給与計算アウトソーシングとは? 業務範囲や選び方、成功事例を徹底解説
本記事では、給与計算アウトソーシングの基本を確認したうえで、選定時のポイントとなる料金体系・相場、企業規模別の選び方を紹介していきます。さらに、注目度が高まっているクラウド型の給与計算アウトソーシングについても解説していきます。
近年のビジネス環境では、企業活動における人的リソースの有効活用が重視されており、人事給与部門の役割にも大きな変化が生じています。こうしたなかで人事給与部門が経営陣から求められる“コア業務”に力を入れるうえでは、代表的な月次業務である給与計算を外部にアウトソーシングするのも有効です。
ただし、給与計算アウトソーシングには非常に多くの種類があり、そのなかから自社に合うものを選ぶのは骨が折れる作業になることも多いでしょう。
そこで本記事では、給与計算アウトソーシングの概要やメリット・デメリット、近年多くの企業が導入を検討する背景などを解説します。後半では、給与計算アウトソーシング選びの実践編として、料金体系や企業規模別の種類、導入プロセス、選び方なども紹介していきます。
給与計算アウトソーシングの導入を検討している人は、ぜひこの記事で効果的な選定につながる基礎知識を身につけてみてください。
給与計算アウトソーシングの基礎知識
自社に合う適切な給与計算アウトソーシングを選ぶためには、そもそもこの手法がどういう仕組みであるかを理解することが大切です。
また、自社でも行える給与計算を「わざわざアウトソーシングすべきかどうか?」で悩んでいる場合は、近年のビジネス環境で多くの企業がこの仕組みを利用する理由や重要性も理解したほうがよいでしょう。
ここではまず、給与計算アウトソーシングの概要と導入の必要性について解説します。
給与計算アウトソーシングとはなにか
給与計算アウトソーシングとは、企業が毎月行う従業員の給与計算や関連業務を切り出して、外部の事業者に委託する仕組みの総称です。一般的には、以下のように呼ばれることもあります。
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給与計算アウトソーシングの対応範囲
給与計算アウトソーシングで外部委託できる業務は、各事業者の対応範囲やサービス内容の影響を受けます。
また、給与計算アウトソーシングのなかには、人事部門の業務を総合的に代行するサービスの一機能になっているものもあります。主な業務範囲としては、以下の3種類になるでしょう。
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(1)給与計算のみの代行
(2)給与関連業務の代行
(3)人事労務の定型業務の包括的な代行
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一部のサービスでは、基本機能となる給与計算以外はオプション機能と位置づけていたり、企業の導入目的や予算規模に合わせたカスタマイズ対応ができたりする事業者もあります。
なぜ企業は給与計算をアウトソーシングするのか?
近年のビジネス環境では、給与計算をアウトソーシングする企業が多くなっています。その背景にあるのは、外的環境に著しい変化が生じるなかで人事給与部門に求められる主要な役割が大きく変わっている点です。
まず、かつての人事部門の役割は、給与計算や年末調整、新卒採用・中途採用、各種研修の実施といったある程度定型化されたオペレーション業務を繰り返し回すことが中心でした。
たとえば、新卒は“一括採用”が主流でしたから、ある程度決まった時期に求人を出したり会社説明会を行ったりして、内定者が決まるとその年の採用活動は終わり、といった状況が当たり前だったはずです。
一方で近年の新卒採用市場では、大学2年や3年生を対象とするインターンシップを選考に活用する企業が増えたり、春の採用活動で良い人材を獲得できなかったりする場合に、採用活動を延長して秋採用を行う会社もでてきています。また、入社前に内定辞退をする新卒学生も増えているため、内定者フォローの重要性が高まっている状況です。
こうした背景によって、人事部門に求められる役割は、かつての新卒一括採用のような「定型化されたオペレーションをまわすこと」から、自社が求める人材を獲得し定着や活躍を促す「効果的な戦略の立案と実行」に変わりつつあります。
また、先述の新卒採用がそうであるように、近年における人事部門の業務には、複雑化や長期化が生じやすくなっていることも否めません。
