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勤務間インターバルの義務化に備えるには? 具体的な対策やリスクを解説

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談笑する女性たち

本記事では、いずれ義務化される見込みの勤務間インターバル制度の概要と重要性、法改正が求められる背景を確認します。また、義務化に向けて人事労務担当者が行うべき対策や大手企業における成功事例も紹介します。勤務間インターバル制度の導入準備を始めたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

勤務間インターバルの義務化は、いずれ施行される労働基準法改正のなかでも特に重要なトピックです。

 

企業が適切なインターバルを確保するためには、自社に合う適切な勤怠管理や業務改善方法を導入していく必要があります。
では、勤務間インターバルの確保につながる業務改善とは、具体的にどういう対策を指すのでしょうか。

 

そこで本記事では、いずれ義務化される見込みの勤務間インターバル制度の概要と重要性、法改正が求められる背景を確認します。そのうえで、義務化に向けて人事労務担当者が行うべき対策や大手企業における成功事例も紹介していきます。

 

制度改正に向けて勤務間インターバル制度の導入準備を始めようと考えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

 

勤務間インターバル義務化の概要と重要性

 

勤務間インターバルの義務化に向けて環境整備や準備を進めるうえでは、この制度の概要を理解する必要があります。この章では、勤務間インターバル制度の概要および基礎知識を整理していきましょう。

 

勤務間インターバル制度とは?

 

勤務間インターバル制度とは、1日の勤務時間を終えて翌日の出社をするまでの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、労働者の生活時間や睡眠時間を確保する考え方および仕組みの総称です。

 

たとえば、ある職場で「11時間のインターバルを設ける」と仮定します。

 

この職場で働く従業員が仮に残業を行って夜21時に退勤すると、そこから11時間の休息時間(インターバル)を確保しますので、翌日の始業時間は朝8時以降になるわけです。また、残業を夜23時まで行った日の翌朝は、10時以降の始業時刻になります。

 

上記のように自社におけるインターバルを設定し、それを確保するための仕組みや環境整備を行うと、従業員の健康およびワーク・ライフ・バランスの向上を実現しやすくなります。また、これらの効果は、企業における生産性アップや働き方改革にもつながってくるわけです。

 

<参考>:勤務間インターバル制度をご活用ください(厚生労働省・東京労働局)

 

勤務間インターバル制度におけるさまざまな方法

 

現時点では勤務間インターバルは企業の努力義務となっており、この制度の主旨である「1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けること」を実現するための仕組みは各社が自由に設計できるようになっています。

 

たとえば、先述のように残業によって労働者の勤務終了時刻が夜遅くなった場合、朝8時や9時といった通常の始業時刻をインターバルにあわせて後ろ倒しにするのも一つの設計です。また、厚生労働省では、以下のような方法も紹介しています。

 

 

  • 朝8時~10時まで「働いたものとみなす」
  • 「一定時刻以降の残業」および「始業時刻以前の勤務」を認めない 

    など

 

 

<参考>:勤務間インターバル制度をご活用ください(厚生労働省・東京労働局)

 

勤務間インターバルの確保につながる労働時間管理や業務改善の具体的な事例については、後ほど詳しくご紹介します。

 

勤務間インターバル義務化の背景と法改正の動向

 

この章では、勤務間インターバルの義務化が求められる要因および背景を確認したうえで、2026年1月時点で見えている法改正の動向を紹介します。

 

勤務間インターバル制度が義務化される背景と目的

 

勤務間インターバルの義務化は、日本の労働環境におけるさまざまな問題を解消し、国際的な労働基準に近づけるうえで不可欠なものです。勤務間インターバルが必要とされる背景には、以下の4つの問題が影響しているといわれています。

 

(1)労働者の健康問題や過労死を防止するため

厚生労働省の報告によると、2024年度の過労死や過労自殺(未遂を含む)による労災認定件数は、5年ぶりに150件を超過したことがわかっています。
これだけの過労死および過労自殺があるということは、過重労働により心身に健康問題が生じている労働者も一定数いると考えるのが自然でしょう。

 

こうしたなかで義務化される勤務間インターバルは、なかなか是正が進まない長時間労働を減らすうえで重要な仕組みであると考えられています。

 

また、世論には、過重労働により重大な労災を繰り返す企業名の公表を求める声もあります。このような状況で勤務間インターバルが義務化されると、従業員に十分な休息時間を与えない企業に対する社会の目も厳しくなり、結果として長時間労働やそれにともなう過労死や健康問題も減少しやすくなるはずです。

