【2026年】iDeCoの制度改正ポイント|背景や注意点も解説

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iDeCoと書かれた書類と電卓

本記事では、iDeCoにおける基礎知識を確認したうえで、2026年に実施されるiDeCoや企業型DCに関連する制度改正について詳しく解説します。また、制度改正に伴い注意すべきポイントやよくある質問を紹介していきます。iDeCoの制度改正ポイントを知っておきたい方は、ぜひ参考にしてください。

 

2026年に施行されるiDeCo制度の改正は、企業型DCを実施する会社にも関係するトピックです。

 

現在、企業型DCのマッチング拠出を利用している従業員はiDeCoと併用できませんが、2026年にはマッチング拠出の制限撤廃や拠出限度額の引上げなど、企業型DC加入者にも関係する制度改正が行われます。そのため、自社の福利厚生に力を入れる人事担当者は、iDeCo制度の改正内容を理解しておくことが特に重要になるでしょう。

 

そこで本記事では、iDeCoにおける基礎知識を確認したうえで、2026年に実施されるiDeCoや企業型DCに関連する制度改正について詳しく解説します。記事の後半では、制度改正に伴い注意すべきポイントやよくある質問を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

【2026年】iDeCo制度改正における
主なポイント

 

2026年には、iDeCoや企業型DCに関連する主な制度・税制改正が行われます。1月と4月にはすでに改正が実施されており、12月にも以下のとおり新たな改正が予定されています。そのなかには、企業型DCやマッチング拠出に関する内容もあります。

 

改正時期 改正ポイント
2026年1月~ 退職所得控除のルールが5年から10年になる
2026年4月~ 企業型DCのマッチング拠出で「加入者掛金が事業主掛金を超えてはならない」という制限が撤廃される
2026年12月~ iDeCo・企業型DCの拠出限度額が引上げになる
iDeCoの加入年齢上限が引上げになる

 

改正内容への問い合わせに対応するうえでも、人事労務担当者は改正のポイントや従業員への影響を理解しておく必要があるでしょう。まずは、2026年の改正内容について1つずつ解説していきます。

 

改正(1)退職所得控除のルールが5年から10年に

 

2026年1月1日に施行された法律により、退職所得控除のいわゆる「5年ルール」が「10年ルール」に延長となりました。

 

従来は、iDeCoの一時金を先に受け取った場合、その後一定期間を空けて退職金を受け取ることで、退職所得控除の重複期間に関する調整を受けずに済むケースがありました。2026年1月以降、この調整対象となる期間が「前年以前4年内」から「前年以前9年内」に拡大されています。

 

仮に60歳でiDeCoの一時金を受給した場合、控除期間の重複調整を避けるためには、従来よりも長い期間を空ける必要があるでしょう。

 

改正(2)企業型DCのマッチング拠出における
拠出制限が撤廃される

 

マッチング拠出とは、企業型DCに加入する会社の従業員が、企業が拠出する掛金に上乗せして、自身でも給与から掛金を拠出できる制度です。マッチング拠出には、以下の3つのメリットがあります。

 

 

  • 掛金が全額、所得控除の対象となる
  • 運用・受取の両方に税制優遇がある
  • 老後資産を効率よく増やせる

 

 

ただし、マッチング拠出はiDeCoとの併用ができません。したがって、従業員はどちらか一方を選択する必要があります。

 

また、従来の制度では、マッチング拠出の額が事業主掛金の額を超えてはならないという制限がありました。

 

たとえば、事業主掛金が月額1万円の場合、加入者が上乗せできる金額も1万円が上限となり、拠出限度額の枠を十分に活用できないケースが生じていました。そこで2026年4月1日の改正により、この「事業主掛金の額を超えてはならない」という制限が撤廃されました。

 

この改正により、事業主掛金と加入者掛金の合計が2026年4月時点の拠出限度額(月額55,000円(※)、DB等の他制度がある場合は他制度掛金相当額を差し引いた額)の範囲内であれば、加入者は事業主掛金を上回る金額を拠出できるようになりました。

(※2026年12月分(2027年1月引落し分)より、月額62,000円に引上げ予定)

 

そのため、事業主掛金が少ない企業に勤める従業員であっても税制優遇を活用したより柔軟な資産形成が可能となるでしょう。

 

改正(3)iDeCo・企業型DCの拠出限度額が
引上げになる

 