たとえば、大学3年生のインターンシップの際に関わった学生に対して大学4年生の春に面接を行って内定を出し、そこから入社までのフォローを続けて、入社後はオンボーディング施策を実施するとなれば、1人の新人と関わる時間もかなり長期化してくるはずです。
また、その間に新たな中途人材を獲得すれば、その人材に合ったオンボーディングも求められるため、人事部門の仕事はさらに複雑性を増してくるでしょう。
このことは、近年の人事部門に非定型的な業務や負担が増え、またその多くが重要な仕事である状況を意味します。そういったなかで、自社に合う優秀な人材の獲得や早期の戦力化、定着といった成果を出していくためには、給与計算などの定型業務を切り出して外部委託を行い、戦略設計や各人材への丁寧なフォローに注力する必要があるでしょう。
なお、オンボーディングに関しては下記の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
【関連記事】オンボーディングとは?実施のメリットと注意点、導入ステップや成功事例もご紹介
給与計算アウトソーシングのメリット
給与計算アウトソーシングの具体的なメリットは、利用する代行サービスの業務範囲の影響を受けるものです。ここでは、給与計算を中心とする一般的なアウトソーシングを利用した場合に期待できる2つのメリットを紹介しましょう。
メリット(1)
業務効率化による「人」に関するコスト削減
給与計算アウトソーシングを活用すると、給与計算を中心とする定型業務を外部に切り出して委託することで、人事部門の業務を大幅に効率化できます。業務効率化による効果として特に大きいのは、給与計算に携わっていた担当者の負担および人件費を削減できる点です。
給与計算および関連業務を外部に委託した場合、極論をいえば、計算実務を行う担当者は不要になります。つまり、計算実務に関連する人材の採用・実作業・教育にかかるコストが減ることでもあるのです。
メリット(2)専門知識の活用と法令遵守
代行業者には、給与計算および関連業務の法律知識と豊富な経験があります。こうした事業者に外部委託すると、法律に則った方法で正しく計算や各種手続きが進められます。
そうすることで、人事担当者の知識不足による勘違いや計算ミス、納期限に間に合わないなどの問題が解消することにもなるでしょう。
給与計算アウトソーシングのデメリット
給与計算アウトソーシングにも、デメリットやリスクがあります。ここでは2つを挙げて見ていきましょう。
デメリット(1)自社ノウハウの蓄積が難しくなる
給与計算の関連業務をすべてアウトソーシングした場合、社内で最新の法律知識を学習したり、給与計算や年末調整を効率的に行うためのノウハウを蓄積したりする必要がなくなります。
また、外部委託を機に給与スタッフが離職した場合、新たな採用や引き継ぎをする必要もなくなります。しかし、そのまま外部委託を続けると、場合によっては「給与の計算実務がわかる人が社内に誰もいない」という状況になってしまう可能性もあるでしょう。
デメリット(2)情報漏洩などのリスクが高まる
給与計算アウトソーシングを利用した場合、自社の従業員および家族の個人情報や税金・社会保険に関する情報などへのアクセスを委託業者に許すことになります。しかし、そこで事業者側のセキュリティ対策が万全ではなかった場合、大事な情報の漏洩トラブルなどが起こってしまうかもしれません。
アウトソーシングのなかで外部業者にデータを渡す・見せるといったことをする場合、事業者側のセキュリティ対策も非常に重要になってきます。
給与計算アウトソーシングの導入プロセス
給与計算アウトソーシングの運用は、初回相談~環境設定までに多くのステップを経て行えるようになるものです。ここでは、一般的な代行サービスを利用する場合の流れを紹介しましょう。
ステップ(1)
自社の導入目的・要件・予算を明確にする
給与計算アウトソーシングには、「給与計算だけのもの」から「人事労務領域をすべてカバーするもの」まで、さまざまな種類があります。
こうしたなかで自社に合うサービスを選び、課題を解決するためには、業者への問い合わせを行う前に自社のニーズや導入環境、予算などの要件をひととおり整理することが重要です。
特に自社の導入目的は、費用対効果の高いサービスを選ぶうえで必ず明確化しておくべきポイントになります。具体的には、以下のような目的をなるべく具体的に言語化する必要があるでしょう。