 

<参考>:令和6年度「過労死等の労災補償状況」を公表します(厚生労働省)

 

(2)残業規制だけでは健康問題を改善できないため

労働者の過労死や健康障害を改善するために導入された仕組みの一つに、時間外労働の上限規制があります。時間外労働の上限規制とは、残業時間の上限を原則として「月45時間・年360時間」にするものです。

 

ただし、この残業規制には、時間外の労働時間を減らせる一方で、勤務と勤務の間の休息時間を確保するうえでは有効性が低い問題がありました。たとえば、夜の23時に退勤した従業員が次の朝5時から勤務しても、労働時間が上限規制の範囲内であれば「適切な労務管理が行われている」と判断されてしまうわけです。

 

この仕組みでは、休息時間の不足から従業員の健康問題などが生じやすくなります。また、労務管理をしている側から見ても、自社でマネジメントする労働時間と従業員の健康問題との因果関係がつかみにくい状況になってしまうわけです。

 

2019年4月より施行された罰則付き上限規制については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ確認してください。

 

【関連記事】36協定の特別条項とは?罰則付き上限時間の詳細と締結手続きのポイントを解説

 

(3)日本の労働環境を国際的な基準に近づけるため

勤務間インターバルの義務化を中心とする労働基準法の大改正が行われようとしている背景には、日本の労働環境と国際的な基準における乖離を解消する目的もあるとされています。

 

たとえば、先ほど触れた最低11時間のインターバルは、EU主要国が当たり前に導入している基準です。

 

一方で労働政策審議会・労働条件分科会の調査によると、日本において9時間~10時間未満のインターバルしか与えられていない企業は、調査対象の24.8%にも及ぶという現状が見えてきました。こうした現状を問題視した審議会・分科会では、最低11時間のインターバル義務化に向けて協議や調整を続けています。

 

インターバル時間を設定して企業の割合と時間

 

<引用>:労働時間法制の具体的課題について (法定休日・連続勤務規制、勤務間インターバル、つながらない権利)<PDF>|厚生労働省

 

また、勤務間インターバル制度には日々の休息時間(インターバル)を確保することで、長時間労働の是正につながる特徴もあります。しかし、労働政策審議会・労働条件分科会の調査によると、令和6年の時点で「導入予定はなく、検討もしていない」と回答した企業は、なんと78.5%にものぼりました。

 

その背景には、当該制度の導入により「業務に支障が生じる」や「労働時間管理が煩雑になる」といった企業側の事情も多くあります。こうした現状を憂慮した審議会・分科会では、国際的な労働基準と日本の現状の乖離を解消するための一つの策として、勤務間インターバル制度の義務化をする方向で議論や調整を行うことになったわけです。

 

<参考>:制度の導入・運用に向けて|働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省)

<参考>:EU主要国のインターバル制度について<PDF>(厚生労働省)

 

 

(4)労働者の離職を防ぎ生産性を向上させるため

近年のビジネス環境では、組織の成長や持続可能性を停滞させる以下のような問題が生じやすくなっています。

 

 

  • 終身雇用の崩壊や転職の一般化による、離職者の増加
  • 中小企業における採用難
  • 慢性的な人手不足やビジネスサイクルの短縮傾向による、
    生産性の低下 

    など

 

 

こうした問題を防ぐうえでも、勤務間インターバルなどによる労働環境の改善は重要です。

 

勤務間インターバルが義務化されると、労働者の休息時間が確保されることで健康面の問題からパフォーマンスが低下したり離職意思が生まれたりする問題が起こりにくくなります。また、休息時間の確保は、労働者のワーク・ライフ・バランスやWell-being(ウェルビーイング)を尊重するうえでも必要だといえるでしょう。

 

現状の組織に慢性的な人手不足や生産性の低下などの問題が生じている場合には、勤務間インターバルの義務化に向けた対応をすることで、現場に存在する悪循環を好循環に好転できる可能性もあるでしょう。

 

勤務間インターバル義務化の法改正スケジュールと影響

 

今後の人事労務分野の法改正は、勤務間インターバル義務化のみならず、以下のような幅広い法律について実施される予定です。

 

 

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 労働施策総合推進法
  • 女性活躍推進法
  • 障害者雇用促進法
  • 厚生年金保険法
  • 国民年金法
  • 健康保険法 など

 

 

これらの制度改正は2026年1月から段階的に行われるとみられていましたが、通常国会の提出見送りが報じられ、施行時期は不透明な状況です。

 