2026年12月から、第2号加入者については、勤務先の企業年金の有無によって異なっていたiDeCoの拠出限度額が見直され、企業年金等と合わせて月額62,000円の共通枠に一本化されます。

 

現行制度では、企業型DCとiDeCoのほかにDB等のその他の企業年金に加入している場合、その「他制度掛金相当額」も月額55,000円の枠内に含める必要がありました。それが月額62,000円に変わることで、より多くの掛金を拠出できるようになります。

 

なお、iDeCoの掛金や企業型DCのマッチング拠出による加入者掛金は、全額が所得控除の対象となります。制度改正後に掛金を増やすことで、所得控除額が大きくなる可能性があります。

 

改正(4)iDeCoの加入年齢上限が引上げになる

 

iDeCoの現行制度において、自営業や専業主婦(夫)の方は「原則60歳」、第2号被保険者である会社員・公務員の方は「原則65歳」までしか利用できません。それが2026年12月以降は加入対象が拡大され、一定の要件を満たす60歳以上70歳未満の方もiDeCoへの加入・継続拠出が可能になります。

 

厳密には、60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の方で、老齢基礎年金およびiDeCoの老齢給付金を受給しておらず、マッチング拠出を実施していない方が、以下のいずれかの要件を満たせば、iDeCoへの加入・継続拠出が可能となります。

 

 

  • iDeCo加入者
  • iDeCo運用指図者
  • 企業年金からiDeCoに資産を移換する方

 

 

なお、施行日から3年間は経過措置が設けられており、上記のいずれにも該当しない60歳以上70歳未満の方でも、一定の要件を満たせばiDeCoに加入できます。

 

また、上記の要件を満たす60歳以上70歳未満の方は、改正後「第5号加入者」と位置づけられます。

 

2026年にiDeCo制度の改正が行われる背景と目的

 

2026年に行われるiDeCo関連の改正には、税制改正と私的年金制度の改正があります。1月の退職所得控除に関する見直しは令和7年度税制改正により実施されたものです。

 

一方、4月と12月の企業型DC・iDeCoに関する改正は、年金制度改正法(正式名称:社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律)などに基づき実施されるものです。

 

その背景には、以下のような社会経済の変化や課題に伴い、年金制度の機能強化が求められていることがあります。

 

 

  • 働き方の多様化
  • 家族構成の変化
  • 人生100年時代に向けた人生設計やライフスタイルの変化
  • 高齢化社会において、高齢期の生活を安定させる必要性
  • 年金受給における男女差の課題

 

 

国では、こうした社会経済の変化に対応するため、iDeCoの普及を推進しているわけです。

 

その一方で、iDeCoにおける従来の仕組みには、他の制度と比べて使いにくい印象や認知度の低さといった問題がありました。こうした諸問題を解消し、iDeCoへの加入を促進する目的で行われた施策の一つが、今回の制度改正になります。

 

たとえば、労働力人口に占める65歳以上の比率は、上昇傾向にあります。内閣府の調査によると、現在収入のある仕事をしている60歳以上のうち、「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答した人が、約4割にも及びます。

 

<参考>:令和6年版 高齢社会白書(全体版)(内閣府)

 

このように高齢期にも高い就業意欲を持つ人が増えるなかで、私的年金制度の見直しの一環として「iDeCoの加入可能年齢の引上げ」が行われることになりました。国では加入要件を拡充した目的として、「働き方に関係なく、誰もが長期的に老後資産を形成でき、なおかつ加入者にとってシンプルでわかりやすい制度にすること」を挙げています。

 

また、改正前の仕組みでは、拠出限度額の制限により、加入者が拠出限度額の枠を十分に活用できないケースがありました。マッチング拠出についても、「事業主掛金の額を超えてはならない」という制限から、加入者の選択肢が限られていた形です。

 

2026年の改正では、私的年金制度における当該制限を緩和・撤廃することで、加入者が各自の状況に応じて適切な制度を選択し、拠出限度額の枠を十分に活用しやすい仕組みに変わる予定となっています。

 

なお、2026年は、企業型DCやiDeCo以外にも、年金制度にさまざまな改正が入っています。特に「被用者保険の適用拡大」や「厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げ」は、人事労務担当者に関係するトピックです。年金制度全体の改正内容を詳しく知りたい方は、厚生労働省が公開している以下の資料を確認しておいてください。

 

<参考>:社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律の概要<PDF>(厚生労働省)