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ステップ(2)
給与計算アウトソーシングを選定し初回相談する
導入目的と予算などが決まったら、事業者の選定に入ります。具体的な選び方のポイントは、後ほど詳しく紹介します。
事業者選びの基本的な流れは、自社の規模や目的に合うサービスをいくつかピックアップしたうえで各業者に問い合わせを行い、相見積もりをとるイメージです。
受け取った見積もりに疑問点がある場合は、積極的に質問をしましょう。
営業担当者とやり取りするなかで、自社との相性が見えてきたりもします。
ステップ(3)契約し担当者と打ち合わせをする
事業者との契約を済ませたら、業務フロー・役割分担などの運用ルールを決めていきます。アウトソーシング利用の費用対効果を高めるためには、打ち合わせまでに自社の現状や就労環境の特徴、懸念事項などを整理したうえで、現状を率直に伝えていくことが大切です。
委託をする企業側が自社の業務内容を理解し、それを適切に共有するからこそ、最適なアウトソーシングの運用方法が見えてくることになります。
ステップ(4)
計算に必要なデータ・資料を提出する
運用フローが決まったら、環境整備に入っていきます。ここからの流れは、導入するサービスや既存環境の影響を受けます。
たとえば、自社が現在使っている勤怠管理や給与計算の既存システムを活用する場合には、事業者の担当者にシステムにログインしてもらい、データ内容などを見ていく流れになるでしょう。これに対して事業者側のシステムで運用していく場合、自社のシステムからデータ移行するための準備が必要になります。
なお、給与計算のアウトソーシングでは、自社のルールに合わせて賃金などを算出してもらうことになります。そのためには、事業者側に就業規則や賃金規定などの資料も提出しなければなりません。一般的には、以下のような資料およびデータの提出を求められることが多いでしょう。
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ステップ(5)初期設定を行う
本稼働前に、システムへのデータ移行やマッチングテスト、カスタマイズ修正などを行います。事業者側のシステムに従業員情報の入力などが必要となる場合、その作業を依頼主と事業者のどちらで行うかによって金額が変わってくるでしょう。
本稼働までの導入スケジュールや導入準備の打ち合わせをする際には、全体の作業および工数なども確認しておくべきです。
ステップ(6)本稼働
ここまでの準備を経て、事業者側で給与計算できる環境が整います。
給与計算アウトソーシングを選ぶポイント
ここまで何度もお伝えしてきましたが、給与計算アウトソーシングの選定で大切なことは「自社に合ったものを見つける」点です。ここでは、自社にとって費用対効果が高い給与計算アウトソーシングを選定するためのポイントを見ていきましょう。
ポイント(1)業務の対応範囲
最初に確認すべきことは、自社が求める委託範囲とマッチしているかどうかです。たとえば、「今回は給与賞与の計算と年末調整、社会保険料の計算や住民税の更新までを委託したい」という場合、当然ながら、それらの業務がサービス内容に入っているかを見ていきます。
ポイント(2)信頼性と実績
各社の公式サイトや口コミサイトなどを見て、これまでの実績と信頼性を確認します。
給与計算アウトソーシングの場合、自社の就業規則に合った運用が求められます。そこで自社と同規模・同業種の実績があると、契約前や導入に向けたコミュニケーションも図りやすいでしょう。
ポイント(3)情報セキュリティ対策
給与計算アウトソーシングでは、事業者が自社の従業員や家族の個人情報にも触れることになります。そこで大事なデータの流出などを防ぐためには、各社の情報セキュリティ対策をチェックすることも重要です。
ただし、各社の情報セキュリティは多様です。基本的に見ておくべきポイントは、機密性・完全性・可用性の対策があるかどうかでしょう。また、ISMSやPマーク(プライバシーマーク)といった認証の有無を目安にするのもポイントといえます。
<参考>:ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)とは|情報マネジメントシステム認定センター
<参考>:プライバシーマーク制度|一般財団法人日本情報経済社会推進協会
ポイント(4)費用対効果と運用コスト