このような状況ですので、人事労務担当者は厚生労働省のサイトから最新情報を収集しながら、自社の労働環境にインターバルを設けるための準備を進めていく必要があるでしょう。

 

なお、上記で触れた女性活躍推進法については、以下の記事で詳しく解説しています。女性活躍推進につながる環境整備に取り組みたい人は、以下の記事も参考にしてください。

 

【関連記事】女性活躍推進法の概要とは?改正のポイントと施行後の影響を解説

 

勤務間インターバル義務化で企業が直面する課題とリスク

 

勤務間インターバル義務化に向けて企業が行うべき準備や環境整備は、各社の業種や働き方の影響を受けるものです。これから義務化される可能性を踏まえて準備を進めるうえでは、「勤務間インターバルが義務化されると、自社にはどういう影響が出るのか?」という視点を持ち、起こり得るリスクをイメージしておくことが重要となります。

 

ここでは、勤務間インターバルの義務化によって生じやすいリスクを3つ紹介しましょう。

 

リスク(1)人手不足が生じやすくなる

 

11時間の勤務間インターバルが義務化された場合、夜21時に退勤した従業員は翌朝8時すぎまで働けなくなります。

 

今まで「夜21時退勤→翌朝6時出勤」といったシフトが当たり前に設定されていた場合でも、新制度のもとではインターバルの時間内である朝6時~8時に従業員を勤務させることができませんので、結果として人手不足に陥る可能性が高いでしょう。

 

また勤務間インターバルに対応するために、仮に「夜21時から翌朝8時までの残業や早出は禁止する」といったルールを設けた場合、「求められる作業量」に対して「働ける労働時間」が足りない問題が起こるかもしれません。

 

そこで業務効率化や人手不足の解消を行えなければ、納期遅れや品質低下などの問題が起こりやすくなり、円滑な事業運営に支障が出る可能性もあるでしょう。

 

リスク(2)現場の管理職やメンバーが混乱する

 

たとえば、いまの組織に以下のような風土や慣習がある場合、そこで勤務間インターバルを導入すると現場に混乱が起こるかもしれません。

 

 

  • 今日のタスクが終わるまで、残業を続ける
  • 新人は始業時刻前に早出をして、テレアポのトレーニングを行う
  • 土曜日は多くの人材が必要となるため、退勤~出勤までの
    インターバルは7時間程度が当たり前である   など

 

 

上記のような慣習を改善しないなかで11時間などの勤務間インターバルを強制的に導入した場合、現場にはさまざまな混乱から「仕事が回らない」や「新人のトレーニングが進まない」といった声がでてくるはずです。

 

また、そのような状況のなかでどうしても期日までに完了させなければならない業務がある場合、「タイムカードを打刻してから残業を続ける」といった勤怠管理の不正が行われる可能性も出てくるかもしれません。

 

リスク(3)勤怠管理やシフト作成作業が複雑化する

 

これは各社が導入する仕組み次第のところもありますが、勤務間インターバルを導入すると多くのケースで、勤怠管理やシフト作成作業が複雑化することになります。それはつまり、それらのチェックに要する時間やコストが増えることでもあるでしょう。

 

作業時間が増えるなかで働ける時間が減るとなれば、人の健康や仕事の質などのどこかに「しわ寄せ」が生じやすくなるはずです。

 

リスク(4)法令を遵守しなかった場合に
ペナルティ・信用低下が生じる

 

勤務間インターバルが義務化されると、企業はその法律を守らざるを得なくなります。

 

そのようななかで、人手不足などの理由から適切なインターバルを確保できない状態が続き、その実態が労働基準監督署の耳に入った場合、ありのままの帳簿などを確認する目的から、予告無しの抜き打ち検査などが行われるかもしれません。

 

また、労働基準監督署からの指導に従わず、適切なインターバルが確保されていない状況が続けば、労働基準法違反で罰金などのペナルティが科せられる可能性もでてくるでしょう。

 

このような状況に陥ると、従業員はもちろんのこと、取引先や顧客などのステークホルダーからの信頼も低下してしまう恐れがありますので注意が必要です。

 

なお、労働基準監督署が実施する立ち入り検査(臨検)の流れは、以下の記事でも詳しく解説しています。臨検の詳細について調べている方は、ぜひ記事を確認してください。

 

【関連記事】法定三帳簿とは? 必須記載項目や作成方法、保存期間などを詳しく解説

 

