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業務委託契約と雇用契約の違いを徹底解説!メリット・デメリットも紹介

2026.01.21
契約書と書かれた書類とミニチュアの人類

本記事では、法律的な定義やメリット・デメリットなどの側面から、業務委託契約と雇用契約の違いを詳しく解説します。記事の後半では、応用編として業務委託契約の締結や税務上の取り扱いも紹介していきます。業務委託契約と雇用契約の違いを理解したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

 

近年のビジネス環境では、「働き方の多様化」や「人件費の高騰」などが起こるなかで、雇用契約と業務委託契約をうまく組み合わせながら、優秀な人材の力を借りようとする企業が多くなってきています。また、これらの契約方法は、個人の就業機会を広めるうえでも役立つものです。

 

業務委託契約の場合、雇い入れの手続きは不要となるため、人事担当者が直接的に関わる場面はあまり多くありません。しかし、現場からの相談に応じたり、適切な契約方法の助言や支援を行ったりするうえでは、業務委託契約の基礎知識が必要になってくるでしょう。

 

そこで本記事では、法律的な定義やメリット・デメリットなどの側面から、業務委託契約と雇用契約の違いを詳しく解説します。記事の後半では、応用編として業務委託契約の締結や税務上の取り扱いも紹介していきます。

 

業務委託契約と雇用契約の違いを理解したい方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

 

業務委託契約と雇用契約の基本理解

 

企業が雇用契約と業務委託契約を適切に締結し、契約対象者との良好な関係を構築・維持するうえでは、これらの契約方法の意味や定義の理解が必要です。ここでは、雇用契約と業務委託契約の概要を確認していきます。

 

雇用契約とは

 

雇用契約とは、労働者が企業(使用者)の労働に従事し、使用者がその労働に対して報酬の支払いをする契約です。平易な表現を使えば「人を雇うこと」や「企業に雇われること」になります。また厚生労働省では、雇用契約のことを「労働契約」と呼んでいます。

 

雇用契約における大きな特徴は、労働基準法のルールにもとづく形で契約内容や働き方などが決まる点です。労働基準法とは、労働者に適用される労働条件の最低ラインを定めた法律になります。

 

仮に企業が人を雇い雇用契約を締結するときには、必ず労働者に対して労働条件を明示しなければなりません。これも労働基準法の第15条で定められたルールになります。また、たとえば「1日の労働時間が8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩を与える」といった休憩の原則も、労働基準法の第34条で定められた内容です。

 

企業が労働者との間で雇用契約を締結し、実際に働いてもらううえでは、労働基準法に沿った仕組みのなかで働く人を守る必要があります。

 

<参考>:人を雇うときのルール(厚生労働省)

<参考>:労働時間・休憩・休日関係(厚生労働省)

 

業務委託契約とは

 

業務委託契約は、民法に照らすと「請負契約」「委任契約」「準委任契約」を総称した概念です。業務委託契約を平易な言葉であらわすと、自社が行う業務の一部または全部を切り出し、外部企業や個人に委託することになります。一般には、外部委託やアウトソーシングと呼ばれたりもするでしょう。

 

たとえば、システム開発を自社で行う場合に、要件定義~設計までは社内で実施し、それ以降の高度なプログラミングとテストの一部を切り出して、外部のスペシャリストに委託するイメージです。

 

従来の業務委託は、下記3契約の総称でした。

 

 

【請負契約】業務の完成やその結果に対して報酬を支払う契約

【委任契約】法律行為に関与する業務の遂行

【準委任契約】法律行為に関与しない業務の遂行

 

 

しかし、2024年11月のフリーランス・事業者間取引適正化等法(いわゆるフリーランス新法)が施行されたことで、以下のような法律上の定義が明確に示されることになっています。

 

 

「業務委託」とは、事業者がその事業のために他の事業者に物品の製造、情報成果物の作成又は役務の提供を委託することをいう。(第2条第3項)

 

<引用>:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料<PDF>(厚生労働省)

 

 

