2025年4月に改正!育児介護休業法の内容と企業が実施すべき体制整備のポイントを解説

2025.06.18

本記事では、2025年に改正された育児介護休業法の概要を確認したうえで、4月施行分の改正ポイントをわかりやすく解説していきます。また、この制度改正が企業にもたらす影響と人事担当者が行うべき対応策についてもご紹介してまいります。

2025年4月1日より、改正された育児介護休業法が段階的に施行されることになりました。

 

この法律は、育児や介護と仕事を両立するうえで重要な役割を担います。また、育児や介護を理由とした離職の防止や、採用力の向上といったメリットも企業側にあります。

 

ただし、改正された育児介護休業法の新ルールを社内に導入するためには、さまざまな環境整備・体制整備が必要です。

 

そこで本記事では、2025年に改正された育児介護休業法の概要を確認したうえで、4月施行分の改正ポイントをわかりやすく解説します。記事の後半では、この制度改正が企業にもたらす影響と人事担当者が行うべき対応策を紹介していきます。

 

改正された育児介護休業法への対応が未実施の方は、ぜひ本記事を参考にしながら社内環境の整備を進めてみてください。

2025年の育児介護休業法改正の概要

改正された育児介護休業法は、2025年4月と10月の2回に分けて段階的に施行されるものです。新ルールにもとづいた適切な対策を講じるためには、まず育児介護休業法そのものをよく知ることが重要となります。

 

この章では、育児介護休業法の概要を確認したうえで、2024年に改正が行われることになった背景と目的を見ていきましょう。

 

育児介護休業法とは?

 

育児介護休業法とは、労働者が子育てや介護を理由に働く時間の制約を受けやすい時期に、対象者の仕事と家庭における無理のない両立を支援するための法律です。

 

日本のビジネス環境では、家族の形態が大きく変わり少子高齢化が進むなかで、労働者が子育てや介護をしながら働き続けることが当たり前になってきています。しかし、家庭(育児・介護)と仕事の両立は、簡単なことではありません。

 

また、日本企業および労働者のなかには、以下のような要因から、育児や介護を理由とする休みがとりづらい問題も未だに残っています。

 

 

  • 昔から続いている、職場の休みづらい雰囲気
  • 属人化など、会社側の仕組みの問題
  • 収入・キャリアへの不安 など

 

 

そこで日本全体に視点を移すと、家族の多様化や国民の高齢化が進むなかで仕事と家庭の両立に悩む労働者はさらに増えることが予想されます。また、育児や介護を理由に仕事を続けられなくなる人の増加は、国や企業にとっても大きな損失になるでしょう。

 

こうしたなかで国では、持続可能で誰もが安心できる社会をつくるためには、労働者が希望に応じて「就労」と「子育て」、あるいは「就労」と「介護」を両立できるようにすることが重要であると考えるようになりました。

 

<参考>:7.育児・介護休業法への意見、今後の取組意向等<PDF>(厚生労働省)

 

育児介護休業法とは、こうした背景のなかで1992年4月1日に施行された法律です。そして、社会情勢や就労環境の変化に合わせる形でこれまでに10回以上の改正が行われています。2025年4月から段階的に施行される新たな育児介護休業法も、企業が注目すべき改正の一つといえます。

 

<参考>:育児・介護休業法の概要(厚生労働省)

 

改正の背景と目的

 

育児介護休業法が今回改正される背景には、近年の育児・介護・就労・子どもの出生割合などの現状を鑑み、それらの課題解決や、以下のような政府が思い描くビジョン達成の目的が大きく関係しています。

 

 

  • 育児と介護に関する休業の取得推進
  • 育児期を通じた柔軟な働き方の推進
  • 家族の介護・看護を理由とする離職の予防

 

 

まず、育児休業を幅広い人が取得できる環境整備は、政府が推進する「共働き・共育て」を推進するうえで不可欠なものです。少子化が進むなかで、第2子の出生を望む夫婦を支えるために、夫である男性の育児・家事への参加を可能とする支援も必要となってきています。

 

また、家族の形が多様化するなかで、労働者が家庭(子育て・介護・看護)と仕事の両立をしていくためには、そうした人たちが無理のない範囲内で柔軟な働き方ができる仕組みも必要でしょう。

 

その大きな鍵となるのが、テレワークの推進です。

 

コロナ禍以降のビジネス環境では、テレワークがかなり浸透してきています。しかしその一方で、アフターコロナの時代に入るなかで、テレワーク制度を原則廃止しオフィス出社に戻す企業もでてくるようになりました。