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勤務間インターバル義務化に向けた
具体的対策

 

勤務間インターバルの義務化による上記のようなリスクを防ぎ、制度改正後もスムーズな事業運営を行うためには、いまのうちから義務化に向けた準備や対策を少しずつ講じていく必要があります。

 

この章では、勤務間インターバル義務化の全容が見えない時期でも実施できる対策のポイントを紹介しましょう。

 

対策(1)現状分析と目標インターバル時間の設定

 

最初に行うべきことは、全部門におけるインターバルおよび働き方の分析です。すでに勤怠管理システムなどが導入されていれば、そのデータから以下のような現状が見えてくるでしょう。

 

 

  • インターバル時間が、11時間・10時間・9時間未満の従業員の割合
  • インターバルが特に不足している部門・役職・プロジェクト・個人
  • インターバル不足が続いている期間
  • インターバル不足が慢性化している理由の特定 など

 

 

これらの情報を整理すれば、業務を適切に行ううえで必要なインターバル(具体的目標)を立てやすくなるはずです。

 

対策(2)組織風土の変革

 

勤務間インターバルを含めた労働環境の改善をするうえで重要になるのが、組織風土や文化、慣習を変革することです。

 

たとえば、ある職場に「今日のタスクが終わらなければ、完了するまで残業するのが当たり前」といった価値観が根強く残っていると仮定します。そういった“当たり前”があるなかで人事労務担当者が勤務間インターバルの仕組みを設計・導入しても、不満や不安が噴出するだけでスムーズな実施にはつながりにくいでしょう。

 

せっかく設計した制度の頓挫や形骸化を防ぐためには、まず勤務間インターバル制度に対して経営層がコミットメントをする姿勢を示すことが大切です。また、現場のマネジメントを行う管理職の意識を変革する教育を実施したり、新たな“当たり前”とも言える価値観を、自社のMVVや人事評価制度に組み込んだりする工夫も必要でしょう。

 

特にこれまで長時間労働などの問題をなかなか改善できなかった職場では、勤務間インターバルの導入と並行して古い組織風土や慣習の変革を進める必要があります。

 

対策(3)就業規則や労使協定などの変更と従業員に周知するための準備

 

勤務間インターバル制度を新たに導入した場合、従業員の勤務時間や始業・終業時刻、働き方が大きく変わる可能性があります。これらの新しいルールは、就業規則に記載しなければなりません。また、各従業員に労働条件通知書を配布している場合、内容の見直しや再交付も必要でしょう。

 

このほかに、時間外労働や休日労働に関する労使協定(36協定)も、労働者代表と協議のうえで見直さなければならないはずです。

 

2026年1月10日の段階では、勤務間インターバル義務化の詳細について、国から公式発表はありません。しかし、新制度の運用をスムーズに進めるためには、自社が新たに勤務間インターバルを導入した場合に見直すべき書類と変更箇所のピックアップをしておくことが必要になります。

 

対策(4)業務フローや勤務シフトの抜本的な見直し

 

勤務間インターバル制度を浸透させ、現場の管理職およびメンバーが負担なく実践できるようにするためには、これまで適切なインターバルが確保できなかった部門・プロジェクト・個人の問題点を洗い出し、抜本的な見直しにつなげる業務改善サポートも必要です。

 

たとえば、11時間のインターバル確保を目標とするなかで、現状では8~9時間しか確保できていない場合、以下のような対応策が見えてきます。

 

 

  • 即戦力人材の採用を行い、現場のメンバー数を10人から13人に増やす
  • ITツールの導入で業務効率化を行い、作業工数の削減を目指す
  • 夜20時以降の残業禁止ルールを導入し、
    そのための業務改善を現場に実施してもらう       など

 

 

ただし、一般的な業務改善は、一朝一夕で成果が出るものではありません

 

たとえば、一部業務の“属人化”が生じていて特定人材の仕事量が多くなっている場合、その仕事の棚卸しを行ったうえでマニュアルを作成し、同じ部署のメンバーに教えていくとなれば、それなりの時間がかかるでしょう。

 

また、慢性的な人手不足からインターバルが短くなっている場合は、新たな人材を採用して教育をすることになるかもしれません。その場合もやはり多くの費用と時間が必要となってしまいます。

 

なお、業務の属人化については、以下の記事で詳しく解説しています。
新制度の設計に向けて業務改善のポイントを知りたい人は、ぜひ確認してください。

 

【関連記事】業務の属人化とは?リスクや原因、効果的な解消方法を徹底解説

 

