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年末調整の電子化を進める!メリット・デメリット・やり方を紹介

2026.01.09
給与所得の源泉徴収票

本記事では、年末調整の電子化について解説します。年末調整の申告書はどのように作成し、データとしてどのように情報を連携させるのか。手続きの電子化をするメリットやデメリット、電子化する際に必要なことや導入ポイント、流れにいたるまで網羅的に解説していきます。従業員だけでなく、ぜひ人事の方も参考にしてみてください。
監修者:飛悠税理士法人

 

社内で年末調整の電子化に未だ着手していないのであれば、早急に導入に向けて動き出す必要があるでしょう。

 

年末調整の電子化は2026年現在、一部の業務を除いて法的な義務はありません。しかし、年末調整と連動する法定調書の作成への対応、労働力不足による業務負担の軽減など、年末調整の電子化には大きなメリットが期待できるのです。

 

また、事務作業の電子化は、日本国内に留まらず世界的なレベルで加速度的に進んでいます。そのような流れを加味すると、「年末調整を電子化するのは面倒でなかなか一歩が踏み出せない」とするのは、競争社会において大きく後れをとってしまうことになりかねません。

 

そこで本記事では、年末調整の手続きを電子化するやり方について詳しく解説します。また、年末調整を電子化するメリットやデメリットについてもご紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

年末調整手続きの電子化とは?

 

年末調整手続きの電子化では、専用のソフトを使って年末調整にかかる諸手続きを実施します。年末調整を電子化した場合は、従来のように紙の書類を用いることはありません。デジタルデータを用いて、年末調整にかかる手続きを進めるのが特徴です。

 

年末調整手続の電子化とは、大きく2つの手続きに分類できます。

 

年末調整の電子化① 従業員の申告手続きの電子化

・勤務先が従業員から年末調整に関する申告書及び控除証明書等のデータ提供を受け、このデータを利用して年税額を計算すること

これを実施することにより、様々な手続きにおいてデジタルデータを活用できるため、大幅な業務効率化が期待できます。具体的に、年末調整の電子化で効率化できる業務の例としては、以下のものが挙げられます。

 

※2020年より従業員が控除証明書等を保険会社等からデータで取得し、これを年末調整の手続きに利用できるようになりました。

 

 

  • 年末調整の申告書の準備から配布
  • 年末調整の申告書の作成や回収
  • 提出された申告書のチェック
  • 申告内容の修正依頼と回収
  • 控除証明書ほか必要書類の電子データでの受け取り
  • 給与システムとの連携

 

 

年末調整の電子化②
法定調書の電子提出(一部義務化)

 

給与所得の源泉徴収票などの法定調書は、e-Taxや光ディスク等の電子データによる提出が可能です。

これはすべての企業に課せられた義務ではありません。
ただし、前々年度の法定調書が書類ごとに100枚以上ある場合は、e-Tax等の方法により法定調書を電子データで税務署に提出しなければならないと義務付けられています。

さらに令和9年1月1日以降は、この基準が枚から30枚以上に引き下げられることが決まっています。

 

ちなみに「法定調書」とは、税務署への提出が義務付けられている書類の総称です。年末調整に際しては、“給与所得の源泉徴収票”や“報酬料金契約金及び賞金の支払調書”などがこれに当たります。給与所得の源泉徴収票が100枚以上ある場合は、それを作るプロセスにあたる年末調整の手続きも電子化することが推奨されています。

 

 

このように、年末調整にかかるほとんどの業務が効率化できることになります。なお、年末調整業務の詳細に関しては下記の記事で解説していますのであわせてご覧ください。

 

【関連記事】年末調整業務の進め方ガイド|担当者がやるべき手続きの流れや必要書類の種類などを解説

 

改めて従来の業務を考えてみると、期間もかなり要します。年末調整にかかる申告書の用意から配布、そして税務署への提出が完了するまで、企業の規模によっては2〜3ヶ月程度かかることもあるでしょう。多岐に渡る業務を抱えながら少数精鋭で運営されていることが多い人事部にとって、これらは大きな負担と言えます。

 

しかし、法定調書の電子提出の義務化などが進んだ現在、工程の上流にある従業員の年末調整申告手続きを電子化すれば、大幅に事務作業の手間を軽減して業務効率を向上させることができるのです。

 

年末調整手続きの電子化をする
メリットとは?