 

政府では、家庭と仕事の両立をするうえでテレワークが重要なポイントになるという考えから、今回の改正内容でもテレワークに関するルールを2つ導入しています。

 

育児介護休業法は、近年の日本社会やビジネス環境の現状を踏まえて改正されるものです。優秀な人材とともに事業を行い、自社を成長させていくためには、政府が考えるビジョンや制度改正の目的に合った対策を講じることも必要になってきます。

 

<参考>:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|令和7(2025)年4月1日から段階的に施行<PDF>(厚生労働省)

 

ここからは、2025年4月1日から段階的に施行される育児介護休業法について、改正された以下の3つの点について具体的なポイントを見ていきましょう。

 

 

(1)育児に関する新たな措置

(2)育児休業の取得状況の公表義務

(3)介護に関する新たな支援制度

 

 

<改正>育児に関する新たな措置

2025年4月施行の育児介護休業法では、育児と仕事の両立や、育児期の柔軟な働き方を実現する目的で、3つのルールが新たに追加されました。具体的な点を見ていきましょう。

 

(1)子の看護休暇の見直しと拡充

 

子の看護休暇に関する制度拡充は、子どもが病気になったときに仕事を休みにくい問題を踏まえて実施されるものです。国では、病児保育の拡充とあわせて今回の見直しを行っています。

 

拡充のポイントは、以下の4つです。

 

 

  1. 対象となる子の範囲の拡大
  2. 取得事由の拡大
  3. 労使協定による継続、雇用期間6か月未満を除外する既定の廃止
  4. 名称変更

 

 

厚生労働省の資料を引用しながら解説しましょう。

 

<引用>:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|令和7(2025)年4月1日から段階的に施行(厚生労働省)

 

 

上記で注目すべき点は、子の看護休暇という名称が「子の看護『等』休暇」に変わり、取得事由に「③感染症に伴う学級閉鎖等」や「④入園(入学)式、卒園式」が追加されたことです。

 

「③感染症に伴う学級閉鎖等」については、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言や、それにともなう学級閉鎖の経験を踏まえた見直しです。「④入園(入学)式、卒園式」は、近年の日本でひとり親世帯が増えていることに関係する改正ともいえるでしょう。

 

また、「対象となる子の範囲」が拡大し、「労働者の除外規定」が廃止されたことで、幅広い親が子の看護休暇を利用できるようになっています。

 

対象となる子の範囲は、「小学校就学の始期に達するまで」から「小学校3年生修了まで」に変わっています。さらに、除外できる労働者の要件では、「継続雇用期間6か月未満」が撤廃されている形です。この見直しは、転職が一般化する昨今のニーズに合わせたものでもあるでしょう。

 

(2)所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大

 

今回の改正では、所定外労働の制限を請求できる労働者の範囲が、以下のように見直されました。

 

 

【改正前】3歳未満の子を養育する労働者

【改正後】小学校就学前の子を養育する労働者

 

 

この制度は、いわゆる残業ができないときに利用できるものです。今回の改正で対象範囲が変わった育児のほかに、介護での利用も可能な制度になります。

 

ちなみに所定外労働とは、会社の就業規則や労働契約書で定められた労働時間を超えた労働を指す概念です。所定外労働と関連性が高い概念として、所定労働時間・法定労働時間・残業があります。

 

たとえば、ある会社の勤務時間が「9時~17時」で、休憩時間が「12時~13時まで」と仮定します。この場合の所定労働時間は、始業~終業までの時間から休憩時間を差し引いたものです。

 

また、労働基準法の第32条第1項では、使用者が守るべき「1日8時間・1週40時間以内」の法定労働時間を定めています。労働基準法に残業という概念はありませんが、1日の法定労働時間を超過して働く時間外労働のことを世間一般では「残業」と呼ぶことが多いでしょう。

 

<参考>:労働基準法|e-GOV法令検索

 

さらに、「所定外労働の制限(残業免除)」とされているとおり、所定外労働と残業は同じ意味で使われることもあります。所定外労働および残業の考え方は少し複雑になりますが、給与業務を担当するのであれば、このあたりの知識は必ず覚えておくようにしてください。

 

 

(3)テレワークの導入と関連制度の拡充

 

今回の制度改正では、テレワークに関する2つの新ルールも加わっています。

 

 