 

退職金として利用されることが多い確定拠出年金制度の種類や、厚生年金保険などについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

 

【関連記事】退職金制度を理解しよう!就業規則での計算方法やトラブル対処法

【関連記事】確定給付企業年金と退職金の違いとは?メリット・デメリットも徹底比較

【関連記事】社会保険料の計算方法は?|給与計算と賞与計算の違いや注意点を解説

 

電卓とハテナマークが描かれたブロック

2026年の制度改正とiDeCoに関するよくある質問

 

iDeCoは、会社が実施する企業型DCとも関係がある制度です。2026年の改正が行われると、iDeCoに関心を持つ従業員から人事担当者に問い合わせがくる可能性があります。この章では、iDeCoや企業型DCに関するよくある質問と回答を紹介します。

 

Q. 企業型DCとiDeCoには、そもそもどんな違いがあるのでしょうか。

 

企業型DCとiDeCoは、仕組みだけでなく制度の目的から異なるものです。主な違いを整理すると、以下のとおりになります。

 

  iDeCo
(個人型確定拠出年金)
企業型DC
(企業型確定拠出年金)
制度の目的 自助努力 企業の福利厚生
手数料 加入者個人が負担 会社が負担
運用商品の選定 自分で運営管理機関を選び、その機関が提示する運用商品の中から加入者自身が選択 会社・運営管理機関等が用意した運用商品の中から加入者自身が選択
制度利用開始の
手続き
個人が金融機関等(運営管理機関)を選択し、加入申込の手続きを行う 会社の委託を受けた運営管理機関を通じて手続きを行う
掛金の納付方法 原則は加入者個人が払込を行うが、会社員(第2号加入者)の場合、「個人払込」と「事業主払込」から選択可能 会社が口座振替や口座振込から納付する
老齢給付の
給付方法
年金、一時金、または年金と一時金の組み合わせ 原則として年金(規約に定めがある場合は一時金も選択可能)
加入対象者 国民年金の加入者で、以下の各被保険者要件に該当すれば加入できる
└国民年金第1号被保険者
└国民年金第2号被保険者
└国民年金第3号被保険者
└国民年金任意加入
   被保険者※
厚生年金被保険者(公務員は含まない)
原則は70歳未満の会社員(役員を含む)および私学教職員
(※加入可能年齢の上限は、加入する事業所の取扱で異なる)
掛金に関する
税制優遇
全額所得控除できる 【事業主掛金】全額非課税、 退職給付費用として全額損金算入可能
【加入者掛金】全額所得控除できる

 

※2026年12月からは、一定の要件を満たす60歳以上70歳未満の「第5号加入者」が追加されます。

 

Q. 2026年の制度改正後、マッチング拠出とiDeCoはどちらがおすすめになるのでしょうか?

 

マッチング拠出とiDeCoは、個人と導入企業の状況を見ながら自分に合うものを選択すべきです。一般的に、それぞれ次のような人におすすめとされています。

 

 

【マッチング拠出がおすすめの人】

  • 手間をかけずに効率よく積み立てたい
  • 会社の拠出が少なく、2026年の改正後は自分でも上限まで拠出したい
  • 会社の商品ラインナップで問題がない

 

 

 

【iDeCoがおすすめの人】

  • 会社(企業型DC)の商品ラインナップでは不十分である
  • 運用商品を自分で自由に選びたい

 

 

なお、マッチング拠出とiDeCoには、以下のとおり2つに共通するメリットもあります。

 

 

① 掛金が全額、所得控除の対象となり、住民税・所得税が安くなる
② 運用益が非課税になる

 

 

Q. 自社で企業型DCを実施しています。従業員個人がiDeCoを始めるうえでの注意点はありますか?

 

現在は、企業型DCの規約にiDeCo加入を認める定めがなくても、一定の要件を満たせばiDeCoに加入できます。
ただし、企業型DCでマッチング拠出を利用している場合はiDeCoと併用することはできませんので注意が必要です。

 

Q. 従業員個人がiDeCoに加入する場合、会社側のメリットとデメリットを教えてください。

 

たとえば、企業型DCを実施する会社が、iDeCoを含めた従業員の資産形成について積極的に情報提供や支援を行うことは、「会社も従業員の将来を考えている」という福利厚生面でのアピールにつながります。こうした資産形成支援への積極的な姿勢は、人材の確保や定着促進にもつながるでしょう。