業務委託契約では、自社が請け負った仕事を外部に再委託するケースもあり、下請法が関わる可能性があります。下請法では、この法律の規制対象となる取引について、以下の4種類に大別しています。

 

 

【製造委託】
物品の販売や製造を請け負う事業者が、規格・品質・形状・デザイン・ブランドなどを指定して、他の事業者に物品の製造や加工を委託すること

 

【修理委託】
物品の修理を請け負う事業者が、その修理の全部・一部を他の事業者に委託すること

 

【情報成果物作成委託】
ソフトウェア・映像コンテンツ・各種デザインなどの情報成果物の提供・作成を行う事業者が、他の事業者にその作成作業を委託すること

 

【役務提供委託】
運送やビルメンテナンスをはじめ、各種サービスを行う事業者が、請け負った役務の提供を他の事業者に委託すること

 

<出典>:ポイント解説|下請法(公正取引委員会・中小企業庁)

 

 

業務委託契約の定義や手続きのポイントは、適用される法律や取引内容の影響を受ける部分があります。
フリーランスなどと業務委託契約を締結する管理職から契約内容の相談を受けたときには、取引内容の詳細をヒアリングしたうえで、関係する法律に則った助言やサポートを行う必要があるでしょう。

 

業務委託契約と雇用契約の違いと見分け方

 

人事担当者が適切な労務管理をするうえでは、雇用契約と業務委託契約の違いを知っておくことも重要です。ここでは、雇用契約と業務委託契約の違いを見分けるポイントになる5つの要素について、以下の表に詳しくまとめてみます。

 

  雇用契約 業務委託契約
法律 雇用される労働者は、労働関連法(労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法 など)の保護を受ける。

業務を請け負う人や組織は労働者ではないため、労働関連法の影響も受けない。
その代わりに、民法や、フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に則った契約が必要となる。

報酬の
支払い方
賃金支払いの5原則にもとづき
「給与」として支払われる。
「報酬」として支払われる。
社会保険と
労働保険

各保険の要件に該当した場合、加入対象となる。本人だけでなく企業にも保険料を負担する義務がある。

受託者は労働者ではないため、企業側で社会保険や労働保険に加入することはない。
原則は、国民健康保険・国民年金に自ら加入する。

指揮命令 労働者は、使用者の指揮命令下で
働く。
委託元は受託者に対して、指揮命令権を持たない。
働き方の
自由度

比較的低い。
(就業規則や労働条件通知書で定められたルールにあわせて働く。コアタイムなしフレックスタイム制などの場合、自由度が高くなることもある。)

比較的高い。
(好きな場所・好きな時間に働けることが多い。)

 

上記の表を見ると、雇用契約の場合、「給与(賃金支払の5原則)」「労働契約(労働条件通知書)」「社会保険と労働保険」といった部分で、人事労務担当者の仕事と直接的な関係があることがわかるでしょう。

 

一方で、業務委託契約の場合、たとえば受託者が提出した請求書を処理して報酬を支払うのは経理担当者になるケースが多いです。また、国民健康保険や国民年金も受託者本人が自分で手続きしますから、そのサポートを人事担当者が行う必要はありません。

 

また、実務上は、給与計算・社会保険手続きの発生有無が両者を見分ける手掛かりになります。ただし、業務委託契約の受託者に支払う報酬には、源泉徴収が必要な種類があります。税務上のポイントについては、後ほど詳しく解説します。

 

業務委託契約と雇用契約の違いは、それぞれのメリット・デメリットを見ることでより明らかになります。ここからは、企業と人(労働者・受託者)という両方の視点から、業務委託契約と雇用契約のメリット・デメリットを確認しましょう。

 

業務委託契約のメリット

 

業務委託契約における、企業側(委託元)と受託者の一般的なメリットを見ていきましょう。

 

業務委託契約における「企業側(委託元)」の
メリット

 

企業が業務委託を活用する一般的なメリットは、以下の3つです。

 

 