  1. 3歳未満の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度の代替措置として、テレワークを新たに追加
  2. 上記1の対象労働者がテレワークを選択しやすくするための措置を、事業主の努力義務として追加

 

 

なお、熊本労働局雇用環境・均等室の資料「育児・介護休業法等の改正の背景」では、柔軟な働き方の一つとしてテレワークへのニーズが非常に高いことが示されています。また、制度概要などの部分でも「テレワーク」の文字は多く見受けられます。

 

<参考>:育児・介護休業法の改正の背景<PDF>(熊本労働局雇用環境・均等室)

 

それはつまり、政府が「共働き・共育ての推進」に不可欠な要素として、テレワークに注目していることを意味します。

 

また、制度改正および導入当初は「努力義務」だった項目が、企業や社会への浸透状況を踏まえて「義務」に変わるケースはよくあることです。こうした前例を踏まえると、テレワークができる環境は、現在の努力義務化であるうちに進めたほうがよいかもしれません。

 

<参考>:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|令和7(2025)年4月1日から段階的に施行(厚生労働省)

<改正>育児休業の取得状況の公表義務

今回の制度改正では、家庭と仕事の両立がしやすい仕組みづくりに加えて、企業の取り組み内容やそれによる結果を社会に公表する部分についても見直しが入っています。国では、各企業における育児休業の取得率をさらに上げる仕組みの一つとして、公表義務の対象企業を以下の範囲に拡大しました。

 

 

【施行前】従業員数1,000人超の企業

【施行後】従業員数300人超の企業

 

 

公表すべき内容は、以下のいずれかです。

 

 

  • 男性の「育児休業等の取得率」
  • 男性の「育児休業等と育児目的休暇の取得率」

<参考>:男性の育児休業取得率等の公表について(厚生労働省)

 

 

年1回、公表前事業年度が終わったあとの3ヵ月以内に、自社ホームページなどでステークホルダーおよび一般の方が閲覧しやすい方法で公表する必要があります。

 

なお、厚生労働省では、自社ホームページなどに加えて、厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」での公表も推奨しています。

 

<参考>:両立支援のひろば(厚生労働省)

 

さまざまな施策によって男性育休の取得率が上がり、その実績データを公表することは、自社が仕事と家庭の両立がしやすい企業であることのアピールにもつながるはずです。自社の透明性と信頼性を高める施策として、これらの仕組みも活用するとよいでしょう。

 

<参考>:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|令和7(2025)年4月1日から段階的に施行(厚生労働省)

<改正>介護に関する新たな支援制度

続いて、改正された育児介護休業法における介護関連の変更点を2つ見ていきましょう。

 

(1)介護休暇における取得要件の緩和

 

従来の制度には、「①週の所定労働時間が2日以下」もしくは「②継続雇用期間が6か月未満の労働者」を介護休暇の取得対象から除外できるルールがありました。それが今回の見直しにより、②の要件が撤廃になっています。

 

労使協定を締結している場合は、就業規則などの見直しも必要になるでしょう。

 

(2)介護離職防止のための措置

 

これから国民の高齢化がさらに進む日本では、家族の介護と仕事の両立を求められる労働者が増加していくことが予想されます。こうした人たちが、介護離職を選択せずに働き続けるためには、介護休業や介護両立支援制度などの申し出や取得がしやすい環境整備も必要です。

 

今回の改正では、これらの申し出を円滑化する目的から、事業主に対して以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられるようになりました。

 

(1)介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施

(2)介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)

(3)自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供

(4)自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知

 

厚生労働省の資料では、(1)~(4)のうち複数の措置が講じられている状態が望ましいとしています。

 

なお、介護と仕事の両立支援に関する制度には、以下の5種類があります。

 

 

  1. 介護休暇に関する制度
  2. 所定外労働の制限に関する制度
  3. 時間外労働の制限に関する制度
  4. 深夜業の制限に関する制度
  5. 介護のための所定労働時間の短縮等の措置

 

 

<参考>:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|令和7(2025)年4月1日から段階的に施行(厚生労働省)

育児介護休業法改正による企業へのポジティブな効果と影響

育児介護休業法の改正は、労働者だけでなく企業側にも多くのメリットをもたらすものです。ここでは、2025年4月施行の改正内容に対応することで期待できる効果を2つ挙げて解説しましょう。

 

メリット(1)従業員の離職防止

 

改正された育児介護休業法の施策に取り組む最大の利点は、家庭と仕事の両立がしやすい環境がさらに充実することで、子育てや介護を理由とする離職にブレーキをかけやすくなる点です。