対策(5)制度および運用方法の定期的な見直し

 

勤務間インターバル制度は、設計・導入を行ったら終わりではありません。

 

たとえば、11時間のインターバルを確保するために、属人化の解消や勤務シフトの見直しといった業務改善をした場合、現場には以下のような副作用がでてくる可能性もあります。

 

 

  • 新人を3名獲得したことで、
    OJTを担当する先輩の負担が大きくなっている
  • 残業が20時までになったことで、
    夕方以降のトラブル解決スピードが著しく遅くなっている
  • 属人化から標準化に向けた取り組みを始めたことで、
    A部門の業務ミスが増大している     など

 

 

人事労務の担当者は、勤務間インターバルによる効果だけでなく、上記のような副作用や課題にも注目したうえで、一部の部署や個人だけに大きなしわ寄せが生じない配慮をしながら、運用方法の見直しを図る必要があります。

 

また、定期的な効果検証や見直しを行う際には、各メンバーのインターバル時間などの定量的な情報だけでなく、各従業員の意見や感想といった定性的な情報にも目を向けることが大切でしょう。

 

なお、厚生労働省では、勤務間インターバル制度の導入・運用に向けた全体像として、以下4つのフェーズからなるわかりやすい図を示しています。ぜひ参考にしてください。

 

労使による話し合いの流れ

 

<引用>:制度の導入・運用に向けて|働き方・休み方改善ポータルサイト(厚生労働省)

 

勤務間インターバルの導入にともなう業務改善の成功事例

 

勤務間インターバルの導入に向けて業務改善を行う場合、「自社に合う施策はどんなものなのだろうか?」と、具体的なイメージが見えてこないこともあると思います。

 

また、勤務間インターバルの義務化にともないはじめて大きな業務改善に取り組む場合、「そもそも何から取り組むべきか?」ということがわからないケースもあるでしょう。そのような場合、厚生労働省が公開している導入事例集のなかから自社に合う改善策を見つけてみてもよいでしょう。

 

この章では、厚生労働省の資料で紹介されている3つの大手企業について、導入済みのインターバル時間および、その確保を実現するために実施中の施策を紹介していきます。なお、以下で紹介する勤務間インターバル制度は、義務化される前のものになります。

 

事例(1)ユニ・チャーム株式会社

 

ユニ・チャーム株式会社の勤務間インターバル制度は、2017年1月より「最低8時間以上、努力義務として10時間」のルールで全社員を対象に実施されています。

 

この勤務間インターバルを実現するために導入した管理方法の一つが、勤務表におけるアラーム機能です。また、従業員のパソコン上に「定時になりました」や「22時を過ぎました。健康のために早く帰りましょう。」といった警告メッセージを表示する仕組みも実施されています。

 

ユニ・チャームでは、お客様都合や繁忙期などの理由から「どうしてもその日のうちに対応しなければならないケース」などを想定した運用も行っています。たとえば、翌日にまたがるような勤務が発生したときには、同じ週のうちに年次有給休暇を取得するなどの処置を行っているようです。

 

また、就業規則に例外を明記してしまうと、それに抵触する罰則対象者が増える可能性もあることから、当初はインターバル時間のみを明記する形で運用をはじめています。

 

今後の勤務間インターバル制度義務化にともなって勤怠管理の仕組みを変える際には、ユニ・チャーム株式会社のようにアラーム機能のあるITツールを導入してみてもよいでしょう。

 

<参考>:ワーク・ライフ・バランスを向上させる勤務間インターバル制度 導入事例集(厚生労働省)

 

事例(2)KDDI株式会社

 

KDDI株式会社が勤務間インターバル制度を全社適用したのは、2015年7月のことです。インターバルは原則8時間ですが、健康管理指標として月の11日以上は11時間というラインも別途設定しています。なお、インターバル規定は全非管理職、健康管理指標は管理職を含む全社員が対象です。

 

勤務間インターバルの前提となる勤怠は、自己申告制です。ただし、企業側ではパソコンのログもとっており、その情報から前日のインターバルが翌日の昼頃には閲覧できるようになっています。また、この情報は本人と上司がチェックできるとのことでした。

 

さらに、8時間のインターバルについては以下のような業務について適用除外できるようにしています。

 

 

  • 継続性のある業務
  • 緊急性の高い業務
  • 繁忙期の対応 など

 

 

KDDI株式会社の場合、インターバルのみに限定したペナルティなどの定めはありません。

 