 

年末調整の手続きを電子化することによる最大のメリットは、“業務効率化”です。

 

年末調整をはじめとする人事部が行う事務処理は、直接的に企業の業績には貢献しません。
ただ、法律に準拠した健全な企業運営を維持するためにも、社員が安心して働ける環境を整備するためにも、欠かせない業務といえます。

 

しかし、年末調整は作成する書類の多さや複雑さ、また日常的には行わないような計算処理を伴うため、ヒューマンエラーが増えてしまい作業工数が増大する事態も頻繁に発生してしまいます。

 

ただ、年末調整の手続きは一定のルールに従って行われる事務作業ですので、デジタルツールとの相性が良いと言えます。電子化することによって、課題の抜本的な改善が期待できるでしょう。

 

ここでは、年末調整手続きを電子化することで期待できるメリットを8つ挙げて解説していきます。

 

メリット(1)事務作業に要する時間の削減

 

年末調整の電子化を推進することで、作業時間の大幅短縮が期待できます。

 

年末調整の手続きでは、人事部が紙の申請書を用意し、各従業員に配布するところからスタートするのが一般的です。しかし、これらの準備も企業規模が大きくなるほど膨大な時間を要することになるでしょう。

 

また、申請書類の記載内容や添付書類を1枚ずつチェックする必要がありますし、計算内容に誤りがないか再計算したり、記入ミスや不足書類があった場合は社員に連絡したり、修正を依頼しなければなりません。また、再提出の期限を設けていても、予定通りに申請書を回収できるとは限らず、その際には督促する手間もかかってしまいます。

 

一方で年末調整の電子化を進めた場合には、紙の申告書を使いません。社員は年末調整のシステムを使用して申告書を作成し、デジタルデータで書類を提出します。下図のとおり添付書類もデジタルデータとして取り込んで提出しますので、年末調整にかかるすべての書類についてデジタルデータでの管理が可能です。

 

年末調整電子化の流れ

 

<出典>「年末調整手続の電子化について ~実施方法検討編~」<PDF>国税庁

 

デジタルデータの申告書であれば、記入漏れや明らかな入力ミスがあった場合には、その場で記入ミスがある旨が通知されます。また、紙の申請書と異なり、うっかり記入し忘れたまま提出するといったこともありません。

 

人事部で行う申請書類のチェックも、各項目の入力規則に従ってチェックすることができます。人の目で一つずつ確認するよりもスピーディーに完了するのがメリットといえるでしょう。

 

メリット(2)ミスの減少

 

年末調整手続きの電子化は、書類作成におけるミスの減少に大きく貢献します。

 

たとえば手書きの申請書では記入漏れや記入間違いは多いですし、読みにくい文字で書かれていることもあるため、判読に時間を要することもあるでしょう。

 

しかし、年末調整に対応可能なシステムを使用した場合は、システム側が自動的に計算やチェックを行います。そのため、入力内容の正確性は向上し、当該社員に申請書の再提出を依頼しなければならないような決定的なミスは大幅に減少するでしょう。

 

さらに、控除証明書の内容は申請時点でデジタルデータとして提出されますので、人事部の担当者による手入力も不要です。人が作業を行う場合はヒューマンエラーを完全に回避するのは困難ですが、年末調整の手続きを電子化することでヒューマンエラーによる転記ミスの予防も実現できるでしょう。

 

メリット(3)コスト削減

 

年末調整を電子化することで、コスト削減も期待できます。

 

紙の書類で年末調整を行う場合、申請書の印刷や保管場所の確保、書類の配布回収にかかる郵送費等、様々なコストがかかります。年末調整は毎年必ず行うものですが生産的な活動ではありませんので、コンスタントにコストがかかり続けるのは企業にとって大きな負担となってしまいます。

 

特に、年度を重ねるたびに保管すべき書類も増えますので保管コストは増え続けますし、新たに用意する手間もかかってきます。年末調整を電子化することで、このような様々なコストが削減できるのは、大きなメリットと言えるでしょう。

 

 

メリット(4)環境負荷の軽減

 