 

たとえば、3歳未満の子どもを育てるパパやママに対しては、テレワークという選択肢を設けることが企業側の努力義務になりました。こうした労働者がテレワークを行うと、子どもが風邪などで保育園に行けない日でも、自宅で看病をしながら無理のない範囲で業務に参加してもらうことが可能になるかもしれません。

 

また、育児介護休業法の改正によって、子育てや介護をする労働者の負担が減り、新たな仕組みのなかで罪悪感なく仕事に従事できるようになります。そうなると、家庭の事情から「ここで働き続けるか、ほかの会社に転職するか……」と悩む人も少なくなっていくでしょう。

 

なお、近年のビジネス環境には、少子高齢化社会などのさまざまな要因から企業に採用難や人材難が起こりやすくなっています。このように新たな人材確保が難しい時代において会社を成長させていくためには、既存の従業員が定着しライフスタイルが変化しても働き続けられる環境を整備する必要があるでしょう。

 

メリット(2)企業イメージの向上

 

男性育休の取得推進を中心とする施策をきちんと実施し、取得率の向上などの明確な成果を出し続けている場合、その実績をアピールすることで自社のイメージアップにつなげられます。

 

特に近年のビジネス環境は、利潤追求が中心の企業活動ではステークホルダーからの信頼獲得が難しい時代になっています。こうしたなかで多くの応援団を獲得し、自社の成長につなげていくためには、CSR(企業の社会的責任)やSDGsの一環として働きやすい環境を作る取り組みが必要となってくるでしょう。

 

労働環境の整備に関するCSRについては、厚生労働省の以下ページで事例集などが公開されています。興味がある方はぜひチェックしてください。

 

<参考>:CSR(企業の社会的責任)(厚生労働省)

 

また、男性育休取得率などのいわゆる「休みやすさ」は、ワーク・ライフ・バランスを重視する求職者からも注目されています。定量的な数値データの公開ももちろん重要なことですが、加えて「働くパパママを応援する仕組み・姿勢」や「育児中テレワークを利用する社員の働き方」といった定性的な内容を公開することで、採用戦略につなげやすくなるでしょう。

企業が取るべき対応策とは

改正された育児介護休業法は、2025年4月1日より段階的な施行が始まっている状態です。この法律を遵守するために企業に求められる対策としては、大きく以下の2つがあります。具体的なポイントについて解説しましょう。

 

対策(1)就業規則の見直し

 

今回の制度改正に関する最も大きな対策は、就業規則の見直しです。改正点は9つがあり、そのなかで自社の状況に応じた就業規則の変更などをしていく必要があります。

 

  改正ポイント 就業規則の見直し 義務/努力義務
(1) 子の看護休暇の見直し 必要 義務
(2) 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大 必要 義務
(3) 短時間勤務制度(3歳未満)の代替措置にテレワーク追加 選択時は必要

(4) 育児のためのテレワーク導入 必要 努力義務
(5) 育児休業取得状況の公表義務適用拡大

義務
(6) 介護休暇を取得できる労働者の要件緩和

労使協定を締結している場合は必要

(7) 介護離職防止のための雇用環境整備

(場合によっては)

義務
(8) 介護離職防止のための個別の周知・意向確認等

(場合によっては必要)

義務
(9) 介護のためのテレワーク導入

必要

努力義務

 

上記のうち、テレワーク関連の(4)と(9)は現状、努力義務となっています。しかし、企業にはこれからも従業員が育児・介護と仕事の両立がしやすい仕組みづくりが求められるうえに、政府でもテレワークを重視している現状を考えると、将来的な義務化に備えた制度設計にしてもよいかもしれません。

 

対策(2)社内体制の整備

 

企業側が講じるべき対策は、育児介護休業法で定められた制度の利用により従業員の家庭と仕事の両立が可能となり、育休取得率の向上や介護離職者数の減少といった成果がでてこそ成功したと言えるものです。

 

今回の育児介護休業法の改正をきっかけに、社内の人的資本経営にこうした好循環を生じさせるためには、以下のポイントを意識した社内体制の整備を迅速に進める必要があります。

 

・経営陣主導で意識改革をする

仕事と家庭の両立がしやすい環境をつくるうえで重要となるのは、経営陣および従業員の意識を変えることです。

 