 

ただし、従業員がiDeCoに加入した場合、掛金の納付方法などに応じて事業主側に以下のような事務対応が発生することがありますので、その点は考慮しておく必要があります。

 

手続き名 概要
①事業主払込を初めて
 行う場合の事業所登録
事業主払込に必要な登録事業所番号がない場合、国民年金基金連合会への事業所登録が必要です。
②事業主払込に関する
 確認・証明
従業員が事業主払込を希望する場合、「事業主払込(登録・納付方法変更等)に関する証明書」に必要事項を記載し、確認・証明を行います。
③事業主払込の場合の
 源泉徴収対応
事業主払込の場合、給与からiDeCo掛金を控除したうえで、給与等の源泉徴収税額を計算します。
④給与からの掛金控除・
 国民年金基金連合会への納付
加入者が給与天引きによる事業主払込を希望した場合、毎月の給与から掛金を控除します。この場合、国民年金基金連合会への納付を行うのも事業主です。
⑤個人払込の場合の
 年末調整対応
個人払込を選択した加入者が年末調整で掛金控除を受ける場合、本人から小規模企業共済等掛金払込証明書を提出してもらい、控除を反映します。

 

なお厚生労働省では、従業員がiDeCoへの加入を希望した場合に、速やかな加入につながる協力を事業主に求めています。仮に事務手続きを行うリソースが社内に少ない場合、従業員のiDeCo加入が人事部門の大きな負担になってしまう可能性はあるでしょう。

 

Q. iDeCoの事業主払込とは何ですか?

 

iDeCoにおける掛金の納付方法には、「個人払込」と「事業主払込」の2種類があります。
個人払込の場合、本人名義の口座から口座振替で掛金の納付を行います。第1号・第3号・第4号加入者は、個人払込により掛金を納付します。

 

一方で第2号被保険者の場合、事業主払込と個人払込から選択可能です。第2号被保険者とは、会社員や公務員等の厚生年金の被保険者で要件に該当した方になります。第2号被保険者が事業主払込を選択した場合、勤務する事業所を経由して国民年金基金連合会に掛金を納付します。

 

具体的には、事業主が加入者の給与からiDeCo掛金を天引きし、事業主名義の口座から口座振替により国民年金基金連合会へ納付する流れです。

 

なお、iDeCo加入者である従業員が以下のいずれかを希望する場合、企業側では、従業員ごとに「事業主払込(登録・納付方法変更等)に関する証明書」への必要事項の記載と確認、証明を行わなければなりません。

 

 

1. iDeCoに新規加入すると同時に、
  「事業主払込」を希望し納付する場合
2. 個人払込により掛金を納付しているが、
  「事業主払込」に変更し納付する場合
3. 「事業主払込」により掛金を納付しているが、
  勤務先の変更(転職)に伴い、
  掛金を納付する事業主を変更し納付する場合
4. 「事業主払込」により掛金を納付しているが、
  個人払込に変更(勤務先の変更なし)し納付する場合

 

<引用>:事業主の方へ(iDeCo公式サイト)

 

 

事業主払込の事務手続きについては、国民年金基金連合会のiDeCo公式サイトで詳しく解説されています。ぜひ参考にしてください。

 

<参考>:加入手続きについて(iDeCo公式サイト)

 

Q. iDeCoに加入した従業員が個人払込を行えば、会社側の事務手続きは不要なのでしょうか?

 

従業員が個人払込を選択すれば、掛金の源泉徴収にかかる事務手続きが不要となります。ただし、iDeCoは年末調整における小規模企業共済等掛金控除の対象です。

 

iDeCo加入者である従業員がこの控除を受ける場合、以下の2つの書類を提出してもらう必要があるでしょう。

 

 

  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 掛金払込証明書(国民年金基金連合会から届くもの)

 

 

<参考>:No.1135 小規模企業共済等掛金控除(国税庁)

 

なお、年末調整の手続きについては以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。

 

【関連記事】年末調整業務の進め方ガイド|担当者がやるべき手続きの流れや必要書類の種類などを解説

 

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本記事では、iDeCoにおける基礎知識を確認したうえで、2026年に実施されるiDeCoや企業型DCに関連する制度改正について詳しく解説してきました。iDeCoの制度改正については複雑な部分もあるため、人事部のなかでも運用するのに負担を感じている方も多いのではないでしょうか。

 

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