年末調整手続きの電子化は、すべての企業にスタンダードとして求められる『SDGs』の実現をめざす取り組みにもつながるでしょう。SDGsは、持続可能な開発目標(SustinableDevelopmentGoals)の略であり、2015年に国連で採択され2030年までに達成を目指す17の目標が掲げられています。

 

<参考>:国際連合広報センター「SDGsとは?」

 

紙の資料を削減することは、SDGsの12番目の目標である「つくる責任つかう責任」や、13番目に掲げられた目標である「気候変動に具体的な対策を」に対応する施策です。

 

紙の使用量を減らすことによって環境負荷の軽減に貢献することは、持続可能な業務運営に貢献できるほか、企業の社会的責任(CSR)を果たすことにもなります。また、「積極的にSDGsに取り組む先進的企業」といったブランディングにも寄与するでしょう。

 

メリット(5)操作性の向上

 

年末調整をデジタル化した場合、社員はインターネット環境があればどこからでも申請が可能になります。

 

そうすると、テレワークで在宅勤務している場合であっても、長期の出張でオフィスに出向くことが難しい場合であっても、年末調整のシステムにアクセスできれば時間や場所を問わず申請することができます。さらに、スマートフォンにも対応した年末調整のシステムを利用すれば、休憩時間や通勤の合間といった“隙間時間”にも申請ができるわけです。

 

年末調整の申請時期は、企業内のどの部署にとっても繁忙期であることが多く、申請書の回収に苦労する人事担当者は少なくありません。また、修正を依頼したものの、再提出がみられず、何度も請求しなければならないこともあるでしょう。その間に添付書類の紛失があれば、さらに手続き完了までに時間がかかることも考えられます。

 

さらに、年末調整の手続きを電子化するとインターネット回線があれば時間や場所を問わず申請手続きが可能になるだけでなく、提出した添付書類がデータとして残るため紛失のリスクも軽減されることになります。

 

メリット(6)データの一元管理が可能

 

年末調整の電子化に限らず、事務手続きに伴うデータをデジタル管理すると、一元管理ができるようになります。

 

紙の書類の場合、該当の書類がどこにあるかを探す手間がかかってしまいます。また、厳重に管理していても、何らかのミスが重なったことで書類の行方が分からなくなったり、紛失したりする可能性もあるでしょう。

 

一方で電子化してデジタルデータとして管理すれば、必要な情報を迅速に検索して見つけ出すことができます。
また、電子化したデータであればバックアップも容易なため、紛失や破損のリスクが軽減されるメリットもあります。

 

メリット(7)企業の競争力向上

 

他のメリットとも関連しますが、年末調整の電子化によって業務効率の向上やコストの削減が実現すれば、企業の競争力向上につながっていきます。

 

年末調整の書類作成にかかる「人事部以外の社員の負担」も軽減しますので、迅速かつ正確な業務運営が可能となり、生産性の向上につながることにもなるでしょう。

 

年末調整にかかる事務作業は、直接的に企業の生産活動には結びつきません。しかし、企業の健全な運営に必須の事務作業を効率化できれば、コア業務に集中することができ、企業の競争力につながることになるはずです。

 

年末調整手続きを電子化することでの
デメリットとは?

 

年末調整手続きの電子化には、様々なメリットが期待できる反面、いくつかのデメリットもあります。年末調整手続きの電子化に伴うメリットを最大化するために、あらかじめデメリットを把握することは重要です。

 

ここでは、年末調整の電子化に伴うデメリットを6つ挙げて解説していきましょう。

 

デメリット(1)
従業員へのサポート体制の構築が必要

 

年末調整を電子化する場合、社員全員が自らシステムにアクセスして手続きしなければなりません。デジタルシステムの利用に不慣れな社員がいる場合には、サポート体制の構築が必要になるでしょう。

 

また、年末調整のシステムを選択する際には、チュートリアルが用意されているものや直感的に操作しやすいように設計されているものを選ぶようにしましょう。

 

さらに、年末調整手続きを電子化する際には、あらかじめシステムの利用方法について周知する機会を設けたり、デジタルツールに疎い社員でも操作しやすいようにカスタマイズしたりするなどといった配慮も必要になるかもしれません。

 

なお、年末調整システムの選び方については下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

 

【関連記事】年末調整システムのメリットとデメリットを徹底分析! 選び方や注意点を押さえよう

 

デメリット(2)電子システムの連携が必要

 