  • 人件費を削減できる
  • 専門スキルや知識を持つ人材を活用できる
  • 自社の社員をコア業務に専念させられる

 

 

たとえば、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)に不可欠なDX人材は、育成と採用の両方が難しいものです。そこで、フリーランスのDX人材に専門性の高い業務の一部を委託すれば、企業は人を採用して育てるプロセスが必要なくなるわけです。

 

また、業務委託は、単純作業などでもよく選択されます。たとえば、データ入力作業を業務委託すると、その役割を担っていた自社の社員を「現場のマネジメント」や「品質向上に向けた取り組み」といった企業の成長に不可欠なコア業務に専念させやすくなるはずです。

 

業務委託契約における「受託者」のメリット

 

具体的なポイントは仕事内容や委託元、本人のスキルの影響を受ける部分もありますが、受託者が自分とマッチする業務委託契約で仕事をした場合、以下のメリットが得られるケースが多いでしょう。

 

 

  • 業務内容を選びやすい

  • 自分の専門性を活かしやすい

  • 人間関係によるストレスが少ない

  • 会社員よりも多く稼げることが多い

     

 

たとえば、「プログラミングは得意だけれど、要件定義や設計系は苦手」というITエンジニアのAさんがいたとします。このAさんが業務委託のフリーランスになった場合、自分の得意分野であるプログラミングに特化した仕事を選ぶことも可能でしょう。

 

また、プログラミングの仕事で幅広い経験を積むことで専門性が高まると、得意な領域で会社員以上の収入を得ることも可能かもしれません。

 

業務委託契約の場合、原則は仕事で関わる人たちと上司と部下の関係にならず、対等性が高まりやすいところもメリットとしてあげられることが多いです。特に、高いスキルや経験を持ち市場ニーズが高い人材になると、委託元と対等に仕事を行えることで、人間関係の悩みやストレスも生じにくくなるでしょう。

 

業務委託契約のデメリット

 

続いて、業務委託契約で企業(委託元)と受託者が感じることが多いデメリットやリスクを見ていきましょう。

 

業務委託契約における「企業側(委託元)」の
デメリット

 

企業が業務委託契約で仕事を依頼した場合、以下の3つの問題が生じやすくなります。

 

 

  • 時間単価やコミュニケーションコストが上がりやすい

  • 社内にノウハウが蓄積しづらくなる

  • マネジメントの手間が増える

 

 

高い専門性やスキルを持つ人材は、引く手あまたの存在であることが多いです。そういった人材に業務を委託し続けるためには、それなりに高い報酬を支払う必要があるでしょう。

 

また、業務委託契約の場合、委託元に指揮命令権がなく納品物などの成果で評価するケースがほとんどです。一方で受託者は、複数の仕事を掛け持ちして生計を立てている場合もあります。場合によっては、自分のパフォーマンスが最も高まる深夜帯に働き、昼間はプライベートの時間にしている人もいるかもしれません。

 

そういったなかで「発注数を増やしたい」とか「日程変更したい」といった相談をする場合、一般のビジネスパーソンとは異なる時間帯に働く受託者とコミュニケーションを図るだけでも多くの手間がかかる可能性があります。

 

さらには、たとえばDXのプロジェクトで高い専門性を持つエンジニアに業務委託をした場合、エンジニアは外部の人材となりますから、「こういうエラーが出たときには、この考え方で対処すればいい」といった経験則が社内に残らないケースが多いです。

 

結果として、ノウハウや専門性の部分で社内の成長は見込みづらくなりますから、自社に足りない部分を補うために、外部との業務委託契約を続ける必要もでてくるでしょう。

 

業務委託契約における「受託者」のデメリット

 

業務委託で働く受託者には、契約企業(委託元)や仕事選びを誤ったり、自分のスキルが低かったりしたときに、以下のデメリットが生じる可能性があります。

 

 

  • 税金や健康保険などの事務手続きや負担が発生する

  • セルフリーダーシップやセルフマネジメントが求められる

  • 収入が安定しない可能性がある

  • 悪質な契約に巻き込まれることがある

 