そのような意識改革が必要となる理由は、組織内に昔から続いてきた以下のような価値観や風土があると、人事部門でいくら良い制度を整備しても、休業の取得率が伸び悩んでしまうからです。

 

 

  • 家庭を顧みず会社のために力を尽くす=勤勉
  • 家庭の用事でよく休む=仕事をする気がない
  • 休む度に罪悪感をおぼえる

 

 

意識改革をする際のポイントは、経営陣から“トップメッセージ”を出してもらうことです。

 

たとえば、朝礼や社内イベントなどで社長が自ら「男性育休が取りやすい組織になろう」とか「私も今年は育休を取得します」といった発信を行うと、それが現場の管理職に対する「部下の育休取得を推進すべき」や「男性育休は積極的に取得すべき」などの間接的な指示につながります。

 

また、人事部門の主導で仕組みづくりをする場合でも、「社長が先日おっしゃっていたとおり…」という話ができる状態であれば、現場への協力依頼や相談もしやすくなるでしょう。

 

・仕事と家庭を両立するメリットを伝える

育児や介護に伴う休みの取得促進に向けて、経営陣や現場リーダーの説得が必要な場合は、従業員が享受できるメリットを伝えるのもよいでしょう。具体的なメリットは、以下のように「伝える相手が気にかけている問題」に寄り添うものにすることが重要です。

 

 

【社長に伝えるメリット】
男性育休の取得率が上がると、ステークホルダーからの印象もよくなります

 

【現場の管理職に伝えるメリット】
環境整備で離職者が減ると、チームの目標達成や人材育成も進めやすくなります。

 

 

伝えるメリットは、「それなら自分も協力したい!」と思えるレベルまで具体化されていることも重要でしょう。

 

・従業員が休みやすい仕組みを導入・整備する

導入した制度を誰もが利用できる状態にするためには、業務体制やシステムの見直しも必要です。

 

たとえば、現状では給与計算の業務を行える担当者が1人しかいない場合、急な休みに対応するために、新たな人材を採用して複数人体制にしてもよいでしょう。また、新しい人材を採用して一人前になるまで育成するリソースがない場合は、給与計算業務を切り出してアウトソーシング化してもよいかもしれません。

 

いずれにせよ、すべての従業員が必要に応じて休める環境をつくるうえでは、業務の属人化を解消することが重要です。そのためには、属人化している業務の洗い出しから始める必要があるでしょう。

 

・管理職と一般従業員のそれぞれに説明会を行う

経営陣からのトップメッセージを出してもらい、社内制度や環境が整備できたら、次は従業員への周知と理解促進に入っていきます。具体的には、管理職と一般従業員の両方に教育を兼ねた説明会を実施するとよいでしょう。

 

ここでのポイントは、休業休暇の取得を許可・推進する管理職と、それを申請する一般従業員で、別内容の説明会をそれぞれに対して行う点です。

 

管理職向けの説明会では、従業員が仕事と家庭を両立することで得られるメリットや、こうした仕組みが必要となる社会背景などを紹介します。そのうえで、部下からの申し出や相談に関するケーススタディなどを実施するとよいでしょう。また、上司が部下の休みを許可しないことで起こるリスクも伝えておくべきです。

 

これに対して一般従業員向けの説明会では、労働者の権利として取得できる制度の概要と

申請の流れを紹介します。従業員の不安を解消するためには、現場とは別に開設した相談窓口を紹介してもよいかもしれません。

 

・定期的な見直しや振り返りを行う

制度改正にともない自社の体制整備を行った場合、その取り組みによる成果が得られているかどうかの評価や振り返りを行い、必要に応じて仕組みの見直しや再教育などを実施することが重要です。

 

このときにポイントとなるのは、育休取得率などの数字だけでなく、現場の管理職や一般社員などの声に耳を傾ける点です。

 

たとえば、男性育休の取得率が大幅にアップしても、そのしわ寄せでほかのメンバーに大きな負担がかかっては本末転倒です。育休取得率などはもちろん早く上げるべき数字ですが、現場に負担がかかりすぎないバランスをとることも大切でしょう。

 

そのためには、現場の声にも耳を傾けながら優先順位をつけて課題の解決や新たな仕組みの導入などを進める必要があります。

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本記事では、2025年に改正された育児介護休業法の概要を確認したうえで、4月施行分の改正ポイントについて解説してきました。制度改正が企業にもたらす影響と人事担当者が行うべき対応策も紹介しましたが、人事担当者にとって大きな負担になると感じた方も多いと思います。

 

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