年末調整システムを導入する際は、関連する他の事務システムとの連携を整える必要があります。特に密接に関わるのが給与計算システムです。両者が連携できなければ、正確な計算やデータの自動反映ができません。

 

そのため、すでに給与計算システムを利用している場合は連携の可否を確認し、未導入の場合は年末調整システムとスムーズに連携できるものを選ぶことが求められます。

 

デメリット(3)
紙媒体と電子データの混在による手続きの複雑化

 

控除証明書の電子データは、従業員が自らマイナポータルや保険会社等の発行元のウェブサイトなどからダウンロードする必要があります。

 

しかしながら、「生命保険料控除」の証明書は保険会社から自動的に書面で郵送されて従業員の手元に届きますし「住宅ローン控除」の申告書や「年末残高証明書」なども、紙媒体で提供されることが多いのではないでしょうか。この場合、年末調整手続きを完全に電子化することが難しくなり、紙媒体と電子データが混在することによる手続きの複雑化が予想されます。

同一(同一契約)の内容をデータと紙の両方申告してくるケースも考えられます。重複を避けるためデータを抽出して正しい状態にする、といったような手間がかかることもデメリットといえるでしょう。

また、国外居住親族関連の書類や前職の源泉徴収票など電子化されていない紙の書類が残っていることも考慮しておく必要があります。

 

デメリット(4)初期導入コストが発生

 

年末調整の電子化に伴い、大きなデメリットは初期導入コストです。

 

年末調整システムの導入そのものにかかる費用のほか、システムをスムーズに利用できるよう社員を教育するコストも見込む必要があるでしょう。

 

短期的に見ればコストが大きく感じられる可能性もあります。しかし、年末調整は毎年行われるものです。また、年末調整システム導入のタイミングで連動する給与計算のシステムも電子化すれば、長期的には業務の効率化と労働時間の短縮が可能になります。

 

短期的なデメリットにとらわれず、長期的な視野に立って導入を検討すると良いでしょう。

 

デメリット(5)セキュリティリスク

 

年末調整を電子化する場合、セキュリティ対策は不可欠です。年末調整で取り扱うデータは個人情報に深く関わりを持ちますので、データの漏洩や不正アクセスは徹底して排除する必要があります。

 

ただ、年末調整を電子化すれば、ID/パスワードを把握している社員以外は情報を閲覧できません。紙媒体に比べて、データにアクセスするハードルとしては高くなるわけです。

 

電子化したうえでセキュリティリスクを低減させるには、年末調整システムを選ぶ際に万全なセキュリティシステムが構築されているものを選ぶことが重要になります。

 

パソコンから年末調整のWeb申告をする人

年末調整手続の電子化の具体的なやり方

 

年末調整を電子化したいと考えても、「何から始めればいいのか分からない」という声は多くあります。従来の紙でのやり取りとは異なり、電子化には専用の準備や手順が必要です。しかし、一度仕組みを整えてしまえば大幅な業務効率化が期待できますので、ぜひ取り組んで欲しいところです。

 

ここでは、年末調整を電子化するための手順や流れを、実務担当者にも分かりやすい形で解説します。

 

年末調整を電子化する手順・流れ

 

年末調整の電子化は、大きく次の流れで進めます。

 

(1)社内方針の決定

年末調整業務を電子対応するかどうかを決定し、対象とする従業員の範囲を明確にします。(全従業員か一部か)

 

 

(2)利用システムの選定と導入

自社の導入目的に沿ったシステムを選定します。従業員のメリットとなる操作性やシステムの使いやすさ、人事部の負担を軽減するサポート体制やセキュリティ、コストなど複数の観点を確認しながら選びましょう。導入するシステムが決まったら、業務プロセスを設計します。

 

(3)申告方法の周知と事前説明

従来の紙申告から、はじめて電子申告に切り替える場合には従業員が混乱しないよう丁寧な説明が必要です。全社周知に加えて、拠点や事業部ごとの教育計画なども検討してみてください。

 

(4)従業員からの申告情報を電子データで収集

扶養控除申告書や保険料控除申告書など、各種書類を従業員がオンラインで入力・提出できるようにします。そのためには従業員情報をあらかじめ年末調整システムにアップロードする作業などが発生します。
申告開始前の準備が成功のカギとなりますので、余裕のあるスケジュール設定をおすすめします。