 

まず、大半の受託者に関係するのが、国民健康保険への加入や、確定申告を中心とする税金の手続きが発生することです。雇用されている従業員であれば、社会保険関連の手続きや税金の清算(年末調整)は企業が行ってくれますが、会社に雇用されず業務委託だけで生計を立てる場合、こうした手続きも自分で行わなければなりません。

 

そして、業務委託では自分をマネジメントしてくれる「上司」がいないなかで仕事を進めることになりますから、健康管理や時間管理を含めた「セルフマネジメント」であるとか、自身の目標達成や課題解決、Win-Winの関係構築などに向けて主体性を発揮する「セルフリーダーシップ」も必要です。

 

仮にセルフマネジメントおよびセルフリーダーシップがほとんど行われない場合、たとえば体調不良で何度も納期に遅れたり、仕事を請け負ううえでの課題解決ができなかったりすることで、信用低下から新たな依頼がこなくなることもあるでしょう。こうした問題は、収入の不安定さをもたらす要因になるはずです。

 

なお、近年のビジネス環境では、実態は「労働者」であるにも関わらず「受託者」として業務委託契約をさせられる「名ばかりフリーランス」や「名ばかり個人事業主」の問題が注目されるようになりました。

 

2024年11月にフリーランス新法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)が施行されたことでこうしたトラブルは減少することが予想されますが、フリーランスや個人事業主として自分の身を守り安全安心の取引をするうえでは、こうした法律知識を理解しておくことも重要でしょう。

 

<参考>:フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律、2024年11月からスタート!(政府広報オンライン)

 

雇用契約のメリット

 

続いて、企業が労働者と雇用契約を締結する一般的なメリットを紹介しましょう。

 

雇用契約における「企業側」のメリット

 

企業が雇用契約によって人材確保をした場合、以下のようなメリットが得られることが多いでしょう。

 

 

  • 人材および組織を育てやすくなる

  • 自社の風土に根ざした業務遂行を実現できる

  • 自社の信頼性が向上する

  • ノウハウが蓄積しやすくなる

 

 

企業が労働者を雇用すると、自社が大事にするMVV(ビジョン・ミッション・バリュー)やビジネスモデルなどにあわせて、「人を育てること」が可能となります。

 

たとえば、「お客様の話に耳を傾け、ニーズに合った提案をする」といった価値観を大事にする企業では、話を聞く姿勢(価値観)×専門性の高い人材を育てることで、自社のビジョンやミッションを叶えるサービス提供が可能になるでしょう。この価値観×専門性で人を育てられることは、外部人材との業務委託契約では得られにくいものです。

 

また、雇用契約の場合、給与が毎月支払われて昇給もあったりすることから、収入の安定性を重視する人材が定着しやすくなります。人材が定着すると、担当者が急に変わるといった問題も起こりにくくなるため、顧客やステークホルダーからの信用低下も起こりにくくなるかもしれません。

 

人の定着は、各メンバーの経験則やノウハウ蓄積にも好循環をもたらすはずです。このポイントは、人および組織を成長させながら安定的に事業を続けるうえで、大きなメリットになるでしょう。

 

雇用契約における「労働者」のメリット

 

雇用契約に満足している労働者は、以下のメリットを感じていることが多いでしょう。

 

 

  • 長く安定的に働ける可能性が高い

  • 将来のライフプランを立てやすい

  • マネジメントしてもらえる

  • 社会保険や税金の手続きを自分でする必要がない

 

 

雇用契約の大きなメリットは、労働条件通知書で合意した内容にもとづき、長く安定的に働ける可能性が高い点です。たとえば、コロナ禍の影響で営業成績が伸び悩んで個人の予算を達成できなくても、雇用契約の場合はその理由だけで即座に会社を辞めさせられることはないでしょう。

 

また、組織が終身雇用&年功序列型である場合、年齢・社歴×成果などの基準から給料が定期的に上がる(定期昇給する)かもしれません。

 