給与計算アウトソーシングは、「予算の範囲内で自社の課題を解決し、導入目的をクリアできたとき」に導入成功であると考えられます。そこでポイントになるのは、「自社が求める効果は、どのぐらいの費用投下で得られたか?」という費用対効果の考え方です。
たとえば、毎月の給与計算業務「だけ」を委託したい企業であれば、低料金の契約で十分な費用対効果が得られるかもしれません。一方で、人事労務の定型業務をすべて委託したい場合、データ移行やシステム設定などの導入準備だけでも多くの費用がかかります。
こうしたなかで自社に合う費用対効果が高いサービスを選ぶためには、導入に対する自分軸ともいえる「何がどうなると成功といえるのか?」という目的やニーズを可能な限り詳しく言語化する作業が必要でしょう。
また、給与計算アウトソーシングを導入する際には、導入時の初期費用に加えて、毎月の運用コスト(料金)を支払い続けられるかどうかの検討も重要です。
給与計算アウトソーシングの料金体系
給与計算アウトソーシングのサービスを比較検討する際には、料金体系もチェックしておきたいところです。一般的なサービスでは月額料金を設定しており、この金額は業務範囲と企業規模(従業員数)で変わることが多いでしょう。
ここでは「給与計算のみを委託する場合」と「給与計算の周辺業務までを委託する場合」「人事労務を総合的にアウトソーシングする場合」の3つのケースについて、一般的な料金相場を見ていきます。
ケース(1)
給与計算のみをアウトソーシングする場合
毎月の給与計算業務だけをアウトソーシングする場合、「基本月額料金+従業員1人当たりの月額料金」の計算式で料金が決まることが多いです。この場合の相場は、従業員数10~50人程度で「月額4~6万円」になります。この金額には、給与計算前のタイムカード集計なども含まれるケースが多いでしょう。
ただし、給与計算「のみ」の委託サービスの場合、給与明細の作成・印刷、振込データの作成などの周辺作業は、オプションになることが多いです。この作業を委託した場合、同規模(10~50人程度)の会社で月額10~20万円ほどのコストアップになる可能性があるでしょう。
なお、給与計算アウトソーシングの場合、「どこまでをパック料金内で対応するか?」や「どの機能をオプションにするか?」などの考え方は業者ごとに異なります。具体的な金額は、導入時の初期費用とあわせて各社に確認してみましょう。
ケース(2)
給与計算の周辺作業までアウトソーシングする場合
メインとなる給与計算に加えて、住民税の更新や年末調整などを依頼する場合も、オプション扱いになることが多いです。
その場合の料金相場は、先述の給与明細や振込データ作成と同じ住民税の10~50人規模で「10~20万円程度」になります。これに対して従業員が100人以上になると、料金相場は「35万円以上」と大きくアップするイメージです。
ただし、年末調整と住民税更新は年次業務です。給与明細や振込データ作成のように毎月請求されるものではありません。
ケース(3)
人事労務を総合的にアウトソーシングする場合
人事労務の仕事を総合的にアウトソーシングする場合、月次・年次の業務のほかに、入退社手続きや従業員対応といったスポット業務も請け負うことから、月額固定制になるケースが多いです。この場合の相場は「月10万円~30万円程度」になります。
給与計算アウトソーシングにおける
企業規模別の違い
給与計算アウトソーシングの場合、対象とする企業規模ごとに機能やサポート内容が異なることが多いです。費用対効果の高いサービスを選ぶうえでは、自社の身の丈に合うかどうかを見ていく必要があります。
ここでは、給与計算アウトソーシングにおける「中小企業向け」と「大企業向け」の違いを見ていきましょう。
【大企業向け】給与計算アウトソーシングの特徴
大企業向け給与計算アウトソーシングには、一般的に以下のような特徴があります。
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大企業の場合、多様な属性や働き方の人材がたくさんいることが多いです。そのような環境で、法律で定められた期限までに給与の支払いや年末調整などを完了させるためには、大量かつ多様な情報を取り扱えるノウハウとマンパワーの両方が必要です。
また、大企業には、ジョブローテーションの仕組みのなかで、担当者の異動が発生しやすい傾向があります。そのなかで毎月の給与計算および関連業務を請け負うためには、担当者が変わっても問題なく業務を続けられるだけの、運用フローや構築ノウハウも必要でしょう。