 

(5)会社側での確認・集計

提出されたデータをチェックし、年末調整のデータを作成します。給与計算システムに取り込み、年末調整の計算(過不足税額の計算)を行い、給与支払報告書や法定調書に反映させます。

 

年末調整書類の電子データを準備する

 

電子化にあたり、書類は次のようにデータ化しておく必要があります。

 

従業員が準備すること

・マイナポータルや保険会社のウェブサイトから次の書類をダウンロードしておく

 ①保険料控除の申告にかかわる書類:
  保険料控除証明書
  (生命保険、地震保険、社会保険、小規模企業共済等掛金)

 ②住宅ローン控除の申告にかかわる書類:
   年末残高証明書、住宅借入金等控除証明書

 

企業側が準備すること

・各種申告書:従業員が年末調整システム上でオンラインフォームに入力する形式に切り替える。

・各種証明書類の回収:保険や住宅の証明書を電子で受け取れるシステムを選定しておく。電子の証明書の取得ができない従業員や、電子化に対応していない書類もありますので紙書類の取り扱いについても事前に対応方針を決めて、周知することも重要です。

・法定調書:給与計算システムから各種法定調書のデータを出力する。市販されている給与計算システムの多くは国税庁やeLTAXの指定するレイアウトに対応したCSVデータを出力する機能を備えていますので、自社で使っているシステムについても事前に確認しておきましょう。

 

法定調書をオンライン上で提出する

 

法定調書のデータは、以下の方法でオンライン上での提出を行います。

 

【国税関係(所得税関連)】

e-Taxを利用して、給与所得の源泉徴収票などをオンライン提出します。

 

【地方税関係(住民税関連)】

地方税ポータルシステム(eLTAX)を通じて、市区町村へ給与支払報告書などを提出します。

提出完了後は、受信通知や受付結果を必ず保存しておきましょう。これにより、万一の税務調査時にも速やかに対応することができます。

 

年末調整手続きを電子化する際に
必要なこととは?

 

先ほど電子化のメリットとデメリットを確認しましたが、年末調整手続きを電子化する際には、企業側と社員側の双方で万全の準備を整えることが大切です。年末調整手続きの電子化にあたって企業側が行う準備としては、次のようなものがあります。

 

 

  • 年末調整に対応したソフトウェアの導入
  • 給与計算システムの電子化
  • 社員への周知

 

 

まず、年末調整の電子化に対応したソフトウェアを導入します。このとき、既存の給与システムが電子化に対応しているか確認することが大切です。給与計算と年末調整は相互に関連していますので、システムが連動しなければ業務の効率化は図れません。

 

導入する年末調整のソフトウェアが決まったら、電子化の手順を社員に共有していきます。それと同時に「年末調整を電子化することで期待できる社員側のメリット」を伝えると良いでしょう。
年末調整の電子化に向け、企業全体でポジティブなイメージを持ちながら推進することが可能となるはずです。

 

なお、以前は法定調書の電子提出を開始する場合は税務署にあらかじめ申請が必要でした。しかし、制度の改正に伴って2026年現在では、電子提出に事前の届出は不要になっています。社内で年末調整の電子化の準備が整えば、スムーズに提出ができるはずです。

 

年末調整手続き電子化の導入ポイント

 

年末調整手続きの電子化をスムーズに進めるためには、次の2つのポイントが重要です。

 

ポイント(1)システムの選定

 

前述したとおり、年末調整システムは様々なものがあり、操作性や機能、連携できるシステムなどは異なります。自社の社員にとって見やすい画面のものや、操作しやすいシステムを選ぶ必要があります。

 

すでに利用している給与計算などのシステムがある場合は、互換性の有無も確認しておきましょう。

 

ポイント(2)社員への連携

 

年末調整システムの導入に際しては、全社員の協力が欠かせません。そのためにも、しっかりと社員に対してアナウンスをしましょう。

 

特に「なぜ年末調整を電子化するのか」「どのような効果が期待できるのか」「具体的にはどのような作業が必要なのか」などを、分かりやすく何度も伝える機会を設けるべきです。

 

年末調整手続き電子化の流れとは?