こうした組織で雇用されていると、たとえば「25歳でマイホームを買い、共働きをしながら55歳まで住宅ローンを払い続ける」とか「娘の大学進学のために、毎月◯万円を貯金する」といった人生設計も立てやすくなります。こうした収入の安定性によるメリットも、雇用ならではです。

 

なお、雇用契約の場合、入社時の社会保険加入手続きや税金の清算(年末調整)などは、人事給与部門の担当者が行うことになります。つまり、労働者本人は原則として保険・税金の手続きを自分でやる必要はないわけです。

 

雇用契約書とペン

雇用契約のデメリット

 

続いて、企業と労働者が雇用契約をすることで生じやすい問題やデメリットを見ていきましょう。

 

雇用契約における「企業側」のデメリット

 

労働者との雇用契約によって人材確保をした場合、企業側に以下の問題やデメリットが生じる可能性があります。

 

 

  • コストが増大しやすくなる

  • 人的リソースを柔軟に使えないことがある

  • 簡単に解雇できない

  • 労務管理が複雑化しやすい

 

 

まず、雇用契約中心の企業に生じやすいのが、コストが膨らみやすくなる問題です。

 

たとえば、企業がフルタイム勤務の正社員を1名雇用すると、労働者に支払う給与のほかに、本人と折半する社会保険料や福利厚生、設備関連の費用が発生します。これは、国民健康保険や国民年金への加入や、仕事で使うパソコンなどの購入も自分で行う業務委託との大きな違いでしょう。

 

また、労働者は労働基準法などの法律に守られていますから、たとえば「仕事の質が低い」とか「会社の売上が最近下がっている」などの理由だけでは、即座に解雇したり配置転換を行ったりすることもできません。

 

つまり、自社と合わない人材を採用してしまったときに、人材活用の最適化が難しくなり、コストもさらに増大する可能性を意味します。

 

なお、近年のビジネス環境では、政府が推進する「働き方改革」や「ダイバーシティ経営」、「一億総活躍社会」などが注目されている理由から、組織のなかに従来と比べて多様な人材が増えやすくなっています。また、終身雇用が崩壊したことで、人材の出入り(転職・離職・中途採用)も当たり前になりつつある時代です。

 

<参考>:「働き方改革」の実現に向けて(厚生労働省)

<参考>:ダイバーシティ経営の推進(経済産業省)

<参考>:一億総活躍社会とは(厚生労働省)

 

こうしたなかで人事担当者が行う労務管理も複雑化し、法律に則ったマネジメントをするうえで多くのコストがかかるようになりました。これも、業務委託ではなく雇用で人材確保するデメリットの一つといえるでしょう。

 

なお、ダイバーシティについては、以下の記事でも詳しく解説しています。興味のある方は、ぜひチェックしてください。

 

【関連記事】ダイバーシティとインクルージョンの違いとは? 多様な人材が活躍する環境の作り方、成功事例を解説

 

雇用契約における「労働者」のデメリット

 

雇用契約で働く労働者のなかには、以下の点について不満や違和感を覚える人もいます。

 

 

  • 仕事内容や働く時間などに制約が入る可能性がある

  • 人間関係によるストレスが生じやすい

  • 給料がなかなか上がらない

 

 

まず、古くからある終身雇用&年功序列のなかでは、従業員にさまざまな経験をさせながら適性を見極めたり人材育成を行ったりするジョブローテーションという仕組みが導入されがちです。

 

ジョブローテーションの環境に入った総合職の人材は、たとえば新卒時は営業部門に配属され、3年後にマーケティング部、さらに3年後は企画部……のように、さまざまな部署をまわりながら経験を積むことが多くなります。

 

こうしたシステムのもとで雇用契約をした場合、もともとマーケティングを希望していた人が、企画や開発といった自分のキャリアビジョンとは異なる部署に配属されたりするかもしれません。また、雇用契約の場合、組織バランスを維持し事業を継続するうえで以下のような相談を受けてしまう可能性もあるでしょう。

 

 

【急な離職者が出た場合】
即戦力人材を採用するまで、3ヵ月ぐらい販売部門に戻ってもらえないだろうか?