なお、大企業の多くは、人事労務や勤怠などの分野で何らかのシステムを既に導入していることが多いです。こうした既存システムとの関係やデータのやり取りの引き出しが多いところも、大企業向けアウトソーシングの特徴になります。
【中小企業向け】給与計算アウトソーシングの特徴
中小企業向けの給与計算アウトソーシングには、主に以下のような特徴があります。
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中小企業向けサービスの特徴は、少ない予算のなかで比較的簡単に導入できる手軽さや、予算の範囲内で機能を選択できたりするコストパフォーマンスの高さです。
また、中小企業の場合、1~2人程度の担当者が人事・給与・労務・総務といったさまざまな仕事を兼任していたりします。
そういったなかで、社会保険労務士や税理士事務所が運営しているとか、士業の専門家が在籍するサービスを利用すると、税制改正にともなう社内対応などの相談もできるでしょう。
給与計算アウトソーシングの成功事例
給与計算アウトソーシングを導入するためには、導入準備にかかる手間や時間、導入・運用コストといった多くのリソースが必要です。給与計算アウトソーシングの効果を頭では理解できていても、これだけ多くのリソースが必要となれば、導入を躊躇することもあるかもしれません。
そういったときには、実際に導入した企業の成功事例を参考にするのも一つの方法です。ここでは、一般的な中小企業と大企業の成功事例を見ながら、給与計算アウトソーシングを導入することで各社に起きたポジティブな変化を見ていきましょう。
中小企業における
給与計算アウトソーシングの成功事例
A社は、北陸地方にある従業員数250人ほどの中小企業です。人事部門には4人のメンバーがいるものの、給与計算の開始~明細の配布までに約1ヵ月を要する問題を抱えていました。この作業に1ヵ月を要するということは、「給与計算の仕事が絶え間なく続く」ということになっていたわけです。
そういったなかで社内に新たな製造拠点を設立し、従業員数をいまの2倍に増員する計画があがりました。従業員数が2倍になれば確実にキャパオーバーになりますし、だからといって人事担当者を2倍に増やすことはできません。そんななか、業務効率化の効果的な方法として目にとまったのが給与計算アウトソーシングでした。
A社では、毎月の給与計算+明細書の印刷~配送までの業務をアウトソーシングすることになりました。特に明細書の発行では、「問題なく印刷できているか」のチェックをするために、コピー機の傍らでの見守りなども必要だったため、その作業がなくなっただけでも大きな負担軽減になりました。
さらに、給与計算アウトソーシングによって空いたリソースを使い、社内の人員増に向けた準備や想定される課題への対策といった“攻めの役割”に注力しやすくなったようです。
大企業における
給与計算アウトソーシングの成功事例
B社は、海外にも複数の拠点を持つ会社です。この企業では、2,500人近くいる全従業員の給与計算を早く確実に行うために、数十年前から給与関連の総合アウトソーシングサービスを利用しています。
B社におけるアウトソーシング成功の大きなポイントは、時代の変遷に合わせて新たなサービスメニューを追加するなどのカスタマイズを行えている点です。たとえば近年では、これまで紙で配布していた給与明細をWeb化したことで、「準備の工数」や「所属長の不在による配布遅れ」などの問題が解消できています。
この企業の場合、海外に複数拠点があることから、海外赴任者の給与賞与や年末調整手続きに関して「こういうときはどうすべき?」などの疑問が生じやすい傾向があります。しかし、アウトソーシング事業者のカスタマーサポートが手続きの流れはもちろんのこと、出国時の年末調整のポイントなども詳しく教えてくれました。
大企業の場合、日本国内のみで事業活動を行う中小企業とは異なる問題が起こりやすいものです。だからこそ、専門性の高いアウトソーシング業者との二人三脚で問題を解決することの重要性がわかる事例だといえるでしょう。
給与計算アウトソーシングに関するFAQ
最後に給与計算アウトソーシングを導入するうえで生じる「よくある質問とその答え」を紹介しましょう。ぜひ選定時の参考にしてください。
Q.給与計算アウトソーシングの“クラウド型”とは、
どんな仕組みですか?