ただし、11時間のラインについては安全管理規程となるため、法令に準拠した基準を守れない場合は、健康のセルフチェックや産業医・人事との面接をしてもらう形のようです。こうした仕組みや対話を通して、負担軽減や配置転換などの措置につなげているわけです。

 

企業が今後の勤務間インターバル制度の義務化に向けた業務改善や、適切なインターバルが確保できない場合の制度見直しを実施するうえでは、本人および管理職との丁寧なコミュニケーションも重要になってくるでしょう。

 

<参考>:ワーク・ライフ・バランスを向上させる勤務間インターバル制度 導入事例集(厚生労働省)

 

事例(3)本田技研工業株式会社

 

本田技研工業株式会社では、勤務間インターバル制度を「深夜勤務における翌日出社時間調整」という名称で1970年代から運用しています。この会社の大きな特徴は、労働組合との折衝を通して、下記のように事業領域ごとに異なるインターバルを設定している点です。

 

 

【本社・営業】12時間

【研究所】10時間

【工場(製作所)】9時間30分~11時間30分

 

 

これらのルールは、稀に生じる長時間労働が避けられないトラブルやイベント準備などを想定したものであり、そういった状況でも十分な休息時間を与えるための緊急避難的な規定となります。本田技研工業株式会社の場合、このルールが日常的に適用される場面はあまりないようです。

 

また、本田技研工業株式会社は、長い歴史のなかでさまざまな労働時間の管理および働きやすい環境整備に取り組んできた先駆け的な存在です。具体的には、以下のような仕組みを導入しながら、事業領域や時代に合った労働環境づくりに取り組んでいます

 

 

  • ノー残業デー
  • 年次有給休暇カットゼロ運動
  • 翌日出社時間調整ルール
  • フレックスタイム制
  • マネジメントスパンの適正化 など

 

 

先ほども触れたとおり、勤務間インターバルの最適化およびそれにともなう労働環境の整備は、一朝一夕で終わるものではありません。また、自社の事業形態や政府の方針が変われば、さらなる業務改善が求められることもあるでしょう。

 

こうしたなかで組織および従業員にとって働きやすい職場をつくるためには、この本田技研工業株式会社の例のように、各事業領域に合うさまざまな施策を取り入れていく姿勢も必要となるでしょう。

 

<参考>:ワーク・ライフ・バランスを向上させる勤務間インターバル制度 導入事例集(厚生労働省)

 

勤務間インターバル義務化対応で活用できる支援制度(助成金)

 

勤務間インターバル制度の義務化にともないさまざまな労働環境の整備や業務改善を行ううえでは、国が設けている助成金などの支援制度を活用するのもよいでしょう。

 

たとえば、厚生労働省では、令和7年度まで「働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)」という支援制度を設けていました。これはかつて「職場意識改善助成金(勤務間インターバル導入コース)」と呼ばれていたものです。

 

令和7年度の申請受付期間は令和7年4月1日~11月28日であるため、現時点ではすでに終了しています。また、令和8年度の新たな募集要項は公開されていません。

 

しかし、令和8年度の働き方改革推進支援助成金は、前年比で約1割の増額になることがわかっています。これは、日本政府が引き続き働き方改革に力を入れていくことのあらわれと考えてよいでしょう。

 

人事労務の担当者は、効果的な支援制度を迅速に活用するために、厚生労働省が示す最新情報を定期的に確認するようにしましょう。

 

<参考>:令和7年度 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース)(厚生労働省)

 

人事労務のアウトソーシングならラクラスへ

 

本記事では、いずれ義務化される見込みの勤務間インターバル制度の概要と重要性、法改正が求められる背景を確認してきました。さらに、義務化に向けて人事労務担当者が行うべき対策や大手企業における成功事例も紹介してきました。

 

制度改正に向けて勤務間インターバル制度の導入準備を始めようとすると多くの注意点があるため、人事部のなかでも負担に感じた方は多いのではないでしょうか。

 

もし人事業務における業務効率化をお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。

 

ラクラスの特徴として、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ対応を得意としています。他社では難色を示してしまうようなカスタマイズであっても、柔軟に対応することができます。それにより、大幅な業務効率の改善を見込むことができます。

 

また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。

 

特に大企業を中心として760社86万人以上の受託実績がありますが、もし御社でも人事の課題を抱えており解決方法をお探しでしたら、ぜひわたしたちラクラスへご相談ください。

 

ラクラス人事BPOサービス

 

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