 

【人員不足でシフトを組めない場合】
土日のシフトを18時まで延長してもらえないだろうか?

 

 

上記のような相談は、契約内容による部分もあります。たとえば、職種・地域・働き方などが限定されている社員の場合には、このデメリットはあたらないことも多いでしょう。

 

次に、人間関係の悩みが生じやすいのも、雇用契約ならではです。特にジョブローテーションのなかでは、数年おきに部署移動をするため、自分と合わないメンバーが多い部署に配属される可能性もあるでしょう。

 

また、雇用契約の場合、業務委託のようなスポット対応ではなく6ヵ月や1年、無期といったいわゆる長期が前提となりますから、そのなかで人間関係の問題を抱えるとストレスはとても大きくなるかもしれません。

 

なお、近年のビジネス環境では、人事評価や報酬制度のなかで従業員の業績を重視する会社が多くなりました。こうしたなかで、高い業績をあげられない従業員は給料が上がりづらくなっています。

 

この部分については、会社全体の業績や方針といったさまざまな要素の影響を受けますが、目標達成度が低い従業員の場合、「意外と給料が上がらない」や「待遇が悪い」などの悩みを抱えることが多くなるかもしれません。

 

雇用契約と業務委託契約の税務上の違い

 

雇用契約と業務委託契約には、税務(所得税と消費税)の取り扱いについても大きな違いがあります。税務上の取り扱いは、人事給与担当者の業務に影響する部分です。ここでは、雇用契約と業務委託契約における税務上の考え方に関して、詳しく見ていきましょう。

 

【所得税】雇用契約と業務委託契約の違い

 

所得税における雇用契約と業務委託契約の違いは、以下のとおりです。

 

・雇用契約の場合

雇用契約をした場合、企業は“賃金支払の5原則”にもとづき、従業員に対して給与を毎月支払います。

 

そこで人事給与担当者に発生する事務手続きが、源泉徴収です。源泉徴収は、給与を支払う側が、給与所得から算出した所得税および復興特別所得税を総支給額から差し引き、本人に代わって国に納付する仕組みとなります。源泉徴収した所得税および復興特別所得税は、原則として給与を支払月の翌月10日までに納付します。

 

<参考>:給与所得者(従業員)の方へ(令和7年分)(国税庁)

<参考>:令和7年版 源泉徴収のしかた(国税庁)

 

さらに毎年12月には、源泉徴収された1年間の税額と、実際の年税額を一致させる精算手続きを行う必要があります。この手続きは、年末調整と呼ばれるものです。給与所得者の大半は、年末調整で精算が完了するため、自分で確定申告を行う必要はありません。

 

年末調整の対象者や手続きの流れは、以下の記事でも詳しく解説しています。年末調整の基礎知識を身につけたい方は、ぜひご確認ください。

 

【関連記事】年末調整業務の進め方ガイド|担当者がやるべき手続きの流れや必要書類の種類などを解説

 

・業務委託契約の場合

業務委託契約の場合、委託元と受託者はどちらも「独立した事業者」になります。業務委託契約ではそもそも給与の支払いがないため、給与計算業務としての源泉徴収はありません。

 

ただし、業務委託で支払う報酬・料金のなかにも、以下のように源泉徴収が必要な種類があります

 

 

【報酬・料金等の支払を受ける者が居住者である場合の源泉徴収の対象となる範囲】

  1. 原稿料や講演料など
    ただし、懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
  2. 弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
  3. 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  4. プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
  5. 映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
  6. ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務とするいわゆるバンケットホステス・コンパニオンやバー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
  7. プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
  8. 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

 

【報酬・料金等の支払を受ける者が内国法人である場合の源泉徴収の対象となる範囲】

・馬主である法人に支払う競馬の賞金

 

<引用>:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは(国税庁)

 