クラウド型の給与計算アウトソーシングとは、「クラウド上で動くシステム」と「アウトソーシングサービス」をかけ合わせたものです。クラウドとは、インターネットを通じて事業者のデータセンターなどに保管されたデータやソフトウェアにアクセスできる仕組みです。
たとえば、給与計算で使うソフトウェアやデータは、事業者のデータセンターに保管されるイメージです。給与計算などの情報を閲覧したい場合は、Webブラウザ経由で見るため、依頼をする企業側では自社のコンピュータに専用ソフトウェアなどをインストールする必要はありません。
給与計算アウトソーシングの場合、システムおよびデータの取り扱いは事業者側が中心になりますが、そこに年末調整のオプションを付けた場合、申請書入力は従業員が各自のパソコンやタブレット端末などから行うイメージになります。
クラウド型のシステムおよびアウトソーシングは、在宅勤務や出張が多い業種では特に便利な仕組みといえます。
Q.給与計算アウトソーシングの相見積もりが面倒な
のですが、最初から1つに絞ってはダメですか?
相見積もりは、自社の導入目的を満たすための相場感を知るうえでは必要な作業です。
たとえば、A社に問い合わせをして「月6万円」という見積もりが出てきたと仮定します。
その月6万円からは、「自社にとって高い・安い」の判断はできますが、「ほかと比べて高いか?安いか?」の相対的な評価は難しいでしょう。
そこで、A社のほかにB社・C社・D社から見積もりをとると、この4社のなかで「A社が最も高かった」などの気づきが得られます。また、A社が高い背景に、たとえば「人事部門および従業員へのサポート体制が充実している」などの理由の存在が見えてくると、高い月額料金でも納得して払えるかもしれません。
いずれにせよ、自社のニーズを叶えるための相場感を知り、納得したうえで契約へと進むためにも、複数社の相見積もりはとても重要な作業です。
Q.給与計算アウトソーシングは
どのくらいで導入できるものですか?
給与計算アウトソーシングの初回相談~運用開始までの導入期間は、サービス提供業者や規模、データ移行の必要性といった要素の影響を受けます。
たとえば、給与計算「のみ」をアウトソーシングする場合、2~3ヵ月で運用できる業者もあるようです。一方で人事給与の総合型サービスの導入や自社の既存システムから業者の環境にデータ移行が必要だったりする場合、半年~1年かかる可能性もあります。
なお、年末調整の場合は、7月頃までを受付期間とするケースが多く、相談が集中した場合、早く締め切ることもあるようです。
年末調整や住民税の更新といった年次業務に備えてアウトソーシング化を目指す場合には、早めに情報収集および相談を行う必要があるでしょう。
給与計算のアウトソーシングならラクラスへ
本記事では、給与計算でアウトソーシング可能な業務の種類やメリット・デメリットをご紹介し、そのうえで業務委託の検討を始める目安や委託先選びのコツ、一般的な費用相場などを解説してまいりました。
もし、給与計算のアウトソーシングを実現して人事業務を高品質化したいとお考えであれば、ラクラスにお任せください。ラクラスなら、クラウドとアウトソーシングを掛け合わせた『BpaaS』により、人事のノンコア業務をアウトソースすることができコア業務に集中できるようになります。
ラクラスの特徴として、お客様のニーズに合わせたカスタマイズ対応を得意としています。他社では難色を示してしまうようなカスタマイズであっても、柔軟に対応することができます。それにより、大幅な業務効率の改善を見込むことができます。
また、セキュアな環境で運用されるのはもちろんのこと、常に情報共有をして運用状況を可視化することも心掛けています。そのため、属人化は解消されやすく「人事の課題が解決した」という声も数多くいただいております。
特に大企業を中心として760社86万人以上の受託実績がありますが、もし御社でも人事の課題を抱えており解決方法をお探しでしたら、ぜひわたしたちラクラスへご相談ください。