 

では改めて、年末調整を電子化するための全体の流れを見てみましょう。

 

 

  • 年末調整システムの選定・導入

  • 年末調整の電子化に関して社内で共有/教育

  • 年末調整に伴って必要な控除証明書の取得をアナウンス

  • 年末調整システムでの申請を社員に依頼

  • 提出された申告内容のチェックと修正依頼

  • 申告データを給与計算システムに取込み、過不足税額を計算

  • 国税庁へのデータ提出

     

 

年末調整システムは様々な企業からリリースされていますので、自社にとって使い勝手が良いものを見極める必要があります。一度導入するとシステムを変更するのは大変ですので、慎重に検討する必要があるでしょう。

 

まずは、複数社のサービスを見比べたうえで、機能やメリット、互換性などを吟味したうえで決定するようにしましょう。また、導入する年末調整システムが決定したら、実際に入力操作する社員への共有を欠かさず実施しましょう。

 

年末調整の電子化は、システムが稼働し始めてしまえばスムーズです。しかし、新しいシステムに慣れて滞りなく運用できるようになるまでには、ある程度の時間がかかることがあります。スケジュールには余裕を持たせ、社内の連携を十分にとりながら進めることが重要だといえるでしょう。

 

年末調整の電子化のやり方に関する
よくある質問

 

年末調整の電子化を検討する担当者からは、「保険料控除証明書のデータ提出は義務なのか?」「従業員が対応できなかったらどうする?」といった具体的な不安の声がよく聞かれます。ここでは、年末調整の電子化に関して特に質問の多いポイントをQ&A形式でまとめました。実務で悩みやすい点をあらかじめ把握しておくことで、スムーズに電子化を進められるはずです。

 

Q1. 保険料控除や住宅ローン控除に関わる証明書の電子化は義務化されているのか?

 

現時点(2026年)では、年末調整に使われる上記証明書の電子化は義務ではありません。紙での提出も引き続き認められています。

 

Q2. 従業員が年末調整の手続きを行う際に紙と
電子化の併用は可能ですか?

 

可能です。従業員の一部が電子申告に対応できる場合は、その分だけ電子化し、対応が難しい従業員については従来通り紙で提出する「ハイブリッド方式」を取ることも認められています。

 

併用すると管理の複雑さが増すため、最終的に集計する際にデータと紙を正しく突き合わせる体制づくりが重要です。場合によっては業務委託を検討してみてもよいかもしれません。

 

年末調整を業務委託する際の基本的な知識や委託先の選び方については、下記の記事で詳しくまとめています。あわせてご確認ください。

 

【関連記事】年末調整を業務委託する際の基礎知識|メリット・デメリットや委託先の選び方を徹底解説

 

Q3. 電子化に対応していない従業員がいた場合は?

 

高齢の従業員やパソコンに不慣れな従業員など、電子化に抵抗を持つケースもあります。その場合は以下のような対応が考えられます。

 

 

  • 操作説明会やマニュアルの提供で不安を解消する

  • 一部従業員は紙で継続利用し、段階的に電子化へ移行する

  • 社内で代行入力を行う体制を整備する

 

 

無理に全員を一度に電子化に切り替える必要はなく、従業員の理解を得ながら少しずつ進めるのが現実的でしょう。

 

Q4. トラブル時の対処法は?

 

電子化では「システムエラー」「ネットワーク障害」「データ入力ミス」といったトラブルが発生する可能性があります。想定される対応策としては以下のとおりです。

 

 

  • エラー発生時は紙提出へ切り替えるバックアップ体制を準備しておく

  • 定期的にデータを保存・バックアップしておく

  • 税務署やソフトウェア提供会社のサポート窓口を活用する

 

 

トラブル時に慌てないためにも、事前に代替手段を社内で共有しておくことが重要です。

 

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本記事では、年末調整の手続きを電子化するメリットや導入のポイントについて解説させていただきました。もし年末調整の手続きを電子化したいとお考えでしたら、ぜひラクラスにご相談ください。

 

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この記事の監修者:飛悠税理士法人

私たち飛悠税理士法人は、お客様に対し税務会計の専門家としての立場でサービスを提供することはもちろんですが、その前に人間同士の信頼関係、人としての筋道を大切にすることをモットーにしています。

そのために、お客様のお考えをよく聞き、私たちの考えをきちんとお伝えすることによって、お互いの信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。

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