 

ただし、業務委託契約の場合は、年末調整を行う必要はありません。受託者が要件を満たす場合、法定調書を作成して税務署などに提出します。

 

一方で受託者は、自分が業務委託契約で受け取ったすべての報酬や収入について、確定申告を行わなければなりません。確定申告の場合、青色申告を選択して指定要件をクリアしたり、電子申請システムのe-Taxを利用したりすることで、特別控除などの特典を受けることができます。

 

<参考>:所得税の確定申告(国税庁)

 

なお、法定調書については以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご確認ください。

 

【関連記事】法定調書とは? 作成・提出のポイントと提出期限、年末調整との関係を詳しく解説

 

【消費税】雇用契約と業務委託契約の違い

 

消費税の場合、以下の4要件を満たしたときに、課税対象となる国内取引に該当することが定められています。見ていただくとわかりますが、雇用契約と業務委託契約でその扱いが変わることになります。

 

 

  1. 国内において行うもの(国内取引)であること。
  2. 事業者が事業として行うものであること。
  3. 対価を得て行うものであること。
  4. 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供であること。

 

<引用>:消費税のあらまし|2.どんな取引が課税対象?<PDF>(国税庁)

 

 

・雇用契約の場合

雇用契約で支払った業務の対価(給料など)は、消費税の課税対象外です。その理由は、労働者は独立した事業者ではなく、雇用契約のなかで被雇用者としての役務提供をしているからとなります。それはつまり、上記の4要件のうち「3.事業者が事業として行うものであること」にはあたらないということです。

 

したがって、雇用契約の場合には労使の両方が消費税の申告・納税は不要となります。

 

・業務委託契約

業務委託契約の場合は、上記の4要件に該当します。そのため、消費税の課税対象になるのが原則です。ただし、消費税の申告・納税を行う必要があるのは、以下の要件に該当する人・事業者のみになります。

 

 

  1. インボイス発行事業者の登録を受けている方
    インボイス発行事業者である課税期間は、基準期間の課税売上高にかかわらず、課税事業者となりますので、「消費税課税事業者届出書」の提出は不要です。
  2. 基準期間(令和4年分)の課税売上高が1,000万円を超える方
  3. 基準期間(令和4年分)の課税売上高が1,000万円以下で令和5年12月末までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している方
  4. (2)、(3)に該当しない場合で、特定期間(令和5年1月1日から令和5年6月30日までの期間)の課税売上高が1,000万円を超える方

 

なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。

 

<引用>:【消費税及び地方消費税の申告等】Q22 消費税及び地方消費税の申告をする必要がある人は、どのような人ですか。(国税庁)

 

 

発注者側では、支払った対価にともなう消費税を売上分の消費税から差し引いて納付できますが、この手続きを「仕入れ税額控除」と呼びます。
また、発注事業者が本則課税(原則課税・一般課税)で納税額を算出している場合、取引先から適格請求書(インボイス)を交付してもらう必要があります。

 

業務委託の契約締結における注意点

 

企業が従業員を雇用する場合、労働関連法で定められた就業規則や労働条件通知書などを整備したうえで受け入れなどの手続きに入るのが一般的です。これに対して業務委託の場合は、クラウドソーシングなどのいわゆるマッチングサイトを利用したりすることで、法律知識がなくても簡単に仕事の受発注ができてしまう側面があります。

 

こうしたなかで起こるのが、「名ばかりフリーランス」や「名ばかり個人事業主」などの問題です。ここでは、名ばかりフリーランスが意味する問題を簡単に解説したうえで、委託元と受託者のトラブルを防ぐために重要となる契約時のポイントを紹介しましょう。

 

名ばかりフリーランスとは

 

名ばかりフリーランス(名ばかり個人事業主・偽装フリーランス)とは、契約上は業務委託であるにも関わらず、委託元からの指揮命令や時間拘束などによる労働者性が生じてしまっている状態です。

 

