事労務領域における以下のような機能を持つITツールを活用するとよいでしょう。
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ITツールのこうした機能を活用すると、手続きの漏れやミスが生じにくくなります。またITツールによる業務効率化が進むと、人事労務管理のコア業務である内定者フォローなどに力を入れやすくなるでしょう。
入社手続きの効率化方法については、以下の記事でも必要書類とともに詳しく解説しています。入社手続きにおける「負担を減らしたい」や「ミスなくスムーズに業務を進めたい」といった目的がある方は、ぜひ確認してください。
【関連記事】入社手続きに必要な書類とは?社会保険や税金関連の手続き、全体スケジュールも解説
人事労務のアウトソーシングならラクラスへ
本記事では、入社・退社の定義を確認したうえで、人事労務の担当者が行うべき手続きと流れを解説してきました。入社・退社に関連する業務は頻度も高く複雑なため、人事部のなかでも負担に感じている方は多いのではないでしょうか。
もし人事業務における業務効率化をお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。
ラクラスの特徴として、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ対応を得意としています。他社では難色を示してしまうようなカスタマイズであっても、柔軟に対応することができます。それにより、大幅な業務効率の改善を見込むことができます。
また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。
特に大企業を中心として760社86万人以上の受託実績がありますが、もし御社でも人事の課題を抱えており解決方法をお探しでしたら、ぜひわたしたちラクラスへご相談ください。