こうした問題が生じる理由は、悪質な企業が従業員を雇用することで生じる社会保険の労使折半や福利厚生、設備費用などを減らすために、あえて業務委託で働く人を使っているからです。

 

名ばかりフリーランスの場合、独立した立場を保ち自分の判断で働く裁量がないケースが多くなります。その一方で、業務委託契約であることから労働関連法がほぼ適用されず、適切な労務管理も実施されないことで、働く人の心身や費用面の負担が大きくなりやすい実情があります。

 

近年では、こうした働き方に不満を覚えた名ばかりフリーランスが、雇用契約や労働環境の改善を求めて訴えを起こすケースも多くなりました。
自社と契約した名ばかりフリーランスが訴えを起こし、その内容がメディアなどで取り上げられた場合、ステークホルダーからの信用を失う可能性があるでしょう。

 

また、名ばかりフリーランスと似たものに「偽装請負」があります。偽装請負は、書類上は業務委託契約であるのにも関わらず、実態としては労働者派遣になっているものです。労働者派遣と業務委託もやはり適用される法律が異なりますから、名ばかりフリーランスと同様に働く人に不利になりやすい問題といえるでしょう。

 

<参考>:偽装請負について(厚生労働省・東京労働局)

 

名ばかりフリーランスや偽装請負の問題を
防ぐために

 

名ばかりフリーランスや偽装請負の問題を防ぐために大切なことは、以下の2つです。

 

 

  • 選択する契約形態および受託者に関係する法律知識を身につける

  • 適切な内容の契約書や発注書を作成して合意をとる

 

 

まず、関連する法律は「どういう人(組織)が、どういう人(組織)と、どういった仕事について、どういう方法で契約するか?」で変わります。

 

仮に、従業員を使用する企業がフリーランスや個人事業主と業務委託契約を締結する場合には、委託元企業は下請法・フリーランス保護新法・独占禁止法といった法律を理解したうえで、そのルールを遵守するための契約内容を示さなければなりません。

 

例としてフリーランスに対して業務委託をする場合には、以下の9つの取引条件を示すことが求められます。

 

 

① 給付の内容
② 報酬の額
③ 支払期日
④ 業務委託事業者・フリーランスの名称
⑤ 業務委託をした日
⑥ 給付を受領する日/役務の提供を受ける日
⑦ 給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所
⑧ (検査をする場合)検査完了日
⑨ (現金以外の方法で報酬を支払う場合)
   報酬の支払方法に関して必要な事項

 

<引用>:書面などによる取引条件の明示(公正取引委員会)

 

 

ただし、上記は「従業員を使用する企業」と「フリーランス(個人)」間で取引をする場合です。契約書や発注書を作成するために関連法律を調べるうえでは、お互いの状況や契約形態を適切に理解したうえで、情報収集に入る必要があるでしょう。

 

また、契約締結するうえでは、相手の合意をとることも重要です。

 

お互いの認識のズレを防ぎ、納得の合意内容にするためには、なるべく具体的な情報を示す必要があります。たとえば、「記事の修正は3回」と書くよりも、「記事の修正は、初稿納品から7日以内に1回、戻しから7日以内の修正を希望。」と具体的に記載したほうが、合意をとりやすくなるはずです。

 

一方で、契約内容が曖昧であったり、そのために受託者に多くの負担や不利益が生じたりした場合、名ばかりフリーランスだとして訴えを起こされる可能性もでてくるでしょう。委託者と受託者の間におけるトラブルを防ぐうえでは、自分たちに適用される「法律に則った具体的な契約内容」と、受託者に「必要以上の負担がかからない配慮」が必要となります。

 

<参考>:2024年11月1日にフリーランスの方のために、新しい法律がスタートしました。(公正取引委員会)

<参考>:東京労働局(厚生労働省)

 

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本記事では、法律的な定義やメリット・デメリットなどの側面から、業務委託契約と雇用契約の違いを詳しく解説してきました。業務委託契約については多くの注意点があるため、人事部のなかでも負担に感じている方は多いのではないでしょうか。

 

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